地球温暖化のウソ? ホント?(29)2050年の夏には40℃以上の酷暑日が当たり前になるって、本当?

2026-08-22 05:00 ウェザーニュース

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今年(2026年)の6~8月に欧米各国を熱波が襲い、猛烈に暑い日がしばしばあります。日本でも、西日本を中心に厳しい暑さに見舞われています。

これらの猛暑、酷暑、厳暑は地球温暖化とどのような関係があるのでしょうか。また、未来の日本の暑さはどう変化していくのでしょうか。

気候変動問題の専門家である江守正多さん(東京大学 未来ビジョン研究センター教授)の監修のもと、夏の暑さの現状と未来について見ていきましょう。

Q1/6〜8月に欧米を襲った熱波による猛暑は地球温暖化の現れなの?

◆A/今回の猛暑が記録的な高温になった背景には地球温暖化があると考えられます。

今年の6~8月、ヨーロッパ諸国やアメリカなどを熱波が襲い、多方面に大きな被害や影響を与えています。その一例を紹介します。
・フランスのパリでは6月に40.9℃を記録するなど暑さが続き、猛暑の影響で川や湖で涼を求める人が増え、フランス各地で溺死が相次いだ。

・ドイツでは熱波で40℃を超え、過去最高気温に達した6月第4週で、暑さによる推定死者数は約9600人に上った。

・アメリカでは、7月上旬に東部を中心に熱波に見舞われ、建国250年行事の多くが時間短縮や中止に追い込まれた。

・ハンガリーでは、猛暑の影響で河川の水位が低下したため、国内唯一の原子力発電所の出力を大幅に落とした。隣のルーマニアでは、原子力発電所が全面停止した。設備の冷却に必要な水の確保が難しくなったことが主な理由。

日本でも今年の夏は猛烈に暑く、猛暑日や酷暑日が多数、記録されています。

猛暑日は1日の最高気温が35℃以上で、酷暑日は1日の最高気温が40℃以上を記録した日のことです。それぞれ、2007年と2026年から気象庁などが使用しています。

欧米や日本の夏の猛烈な暑さは一時的な「異常気象」なのでしょうか。それとも、「地球温暖化(気候変動)」と関係する事象なのでしょうか。江守さんは次のように話します。

「今年のヨーロッパなどで熱波が発生した直接的な原因は気圧パターンの変化によるもので、それ自体は昔からたまに起きる自然現象です。具体的には、偏西風が蛇行して高気圧がヨーロッパの上に居座ったため、南からの高温の空気に覆われると同時に、晴れの日が続き、高気圧の下降気流による断熱圧縮でさらに暑くなるというパターンが起きました。

しかし、このパターンが『記録的な』高温をもたらした背景には、地球温暖化があります。地球温暖化によって平均気温が押し上げられているところに重なって熱波の気圧パターンが発生したために、これまで経験したことがないほどの高温になったのです」(江守さん)

Q2/異常気象に地球温暖化がどれくらい影響しているかわかるようになったの?

◆A/「イベント・アトリビューション」という異常気象を科学的に分析する新しい技術があります。

「イベント・アトリビューション(Event Attribution)」という新しい技術があります。

Event Attributionは「出来事・事象の原因の帰属」と訳すことができ、地球温暖化(気候変動)問題では「ある極端気象(異常気象)に人間活動による地球温暖化やその他の気候変動がどれくらい影響しているかを科学的に分析する技術」のことです。

日本でこのイベント・アトリビューションを実施しているグループに、気象学や気候科学の専門家たちによる活動である「極端気象アトリビューションセンター(略称/WAC)」があります。

そのWACは「2026年7月中旬〜下旬前半の記録的高温イベントをWAC手法により分析したところ、地球温暖化がなければこのレベルの高温は起こりえなかった」と発表しました。

「イベント・アトリビューションでは、温暖化している実際の地球と、もしも人間活動による温暖化がなかったらという仮想的な地球で、気候のシミュレーションを多数回繰り返します。その両者を比較することで、特定の異常気象が温暖化によってどれくらい起こりやすくなったといえるかを調べます。

近年の多くの猛暑の事例は、温暖化がなかったとしたときの仮想的な地球の条件では、ほとんど起き得ないような高温になってきているのです」(江守さん)

Q3/このまま地球温暖化が進んだら、未来の日本はどうなるの?

◆A/2050年の夏、日本各地で40℃を記録し、外出自粛令が発令されている可能性があります。

日本気候リーダーズ・パートナーシップやNHKエンタープライズなどからなる「2050年の天気予報」製作委員会は今月、「2050年の天気予報 (Ver.2)」を公開しました。これは2014年に制作された「2050年の天気予報」の改訂版です。

2014年からの12年間で当時の予測がすでに現実になった部分があるため、最新の科学に基づいてアップデートされました。

この「2050年の天気予報(Ver.2)」では、最新の科学的知見をもとに、温暖化が進んだ2050年に起こりうる未来の一例を描いています。

それによると、2050年の夏、日本各地の延べ157地点で40℃以上の酷暑日を記録します。これは、記録的な暑さとなった去年や今年の約5倍の数値で、酷暑日が当たり前に発生する夏が訪れるという予測です。

保育所と幼稚園は休園を余儀なくされ、屋外での運動は厳禁、午前11時から午後3時までは外出自粛令が発令されています。

米は不作になり、食用油の原料や飼料の価格は高騰し、冷たい海域を好むサケは日本近海から姿を消しました。

コーヒーやチョコレートの産地が地球温暖化によるダメージを受け、これらは高価な贅沢品になっています。

最大風速60m/s、最大瞬間風速100m/sの猛烈な台風も起こります。これは古い家の屋根が飛び、鉄塔が倒れ、走行中のトラックが横転するほどの非常に強い風です。

大阪湾では、最大で5mを超える津波のような高潮が発生するおそれがあります。

これらのことは、2050年の夏に起こりうる事象の一例です。

現状のまま、人類が二酸化炭素などの温室効果ガスを排出し続け、地球温暖化が進めば、これらのことは十分に起こりうるといえます。

Q4/地球温暖化を止めるために大切なことは何?

◆A/世界で協力して、化石燃料に頼らない形に社会の仕組みを創り変える必要があります。

「人間活動による温室効果ガスの排出が続く限り、地球温暖化は進行し続けます。その温室効果ガスの大部分は、石炭、石油、天然ガスといった化石燃料を燃やしてエネルギーを作るときに出てくる二酸化炭素です。

つまり、エネルギーを化石燃料に頼っている限りは、地球温暖化は止まりません。

火力発電所を太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーに置き換えたり、電気自動車を普及させたりすることで、化石燃料の使用を減らしていくことができます。そのような変化は既に世界中で起きていますが、まだまだスピードが足りません。

一人ひとりが、化石燃料に頼らない形に社会の仕組みを創り変える必要性を理解して、それに賛成する気持ちになることが何よりも大切です。

もちろん、再生可能エネルギーも乱開発になったらよくないので、地域にメリットがある形で増やす必要があります。

どうやったらみんなが納得して、メリットを感じながらこの変化を進められるか、ぜひ一緒に考えてください」(江守さん)


ウェザーニュースでは、気象情報会社の立場から地球温暖化対策に取り組むとともに、さまざまな情報をわかりやすく解説し、皆さんと一緒に地球の未来を考えていきます。


監修/江守正多 東京大学 未来ビジョン研究センター 教授(@seitaemori)
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