熊本地震から10年、奇跡の一本石垣はどうなった? 熊本城の石垣復旧に生かされた最新防災技術

2026-04-14 05:20 ウェザーニュース

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2016年4月14日と16日に発生した熊本地震から10年が経ちました。

市民のシンボルで全国の城郭ファンからも高い人気を誇る熊本城も大きな被害を受けましたが、大小天守は2021年に復旧工事を終え、閣内展示を含む見学ルートを定めた「特別公開」も実施されています。

熊本城ではそのほか、飯田丸五階櫓(ごかいやぐら)の建物を倒壊から救い支えた「奇跡の一本石垣」も最新の防災技術を用いて復旧するなど、2052年度の復旧完了を目指し着実に進められています。

熊本城総合事務所に、現時点での復旧工事の進捗状況などについて伺いました。

重要文化財13棟や石垣の3割が被災

熊本地震における熊本城の被災状況は、どのようなものだったのでしょうか。

「重要文化財建造物は倒壊2棟、一部倒壊3棟に加えて屋根や壁の破損など13棟全て、大小天守や飯田丸五階櫓を含む復元建造物は倒壊5棟、下部石垣崩壊や屋根、壁の破損など20棟全てが被害を受けました。

石垣は崩落と膨らみ、緩みが517面で全体の29.9%にあたる約2万3600m2、うち崩落が229面50箇所で全体の10.3%にあたる約8200m2に及びました。そのほか便益・管理施設26棟に屋根や壁の破損が生じました」(熊本城総合事務所)
2021年3月には完全復旧した熊本城の天守(撮影/2024年2月、写真/時事)
これまでの復旧状況について教えてください。

「熊本城復旧計画に基づいて2020年6月に特別見学通路が開通し、2021年1月には重要文化財建造物での第1号として長塀が復旧、3月には復興のシンボルとして最優先で工事に着手した大小天守が完全復旧しています。

天守の復旧完了を受けて2021年6月、地震から約5年ぶりに天守の内部公開を再開し、全面リニューアルした展示と最上階からの眺めが楽しめるようになりました。大天守最上階からの景色を見て、感慨深そうにされる方もいらっしゃいます。

リニューアルした展示では、熊本城天守の歴史をクローズアップしました。1599年に加藤清正が開始した築城から、1877年の天守焼失や西南戦争での籠城戦、1960年の天守再建、2016年の熊本地震での被災から復旧までを、模型と映像などで解説しています」(熊本城総合事務所)
地上約6mの高さに設置されている特別見学通路。復旧工事の様子を間近で見られる(写真/熊本城総合事務所)
現在公開されている特別見学通路からは、どのような様子が観られるのでしょうか。

「地上から約6mの高さという新しい視点から、二様の石垣や天守の姿、連続枡形などの石垣の被災状況、東竹の丸の重要文化財櫓群復旧工事の様子などを観覧頂けます。

来園された方からは、『迫力がある』『石垣のつくりや被害の様子がよくわかる』など、喜んで頂いています。主要区域の復旧完了までの間は見学通路を通りながら、地震被害の状況や変遷する復旧工事の様子をご覧頂けます」(熊本城総合事務所)
大小天守を囲む本丸周辺の復旧状況はいかがでしょうか。

「2024年から見学通路東側の国指定重要文化財建造物である田子櫓、七間櫓、十四間櫓、四間櫓、源之進櫓は復旧工事、本丸東側の北十八間櫓と東十八間櫓の外石垣は解体工事、北側の石門北側石垣は復旧工事がそれぞれ進行中です。

本丸御殿大広間と平櫓は設計中、築城当時の姿を残し『第三の天守』とも称される重要文化財・宇土櫓は、五階櫓の解体保存を終えて復旧設計が進められています」(熊本城総合事務所)

石垣復旧に生かされた最新防災技術とは?

「奇跡の一本石垣」として知られた飯田丸五階櫓の復旧はどんな状況でしょうか。

「2016年に五階櫓を支える仮受構台を設置、2017年から無人重機による崩落石回収と倒壊防止受構台設置、五階櫓解体保存、2018年から五階櫓台石垣(上段)を解体、2020年から要人櫓台石垣(下段)を解体しました。
2021年から要人櫓台石垣、2022年から五階櫓台石垣をそれぞれ積み直し、2024年に石垣の復旧が完了、2025年から飯田丸五階櫓の復旧工事に取り掛かっているところで、2028年度の完全復旧を目指しています」(熊本城総合事務所)

石垣の復旧には最新の防災技術が採り入れられたそうですね。

「石垣は表面に見える大きな築石(つきいし)、その裏側に小さな石を詰めた栗石(ぐりいし)、さらにその裏の土という三層構造で造られています。

熊本地震では大きな揺れによって栗石が下に沈んで築石を押し出し、石垣の真ん中から下が倒れたのち、上方の石垣が栗石の上に載ったまま滑るように崩れ落ちたとみられます。
復旧工事では栗石の中に特殊なネット状のシート材(補強材)を敷き詰めて栗石の沈下を防ぎました。さらに補強材は国内初の試みとして、築石の外面に設置した246個の円形の『受圧板』と金属のボルトでつながれています。

これによって築石と栗石の変位が抑えられ、耐震性が向上されました。石垣の耐震補強は飯田丸五階櫓石垣のほか、小天守台穴蔵付近の石垣などにも施されています。」(熊本城総合事務所)

2042年度予定の重文・主要区域完全復旧が「大きな節目」に

復旧が進む重要文化財の宇土櫓。熊本城で築城当初から現存する唯一の多重櫓(撮影/2022年9月、写真/熊本城総合事務所)
着々と復旧が進んでいる熊本城ですが、全体の復旧は2052年度の予定です。

「今後は計画15年目の2032年度に宇土櫓と本丸御殿の復旧を完了。25年目の2042年度に全ての重要文化財建造物及び主要区域の復旧を完了させる予定です。これが『大きな節目』といえるでしょう。

さらに26年目の2043年度から35年目の2052年度にかけての10年間で、特別見学通路の撤去や主要区域以外の工事を行うとともに、復旧完了後に向けた新たな整備計画の検討を行います」(熊本城総合事務所)

熊本地震から10年を迎えた熊本城の復旧について、大西一史(おおにし・かずふみ)市長は次のように話しています。

「熊本地震から10年という節目を迎えるにあたり、これまでの復旧・復興を支えてくださったすべての皆様方に、心より感謝申し上げます。

城内では、石垣や櫓の工事が続いており、2052年度の完全復旧に向けて、一歩一歩着実に前進しています。市民の心の拠り所である熊本城を次世代へ確実に引き継いでいくため、今後も復旧に全力で取り組んでまいります。

力強く復旧する熊本城の歩みを、末永く見守っていただければ幸いです」(大西市長)
今年も変わらず熊本市の桜が満開を迎えた4月上旬、熊本城特別見学通路の入り口へと続く花見の名所「行幸(みゆき)坂」は多くの市民や観光客でにぎわいました。復興を目指す熊本のシンボル熊本城を訪れてみてはいかがでしょうか。
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