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「COP」って、なに? 「COP29」では何が話し合われるの?

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2024/11/11 05:00 ウェザーニュース

11月11日~22日にCOP29が開催される予定です。

少し前の10月21日~11月1日にはCOP16が開催されていました。

COP16が終わった直後にCOP29が開かれる? どういうこと? と思う人もいるでしょう。

そもそもCOPとは何なのか。そして、まもなく開催されるCOP29ではどんなことが話し合われるのか。

気候変動問題の専門家である江守正多さん(東京大学 未来ビジョン研究センター教授)の監修のもと、COPについて紹介します。

そもそもCOPとは?

COPは通常「コップ」と読み、「Conference of the Parties」の略です。「締約国会議」と訳すことができ、平たくいえば、「条約を結んだ国々による会議」のことです。

COPは単に締約国会議を意味するので、いろいろな事柄についての締約国の会議があります。10月21日~11月1日にコロンビアのカリで開かれていたCOP16もその一つで、これは国連の生物多様性条約の締約国会議です。

なかでも、特に有名でマスコミなどでよく見聞きするCOPは国連気候変動枠組条約のCOPです。

簡単にいえば、このCOPは「条約を結んだ国々による気候変動に関する会議」です。気候変動枠組条約の加盟国が定期的に議論する会合で、地球温暖化の対策に関する国際的な取り決めが話し合われます。例年、11月~12月上旬ごろに約2週間にわたって開かれます。
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COPと京都議定書やパリ協定の関係は?

ここからは国連気候変動枠組条約のCOPについて説明します。

COPは1995年から1年に1回、開催されています。開催地はその年によって異なります。

COP1(コップワン)、つまり1回目のCOPは1995年、ドイツのベルリンで開催されました。

これまでで特に注目されたCOPは、第3回のCOP3や第21回のCOP21などです。

COP3は1997年に京都市で開かれました。この会議で、先進国の温室効果ガスの排出量について、法的拘束力のある数値目標を国ごとに設定し、目標を達成するための仕組みが策定されました。これらのことを定めた文書は「京都議定書」といわれます。

COP21は2015年にフランスのパリで開かれました。COP21では、京都議定書に代わる取り決めがなされ、これは「パリ協定」といわれます。

パリ協定は2020年以降の温室効果ガス排出削減のための国際的な枠組みです。世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く抑え、さらに1.5℃までに抑えるよう努力を追求することなどが決められました。

COP29の注目ポイントは?

COP29は今年(2024年)の11月11日~22日にアゼルバイジャンの首都、バクーで開かれます。

先進諸国からは、イギリスのスターマー首相、ドイツのショルツ首相、イタリアのメローニ首相などが出席する予定です。

一方、去年(2023年)のCOP28は岸田文雄首相(当時)などが出席しましたが、今年は石破茂首相の出席が見送られました。

このCOP29では、新たな気候資金の目標の策定、各国の気候変動問題への貢献の引き上げなどが議論される予定です。

「気候資金」は先進国が途上国の温暖化対策を支援するための資金です。先進国が地球温暖化の主な原因である温室効果ガスを多く排出してきたことが背景にあります。気候資金の新たな目標を決めることはCOP29の主要テーマの一つです。

COP29で注目すべき点について、江守正多さんは次のように話します。

「これまでの気候資金の目標は、2020年までに先進国から途上国への資金提供(融資や民間資金の動員を含む)を年間1000億ドルにすることで、目標より2年遅れて2022年に達成されました。

そもそも気候変動の原因への責任は主に先進国にあり、途上国は責任がほとんどないのに大きな被害を受ける立場です。その上、気候資金の目標達成が遅れたことで、途上国から先進国への不満、不信が募ってきていると聞きます。

先進国の温室効果ガス排出量は徐々に減ってきていますが、世界全体の排出量が減っていくためには、これから豊かになる国々が、温室効果ガスを出さずに発展していく必要があります。

そのためには先進国からの資金や技術の提供がこれまで以上に必要です。その意味で、今回議論される2025年からの新しい資金目標は、世界の脱炭素化を進める上での重要なカギの一つになるでしょう。

また、中国などの新興国は条約では途上国側に分類されていますが、既に排出の責任も資金提供の能力も十分に高くなっています。そのような国々が資金提供側に回るかどうかも注目ポイントです」(江守さん)

江守さんの指摘を参考にして、COP29に注目してみてはいかがでしょうか。

ウェザーニュースでは、気象情報会社の立場から地球温暖化対策に取り組むとともに、さまざまな情報をわかりやすく解説し、皆さんと一緒に地球の未来を考えていきます。まずは気候変動について知るところから、一緒に取り組んでいきましょう。
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監修/江守正多
東京大学 未来ビジョン研究センター 教授(@seitaemori)