地球温暖化のウソ? ホント?(26)スズメが減少しているのは地球温暖化の影響って、本当?

2026-04-25 05:00 ウェザーニュース

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春から初夏はスズメが最も活発に動き回る時季です。4月の今も、まさにそう。

しかし、皆さんの周りではどうでしょうか。家の近くや通勤、通学時にスズメを見ることがあるでしょうか。「そういえば、スズメ、最近、見ないなぁ」と思う人もいるのではないでしょうか。

実は近年、日本のスズメは大きく減少しているという報告があります。幾つか指摘されている原因の一つに地球温暖化との関係もあります。

スズメなどの減少について、気候変動問題の専門家である江守正多さん(東京大学 未来ビジョン研究センター教授)の監修のもと見ていきましょう。

Q1/国内のスズメが絶滅危惧種並みに減っているって、本当?

近年、個体数の減少が指摘されているスズメ
◆A/スズメやヒバリなどの個体数は2015年以降、急減しています。

2024年10月、環境省自然環境局は「モニタリングサイト1000第4期とりまとめ報告書概要版」および「モニタリングサイト1000里地調査2005-2022年度とりまとめ報告書」を公表しました。

後者の「モニタリングサイト1000里地調査2005-2022年度とりまとめ報告書」には次の記述が見られます。

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身近なチョウ類の33%、鳥類の15%にあたる種について、里地調査サイトにおける1年あたりの個体数減少率が3.5%以上と急速に減少している傾向が確認されました。また、鳥類では、里地調査サイト及び森林・草原調査サイトにおいて、スズメやヒバリなど農地に生息する鳥の記録個体数が2015年以降に急激に減少している傾向があり、1年あたりの減少率は7.4%でした。これらの減少傾向は、種全体についてこの減少率が長期間続く場合、環境省レッドリストの判定基準を満たしうる数値に相当します。(ページ数などは略)
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この記述から、スズメなどの鳥の数は急減していて、このままでは、環境省レッドリストに入るほどの減少ペースであることがわかります。

環境省レッドリストは、日本に生息または生育する野生生物を対象に、専門家で構成される検討会において種の絶滅の危険度を客観的に評価したリストです。

「モニタリングサイト1000里地調査2005-2022年度とりまとめ報告書」は、スズメやヒバリなどが絶滅危惧種に入る可能性にも言及しているといえます。

「スズメ、最近、見ないなぁ」と思っている人の感覚は決して的外れではないといえそうです。

Q2/スズメの減少と地球温暖化には関係があるの?

◆A/地球温暖化が鳥類などの個体数に影響を与えている可能性があります。

「モニタリングサイト1000里地調査2005-2022 年度とりまとめ報告書」には、2009年から2020年の生息環境ごとの鳥類の記録個体数の経年変化が載っています。

そこでは、アオゲラ、アオバト、アカゲラ、コガラなどは「森の鳥」、ウグイス、シジュウカラ、トビ、ホトトギス、メジロなどは「里山の鳥」、カルガモ、カワセミ、スズメ、ヒバリなどは「農地の鳥」に分類されています。

この中の「農地の鳥」は、急激な気温上昇が始まった2015年以降に、急速に記録個体数が減少していることが明らかになったと、報告書は記しています。

そして、近年の温暖化に伴って、農地の鳥の生息に適した地域が減った可能性と、気候変動(地球温暖化)が鳥類の個体数の増減に影響を与えている可能性も、同報告書は指摘しています。
気温が大きく上がっている場所ほど、草原にすむ生き物の種類が減っている傾向が見られる
また、この報告書の作成にも関わっている日本自然保護協会は公式サイトに次のように記しています。

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2008~2022年の日本全国の年平均気温は上昇傾向にあった。この気温の上昇が、里山の生態系と生物多様性に影響を及ぼしていると考えられる変化がみられた。例えば、植物・チョウ類・鳥類では、気温の上昇が大きい調査サイトほど草原性の種の記録種数が減少する傾向が確認された。
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前出の報告書も日本自然保護協会のサイトも、スズメなどの減少の主因は地球温暖化である、と主張しているわけではありません。

スズメなどの減少には、人の住宅環境の変化、昆虫の減少、農業・里山の変化、各地の都市化なども考えられます。複合的な原因でスズメなどが減少していると考えるのが妥当です。

とはいえ、地球温暖化がスズメに限らず、多くの生物の生態に大きな影響を与えていることは十分に考えられます。

Q3/地球温暖化は多くの生物を絶滅させてしまうの?

◆A/地球温暖化は生物種の絶滅を加速させている要因の一つです。

生態系に対する地球温暖化の影響について、江守さんは次のように話します。

「地球温暖化による生態系への影響のわかりやすいイメージは、温度帯のシフトです。つまり、全体的に気温が上がっていくと、ある平均気温の地域が、より緯度の高いほうや高度の高いほうといった、それまで涼しかった地域に動いていきます。

ある生物種が居心地のよい温度のところで生きようとすると、温度帯がシフトするにつれて、高緯度や高高度に動いていかなければなりません。

もしその生物の移動できる速度に比べて、温暖化による温度帯のシフトの速度がずっと早ければ、生物はそれについていけずに、暑すぎる環境で生きることになり、個体数を減らしたり、最悪の場合は絶滅したりすることになるでしょう。
北端に生息するホッキョクグマは北へ行こうにもそれ以上行けない。行き場を失うタイプの典型例
また、これ以上高い場所へ移動できない山頂や、北半球ではこれ以上北へ行けない陸地の最北端に追い込まれた生物は、特に厳しい状況に置かれます。

動物や昆虫は移動が速いけれど、植物は移動が遅いといった速度の違いによって、それまで成り立っていた、動物とその餌などの生物と生物の関係が崩れてしまうことも考えられます。

このような気温上昇の影響のほかに、地域によっては、温暖化により激甚化する干ばつや山火事などによって、生態系がさらなるダメージを受けることになるでしょう。

人間活動による直接的な生息地の破壊や汚染、乱獲、外来種の問題に加えて、地球温暖化は、生物種の絶滅を近年加速させている要因の一つといえます」

身近な動物であるスズメなどの数が減っているという報告について見てきました。

地球温暖化の影響を受けている生物は、もちろんスズメだけではありません。非常に多くの動植物が大きな影響を受けています。そこには当然、ヒトも含まれます。

また、生物たちが地球温暖化の影響を受けることによって、食料生産や感染症などの問題を通じて、ヒトはさらなる影響を受けるでしょう。

そういう意味では、地球温暖化、気候変動問題は、まさに「私たちのこと」でもあります。

まずは日頃から、地球温暖化について、家族や友人、職場の同僚と話題にしてみてはどうでしょうか。そうした意識や行動の積み重ねが地球温暖化対策を前に進めることにつながるのではないでしょうか。


ウェザーニュースでは、気象情報会社の立場から地球温暖化対策に取り組むとともに、さまざまな情報をわかりやすく解説し、皆さんと一緒に地球の未来を考えていきます。
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監修/江守正多 東京大学 未来ビジョン研究センター 教授(@seitaemori)
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