東海地方の記録的大雨 18市町を対象に直接的な経済影響は約15.8億円と試算
ウェザーニュース
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2026年9月8日、愛知県や三重県で記録的な大雨となりました。名古屋では午後に猛烈な雨が降り、1時間雨量が観測史上最大を更新。道路の冠水や住宅の浸水、車両被害などが発生し、交通にも大きな影響が出ました。
ウェザーニューズでは公表された被害情報などをもとに、愛知県16市町と三重県2市の計18市町を対象として今回の大雨による経済影響を独自に速報推計しました。
その結果、住宅や行政資産、災害対応費などに加え、車両の物的損失などを含めた直接的な経済影響は約15.8億円と試算しました。
※本試算はウェザーニューズによる独自の速報推計で、国や自治体が公表する被害額ではありません。今後の被害情報などにより変わる可能性があります。
ウェザーニューズでは公表された被害情報などをもとに、愛知県16市町と三重県2市の計18市町を対象として今回の大雨による経済影響を独自に速報推計しました。
その結果、住宅や行政資産、災害対応費などに加え、車両の物的損失などを含めた直接的な経済影響は約15.8億円と試算しました。
※本試算はウェザーニューズによる独自の速報推計で、国や自治体が公表する被害額ではありません。今後の被害情報などにより変わる可能性があります。
名古屋で1時間104.5mm 観測史上最大を更新
9月8日、東海地方では午後から雨雲が急速に発達しました。名古屋では16時53分までの1時間に104.5mmの雨を観測し、2000年9月の東海豪雨で記録した97.0mmを上回りました。
気象庁の1890年の統計開始以降、名古屋で1時間に降った雨として最も多い記録となりました。
この大雨で、名古屋市では河川の水位が上昇し、道路や鉄道にも影響が広がりました。市営地下鉄やJR、名鉄などで運転見合わせが発生し、帰宅時間帯の交通にも大きな影響が出ています。
気象庁の1890年の統計開始以降、名古屋で1時間に降った雨として最も多い記録となりました。
| 名古屋の主な雨量 | 観測値 |
|---|---|
| 最大1時間雨量 | 104.5mm |
| 従来の観測史上1位 | 97.0mm(2000年9月11日) |
| 9月8日の日降水量 | 219.5mm |
この大雨で、名古屋市では河川の水位が上昇し、道路や鉄道にも影響が広がりました。市営地下鉄やJR、名鉄などで運転見合わせが発生し、帰宅時間帯の交通にも大きな影響が出ています。
愛知県の被害、名古屋市に集中
愛知県が9月11日午前7時現在で公表した第5報の被害状況によると、県内では軽傷者41人、一部損壊4棟、床上浸水143棟、床下浸水170棟が確認されています。
このうち名古屋市では、軽傷38人、一部損壊4棟、床上浸水70棟、床下浸水72棟となっています。
※愛知県「9月8日からの大雨による被害状況等について(第5報、9月11日7時現在)」をもとに作成。割合は愛知県全体の公表数に占める名古屋市分です。
名古屋市では、愛知県内で確認された軽傷者の9割以上を占めたほか、床上浸水は約半数、床下浸水も4割を超えています。
今回の大雨では、住宅だけでなく道路や交通機関にも被害や影響が広がり、都市機能への影響が大きかったことがうかがえます。
このうち名古屋市では、軽傷38人、一部損壊4棟、床上浸水70棟、床下浸水72棟となっています。
| 被害項目 | 愛知県全体 | うち名古屋市 | 名古屋市の割合 |
|---|---|---|---|
| 軽傷 | 41人 | 38人 | 約93% |
| 一部損壊 | 4棟 | 4棟 | 100% |
| 床上浸水 | 143棟 | 70棟 | 約49% |
| 床下浸水 | 170棟 | 72棟 | 約42% |
※愛知県「9月8日からの大雨による被害状況等について(第5報、9月11日7時現在)」をもとに作成。割合は愛知県全体の公表数に占める名古屋市分です。
名古屋市では、愛知県内で確認された軽傷者の9割以上を占めたほか、床上浸水は約半数、床下浸水も4割を超えています。
今回の大雨では、住宅だけでなく道路や交通機関にも被害や影響が広がり、都市機能への影響が大きかったことがうかがえます。
18市町の直接的な経済影響は約15.8億円
ウェザーニューズでは、こうした被害情報をもとに、愛知県16市町と三重県2市の計18市町について、今回の大雨による経済影響を独自に速報推計しました。
住宅や家財、行政資産、災害対応費などを対象に算定した「基本被害」は約12.8億円となりました。
さらに、車両の物的損失など約2.9億円、その他の直接的な影響約0.1億円を加え、直接的な経済影響は約15.8億円と試算しました。
なお、道路や鉄道の利用者に生じた時間損失や移動機会の減少などについては、物的損失や直接的な経済損失とは性質が異なるため、本試算では社会的影響の参考値として約6.0億円を算定しています。この金額は約15.8億円には含めていません。
住宅や家財、行政資産、災害対応費などを対象に算定した「基本被害」は約12.8億円となりました。
さらに、車両の物的損失など約2.9億円、その他の直接的な影響約0.1億円を加え、直接的な経済影響は約15.8億円と試算しました。
| 主な構成 | 試算額 |
|---|---|
| 18市町の基本被害 | 約12.8億円 |
| 車両の物的損失など | 約2.9億円 |
| その他の直接影響 | 約0.1億円 |
| 直接的な経済影響 | 約15.8億円 |
なお、道路や鉄道の利用者に生じた時間損失や移動機会の減少などについては、物的損失や直接的な経済損失とは性質が異なるため、本試算では社会的影響の参考値として約6.0億円を算定しています。この金額は約15.8億円には含めていません。
名古屋・春日井・瀬戸で約85%
基本被害約12.8億円を市町別に見ると、名古屋市が約6.6億円と最も大きく、春日井市、瀬戸市が続きました。この3市で約10.9億円となり、18市町全体の約85%を占めます。
※市町別と分野別は、同じ18市町計約12.8億円を異なる切り口で示したものです。各金額は四捨五入しているため、表示額の単純合計と合計値が一致しない場合があります。
分野別では、住宅や家財などを含む「住民生活」が約6.3億円と最も大きく、全体の約半分を占めました。行政資産、災害対応費が続いています。
| 市町別 | 試算額 | 構成比 | 分野別 | 試算額 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 名古屋市 | 約6.6億円 | 約51% | 住民生活 | 約6.3億円 | 約49% |
| 春日井市 | 約3.2億円 | 約25% | 行政資産 | 約4.4億円 | 約34% |
| 瀬戸市 | 約1.1億円 | 約9% | 災害対応費 | 約2.2億円 | 約17% |
| その他15市町 | 約1.9億円 | 約15% | その他 | 0.1億円未満 | 1%未満 |
| 18市町計 | 約12.8億円 | 100% | 18市町計 | 約12.8億円 | 100% |
※市町別と分野別は、同じ18市町計約12.8億円を異なる切り口で示したものです。各金額は四捨五入しているため、表示額の単純合計と合計値が一致しない場合があります。
分野別では、住宅や家財などを含む「住民生活」が約6.3億円と最も大きく、全体の約半分を占めました。行政資産、災害対応費が続いています。
名古屋市と千葉市、同じ大雨でも被害に違い
今回の名古屋市と、8月13日から14日にかけて記録的な大雨となった千葉市を比べると、同じ都市部の大雨でも被害の出方には大きな違いがありました。
※観測地点や雨量の集計期間、被害調査の進み具合が異なるため、単純な比較には注意が必要です。
※千葉豪雨の経済影響試算とは集計範囲が異なるため、本稿では両豪雨の経済影響額そのものは比較していません。
住宅の浸水被害を見ると、名古屋市と千葉市で大きな差が出ています。ただ、大雨による被害は1時間雨量だけで決まるものではありません。
雨がどれだけ長く降ったか、総雨量がどの程度になったかに加え、地形や河川の水位、下水道・排水施設の状況など、さまざまな条件が重なって被害につながります。
名古屋市と千葉市の数字だけから、どちらの被害が大きい、あるいは都市の水害への強さを単純に比べることはできません。
一方で、短時間に非常に強い雨が降れば、浸水だけでなく、車両の被災や道路・鉄道などの交通への影響が同時に発生することがあります。
今回の比較からも、大雨への備えでは「1時間に何mm降るか」だけでなく、雨の降り方や地域の状況を総合的に見ることが重要だと分かります。
関連記事「【千葉豪雨】住宅浸水などによる経済被害は最大111億円と推計 被害実績を反映し再算定(第二報)」
関連記事「【第二報】令和8年8月千葉豪雨 交通機関の乱れによる経済影響は約17~40億円と試算」
| 項目 | 名古屋市 | 千葉市 |
|---|---|---|
| 最大1時間相当雨量 | 104.5mm | 135mm(最大60分雨量) |
| 総雨量の参考 | 219.5mm(日降水量) | 一部地点で累積500mm超 |
| 床上浸水 | 70棟 | 940棟 |
| 床下浸水 | 72棟 | 632棟 |
| 被害集計時点 | 発災から約3日後 | 発災から約4週間後 |
※観測地点や雨量の集計期間、被害調査の進み具合が異なるため、単純な比較には注意が必要です。
※千葉豪雨の経済影響試算とは集計範囲が異なるため、本稿では両豪雨の経済影響額そのものは比較していません。
住宅の浸水被害を見ると、名古屋市と千葉市で大きな差が出ています。ただ、大雨による被害は1時間雨量だけで決まるものではありません。
雨がどれだけ長く降ったか、総雨量がどの程度になったかに加え、地形や河川の水位、下水道・排水施設の状況など、さまざまな条件が重なって被害につながります。
名古屋市と千葉市の数字だけから、どちらの被害が大きい、あるいは都市の水害への強さを単純に比べることはできません。
一方で、短時間に非常に強い雨が降れば、浸水だけでなく、車両の被災や道路・鉄道などの交通への影響が同時に発生することがあります。
今回の比較からも、大雨への備えでは「1時間に何mm降るか」だけでなく、雨の降り方や地域の状況を総合的に見ることが重要だと分かります。
関連記事「【千葉豪雨】住宅浸水などによる経済被害は最大111億円と推計 被害実績を反映し再算定(第二報)」
関連記事「【第二報】令和8年8月千葉豪雨 交通機関の乱れによる経済影響は約17~40億円と試算」
東海豪雨を受け、名古屋では排水・貯留能力を強化
名古屋市では、2000年9月の東海豪雨などで大きな浸水被害が発生したことを受け、雨水を排水するポンプの増強や、雨水を一時的にためる施設の整備などを進めてきました。
名古屋市上下水道局によると、「緊急雨水整備事業」では原則として1時間60mmの雨に対応するとともに、東海豪雨時に記録した97.0mmの雨に対して、床上浸水をおおむね解消することを目指しているようです。
| 項目 | 現在の整備目標・実績 | 東海豪雨以前・従来 |
|---|---|---|
| 降雨への対応 | 原則 60mm/h | ― |
| 東海豪雨級への目標 | 97mm/hで床上浸水の概ね解消 | 東海豪雨時97mm/h |
| ポンプ排水能力 | 約64,700m³/分(事業完成時) | 約51,300m³/分 |
| 雨水貯留施設 | 約87.5万m³(事業完成時) | 約14万m³ |
| 雨水調整池 | 47か所・約46万m³※ | ― |
| ポンプ所増強 | 15施設※ | ― |
※名古屋市上下水道局などの公表資料をもとに作成。雨水調整池、ポンプ所は2024年11月時点の公表実績です。約46万m³と約87.5万m³は対象範囲や集計時点が異なるため、単純に足し合わせることはできません。
事業が完成すると、東海豪雨以前と比べてポンプの排水能力は約1.3倍、雨水をためる施設の容量は約6.3倍になる計画です。
一方、今回の1時間104.5mmという雨は、名古屋市が基本としてきた60mm/hだけでなく、東海豪雨時の97mm/hも上回りました。
ただし、今回の被害が過去の治水対策によってどの程度抑えられたのかを、現時点の情報だけで数字として示すことはできません。
実際の施設の稼働状況や雨水をためた量、ポンプで排水した量、河川の水位などを確認したうえで評価する必要があります。
車両約200台が被災 道路をふさぎ交通にも影響
今回の大雨では、住宅だけでなく車両にも大きな被害が出ました。
名古屋市は、幹線道路と補助幹線道路で9月9日午前3時30分時点に約200台の被災車両を確認しました。このうち、車線上で通行の妨げとなっていた68台を路肩へ移動しています。
※名古屋市が幹線・補助幹線道路で9月9日3時30分時点に把握した台数。
※約2.9億円は、愛知・三重18市町を対象としたウェザーニューズの独自試算です。名古屋市の約200台だけの損失額ではありません。
一方、千葉市では道路上に約2,500台の被災車両が滞留し、緊急車両などの通行を確保するため、約500台を路肩などへ移動。最終的に市が撤去した車両は384台でした。
今回の試算では、車両の損傷や価値の低下、回収などにかかる費用をもとに、18市町の車両関連の直接的な経済影響を約2.9億円と算定しています。
大雨による車両被害は、車そのものが使えなくなるだけではありません。道路上に被災車両が残ることで、救急車や消防車などの通行を妨げることもあります。
車は住宅などと違い、雨が強まる前に安全な場所へ移動できる場合があります。大雨が予想されるときは、河川沿いや低い場所、地下駐車場などを避け、早めに安全な場所へ移動することが重要です。
名古屋市は、幹線道路と補助幹線道路で9月9日午前3時30分時点に約200台の被災車両を確認しました。このうち、車線上で通行の妨げとなっていた68台を路肩へ移動しています。
| 項目 | 今回の愛知・三重豪雨 | 千葉市・千葉豪雨 |
|---|---|---|
| 道路上の被災車両 | 名古屋市で約200台※ | 約2,500台 |
| 自治体による車両移動・撤去 | 名古屋市が68台を路肩へ移動 | 384台 |
| 車両の経済損失 | 18市町で約2.9億円※※ | 同一手法による試算は未実施 |
※名古屋市が幹線・補助幹線道路で9月9日3時30分時点に把握した台数。
※約2.9億円は、愛知・三重18市町を対象としたウェザーニューズの独自試算です。名古屋市の約200台だけの損失額ではありません。
一方、千葉市では道路上に約2,500台の被災車両が滞留し、緊急車両などの通行を確保するため、約500台を路肩などへ移動。最終的に市が撤去した車両は384台でした。
今回の試算では、車両の損傷や価値の低下、回収などにかかる費用をもとに、18市町の車両関連の直接的な経済影響を約2.9億円と算定しています。
大雨による車両被害は、車そのものが使えなくなるだけではありません。道路上に被災車両が残ることで、救急車や消防車などの通行を妨げることもあります。
車は住宅などと違い、雨が強まる前に安全な場所へ移動できる場合があります。大雨が予想されるときは、河川沿いや低い場所、地下駐車場などを避け、早めに安全な場所へ移動することが重要です。
今回の大雨から考える、都市型豪雨への備え
今回の大雨では、住宅の浸水だけでなく、車両や道路、鉄道などにも影響が広がりました。
名古屋市では東海豪雨以降、雨水を排水する施設や、一時的に雨水をためる施設の整備が進められています。一方で、今回のように短時間に猛烈な雨が降ると、道路の冠水や車両の被災、交通の混乱などが同時に起こることがあります。
都市の水害対策を進めるとともに、大雨が予想されるときに一人ひとりが早めに行動することも重要です。
車を安全な場所へ移動する、冠水した道路やアンダーパスに入らない、交通機関の運行情報を確認するなど、できる対策があります。
日頃からハザードマップで自宅や職場周辺の危険な場所を確認し、大雨が予想されるときは気象情報や自治体からの避難情報をこまめに確認してください。
「まだ大丈夫」と思っているうちに、早めに備えることが被害を減らすことにつながります。
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◼︎今回の速報推計について
今回の試算は、現時点で公表されている被害情報などをもとに、被害の規模感を早期に把握するための速報推計です。
企業活動、観光・商業、物流、農業などについては、現時点で算定していないものや、限定的な反映にとどまるものがあります。
また、試算額が小さい、あるいは算定されていない項目についても、実際に被害がなかったことを意味するものではありません。
◼︎参考資料
気象庁、愛知県、名古屋市、名古屋市上下水道局、千葉市、国土交通省の公表資料
ウェザーニューズ「ROI Generator」による独自試算
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