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雨雲レーダーにリング状の模様「ブライトバンド」が出現

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2025/03/16 08:46 ウェザーニュース

今日3月16日(日)は雨雲レーダーを見ると、関東付近には移動しないリング状のエコーが出現しています。

これはレーダー特有の「ブライトバンド」と呼ばれる反応で、リング状の強い雨雲は実際には存在しません。上空に「みぞれ」の層(融解層)があることを示唆しています。
» 雨雲レーダーの予想を見る

雪→雨への変化でレーダーが降水強度を過大評価

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雨雲レーダーは電波を上空に向けて発射し、雨粒などに反射して返ってくる電波の強さをもとに、降水の強さを推定しています。

このとき上空に、雪がとけかけている「みぞれ」の層(融解層)があると、雪や雨の粒よりも電波をよく反射するため、実際の降水の強さよりも過大に評価されてしまうのです。これがブライトバンドがリング状に明るく見える理由です。

雨雲レーダーは高さの角度を変えながら回転して観測しているため、上空の特定の高さにみぞれの層(融解層)があると、その高さに応じた半径の部分に移動をしない明るいブライトバンドが出来るというわけです。

偽の強い雨雲に見えてしまうため、気象庁では他の種類のノイズと同様に軽減する自動処理を行いますが、完全には除去できずに可視化されたようです。

今回は気象庁の東京レーダー(柏市)や国土交通省の船橋レーダー(船橋市)・新横浜レーダー(横浜市)・関東レーダー(さいたま市)の上空にみぞれの層(融解層)があるため、レーダー設置場所の周辺にブライトバンドが出現しているものとみられます。

ブライトバンドが見えたときの3つのポイント

1.ブライトバンドの下で強い雨が降っているとは限らない
もしそれがブライトバンドであれば、周囲よりも過大評価されていると考えられますので、降水の強さは割り引いて考える必要があります。

2.上空には雪の層がある
ブライトバンドが出ているということは、上空にみぞれの層・雪の層が存在していることになります。地上では雨が降っていても、周辺の標高の高いところでは雪が降っているかもしれません。

3.リングの大きさの変化に注目
先述のように、ブライトバンドの半径はみぞれの層(融解層)がある高さによって変化します。リングの半径が小さくなると、それだけ低い高さにみぞれの層(融解層)があることを示しますので、リングが小さく変化してきたら地上でも雪に変わるタイミングが近いと読み取れます。

今後、レーダーを見る際のひとつの豆知識としてご参考ください。
» 雨雲レーダーを見る

午後は融解層が上昇 リングは大きくなり消えていく見通し

関東平野では降っているものは雨で、雪のまま地上に降っているのは甲信や北関東の内陸部に限られます。ブライトバンドが縮小して雪に変わるということはない見通しです。

午後になると低気圧の接近とともに暖気が北上してきますので、関東甲信の内陸部での雪は雨に変わる予想です。

山地では積雪となっているため、車はスタッドレスタイヤやチェーン等を装着しスリップ事故等に十分注意して運転してください。
» レーダー 積雪モードをアプリで見る

画像:気象庁HP「雨雲の動き」
参考:気象庁HP「気象レーダーを利用する際の注意事項」