日本関係船22隻が通過した3日間を追跡
国土交通省は2026年7月10日、7日から9日にかけて日本関係船舶22隻がホルムズ海峡を通過し、このうち6隻が日本向けの大型原油タンカーだったと発表しました。
ウェザーニューズでは、湾内に長く留め置かれていた船がまとまって動いたこの3日間に着目し、船舶の位置を知らせるAIS(船舶自動識別装置)のデータから、その後の航跡を日本への到着まで追跡しました。
日本への寄港を確認できた船は、いずれもペルシャ湾内の沿岸海域に15日以上とどまっていたとみられます。滞留期間は15.4~23.8日で、平均は19.0日でした。
ウェザーニューズでは、湾内に長く留め置かれていた船がまとまって動いたこの3日間に着目し、船舶の位置を知らせるAIS(船舶自動識別装置)のデータから、その後の航跡を日本への到着まで追跡しました。
日本への寄港を確認できた船は、いずれもペルシャ湾内の沿岸海域に15日以上とどまっていたとみられます。滞留期間は15.4~23.8日で、平均は19.0日でした。
停泊10日で付着が急増することも
ホルムズ海峡の閉鎖により、ペルシャ湾とオマーン湾では1500隻以上の大型商船が足止めされました。
通常、この海域に寄港する船の多くは1~3日ほどで出港しますが、今回は海峡の閉鎖によって停泊が長期化しました。
船が動いている間は、海水の流れによって船体に付いた生物がはがれやすくなります。一方、船が長く止まっていると、こうした働きが弱くなり、生物が付着しやすくなります。
2020年のとある実験では、最初の10日間に細菌などがつくる膜(バイオフィルム)やスライム層(ぬめり)が発達し、ヒドロ虫やコケムシなど、目に見える生物も付き始めました。
その後、付着は大きく進み、28日後には生物が表面を覆った割合が、10日後の13~25倍になりました。
今回、日本への寄港を確認した船の滞留期間は15.4~23.8日で、いずれも付着が大きく進み始める目安とされた10日を上回りました。
通常、この海域に寄港する船の多くは1~3日ほどで出港しますが、今回は海峡の閉鎖によって停泊が長期化しました。
船が動いている間は、海水の流れによって船体に付いた生物がはがれやすくなります。一方、船が長く止まっていると、こうした働きが弱くなり、生物が付着しやすくなります。
2020年のとある実験では、最初の10日間に細菌などがつくる膜(バイオフィルム)やスライム層(ぬめり)が発達し、ヒドロ虫やコケムシなど、目に見える生物も付き始めました。
その後、付着は大きく進み、28日後には生物が表面を覆った割合が、10日後の13~25倍になりました。
今回、日本への寄港を確認した船の滞留期間は15.4~23.8日で、いずれも付着が大きく進み始める目安とされた10日を上回りました。
| 時期 | 論文で確認・説明された変化 |
|---|---|
| 浸水後~10日 | 微生物を含むバイオフィルムやスライム層が発達 |
| 10日ごろ | ヒドロ虫、コケムシ、群体ホヤなど、目に見える付着生物が現れ始める |
| 28日後 | 無塗装の対照板では平均85%超を付着生物が覆い、10日後の13~25倍。複数の生物が重なる群集へ発達 |
| 45日後 | 表面の大部分が付着生物で埋まり、ほぼ飽和 |
| 60日後 | コケムシやホヤなどによる厚みのある立体的な群集に発達 |
夏のペルシャ湾 船体が生物の繁殖場所になるおそれ
ペルシャ湾は、夏には海面水温が約38℃に達し、塩分の濃さも4%を超えることがある、非常に暑く塩辛い海です。
一見すると生物にとって厳しい環境ですが、研究では、こうした環境に適応した生物が生き残りやすくなる可能性が指摘されています。
2026年の論文では、フジツボの一種が例として挙げられています。この生物は水温30℃の環境で、1個体から1日に最大36匹の幼生を放出します。
船体に付いた生物が船の上で成長し、繁殖まで始めれば、船そのものが生物を増やす場所になるおそれがあります。生物が大量に付着した場合、1隻から数百万の幼生が放出される可能性も指摘されています。
ペルシャ湾の生物が船によって別の海へ運ばれたと考えられる事例もあります。
2025年のDNAを使った研究では、スペインのバレンシアとギリシャのクレタ島の港で確認された、石灰質の管をつくるゴカイの仲間「スピロブランクス・アラビクス」が、ペルシャ湾やオマーン湾にいるものと一致しました。
研究者は、スエズ運河を通って自然に分布を広げたというより、船体に付着して運ばれた可能性が高いとしています。
一見すると生物にとって厳しい環境ですが、研究では、こうした環境に適応した生物が生き残りやすくなる可能性が指摘されています。
2026年の論文では、フジツボの一種が例として挙げられています。この生物は水温30℃の環境で、1個体から1日に最大36匹の幼生を放出します。
船体に付いた生物が船の上で成長し、繁殖まで始めれば、船そのものが生物を増やす場所になるおそれがあります。生物が大量に付着した場合、1隻から数百万の幼生が放出される可能性も指摘されています。
ペルシャ湾の生物が船によって別の海へ運ばれたと考えられる事例もあります。
2025年のDNAを使った研究では、スペインのバレンシアとギリシャのクレタ島の港で確認された、石灰質の管をつくるゴカイの仲間「スピロブランクス・アラビクス」が、ペルシャ湾やオマーン湾にいるものと一致しました。
研究者は、スエズ運河を通って自然に分布を広げたというより、船体に付着して運ばれた可能性が高いとしています。
「イガイダマシ」船体への付着で侵入 駆除に220万豪ドル
船体に付着した外来種が、実際に大きな負担を生んだ事例があります。
1999年、オーストラリア北部のダーウィン港にある3つのマリーナで、外来種のイガイダマシが大量に確認されました。
オーストラリア政府の調査では、外洋を航行するヨットの船体に付着して持ち込まれ、その後、地域のヨットによって周辺のマリーナへ広がった可能性が高いとされています。
イガイダマシは短期間で密集し、岸壁や養殖設備などに大量に付着します。また、海水を取り込む配管を詰まらせるおそれもあります。
現地政府はマリーナを封鎖して薬剤による処理を行い、約4週間で根絶しました。しかし、対策にかかった費用は220万豪ドル(約2億4,264万円)を超えました。
※1豪ドル=約110.29円(2026年9月時点)で換算
この事例は、船底の生物が新たな港へ運ばれると、定着を防げた場合でも、船の移動制限や調査、駆除などに大きな費用がかかることを示しています。
1999年、オーストラリア北部のダーウィン港にある3つのマリーナで、外来種のイガイダマシが大量に確認されました。
オーストラリア政府の調査では、外洋を航行するヨットの船体に付着して持ち込まれ、その後、地域のヨットによって周辺のマリーナへ広がった可能性が高いとされています。
イガイダマシは短期間で密集し、岸壁や養殖設備などに大量に付着します。また、海水を取り込む配管を詰まらせるおそれもあります。
現地政府はマリーナを封鎖して薬剤による処理を行い、約4週間で根絶しました。しかし、対策にかかった費用は220万豪ドル(約2億4,264万円)を超えました。
※1豪ドル=約110.29円(2026年9月時点)で換算
この事例は、船底の生物が新たな港へ運ばれると、定着を防げた場合でも、船の移動制限や調査、駆除などに大きな費用がかかることを示しています。
食卓でおなじみのムール貝も 船体付着で日本へ侵入か
定着すれば養殖業や海の設備にも影響
北海道の噴火湾では、ヨーロッパザラボヤが養殖ホタテに大量に付着し、成長不良やホタテの脱落を引き起こしています。
付着した生物を取り除く作業や処理費用も漁業者の負担となっており、2026年度以降の地域計画でも、異常発生が続いていると報告されています。
養殖生物との餌や場所の奪い合い、漁網の目詰まり、海水を取り込む設備の能力低下などが起きれば、漁業や沿岸施設の管理費用が増えるおそれがあります。
外来種に限らず、海の生物が船や施設などに付着することによる国内の経済損失は、年間1000億円以上ともいわれています。
ホルムズ海峡の通航が再開する際には、物流の回復だけでなく、長期間停泊していた船の行き先や船体の管理にも目を向ける必要があります。
船の動きを追いながら、水温や塩分など寄港先の環境と重ねて確認することで、外来種が持ち込まれるリスクが高い港を早めに把握できる可能性があります。
ウェザーニューズ航海気象 記事一覧
航海気象サービス「SeaNavigator」を無料で公開中
付着した生物を取り除く作業や処理費用も漁業者の負担となっており、2026年度以降の地域計画でも、異常発生が続いていると報告されています。
養殖生物との餌や場所の奪い合い、漁網の目詰まり、海水を取り込む設備の能力低下などが起きれば、漁業や沿岸施設の管理費用が増えるおそれがあります。
外来種に限らず、海の生物が船や施設などに付着することによる国内の経済損失は、年間1000億円以上ともいわれています。
ホルムズ海峡の通航が再開する際には、物流の回復だけでなく、長期間停泊していた船の行き先や船体の管理にも目を向ける必要があります。
船の動きを追いながら、水温や塩分など寄港先の環境と重ねて確認することで、外来種が持ち込まれるリスクが高い港を早めに把握できる可能性があります。
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◼︎出典・引用
・Biological Invasions「Closure of the Strait of Hormuz may trigger a bioinvasion super-spreader event」
・Taylor & Francis Online「An experimental test of stationary lay-up periods and simulated transit on biofouling accumulation and transfer on ships」
・Natural Heritage Trust「Empirical validation: Small vessel translocation of key threatening species Stage II - Stage II」(March 2007)
・Fishery Report No. 104「AQUATIC BIOSECURITY STATUS REPORT 2009」
・国土交通省「大臣会見>金子大臣会見要旨」
・国立環境研究所「侵入生物データベース:ムラサキイガイ」
・いぶり噴火湾広域水産業再生委員会「浜の活力再生広域プラン 令和8~12年度 第3期」
・公益社団法人日本農芸化学会「“環境にやさしい”付着防汚剤の開発:付着阻害活性を有する天然物をリード化合物とした付着阻害活性に関する構造活性相関の考察と新規付着阻害物質の創製―海洋生物の化学的防御システムがヒント」(2019年、北野克和・東京農工大学大学院農学研究院応用生命化学部門)
・ウェザーニューズ/SEA「Congestion in the Strait of Hormuz, with the Monsoon Closing In」
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