カムチャツカ半島 ベズィミアニィ火山で噴火 噴煙は約1万2000mに
2024/07/25 07:57 ウェザーニュース
日本時間の今日7月25日(木)未明、カムチャツカ半島のベズィミアニィ火山で大きな噴火が発生しました。噴煙は高度1万2000mに到達したものとみられます。
ベズィミアニィ火山は1955年以降たびたび規模の大きな噴火を起こしていて、近年も活発な火山活動を続けています。噴煙の高さのみで噴火の規模は比較できないものの、最近では2022年5月に高度1万5000mまで噴煙を上げる噴火を起こしました。
気象衛星ひまわり8号の可視画像では、白く映る周辺の雲とは別に、濃い灰色の噴煙が南東に流れている様子がはっきりと見ることが出来ます。
カメラ画像の中央の富士山様の山は「クリュチェフスカヤ山」(標高4750メートル)で、その左後ろに隠れる形でベズィミアニィの火口があります。
噴煙は南東に流れている
ひまわり8号 火山灰雲解析画像(ウェザーニュース作成)
噴煙は南東に流れていて、アリューシャン列島方面に拡散している様子が気象衛星ひまわり8号の画像から確認出来ます。23時には、日付変更線を越えてアメリカのアッツ島沖にまで拡散しているとみられます。
※この画像は衛星が撮影した複数の波長の観測結果を合成したもので、火山灰雲と解析された部分がオレンジ色に見えています。ウェザーニュースではAI火山灰検知システムを運用し、航空機等への影響の有無を常に監視しています。
噴煙の状況次第では航空機に影響も
噴火により多量の火山灰が大気中に放出されると、それを吸い込んだ飛行機のエンジンが停止したり、操縦席の窓ガラスに傷が付いて見通しが利かなくなるなど、航空機の運航へ重大な影響を及ぼすおそれがあります。
今後の火山灰の状況次第では、カムチャツカ半島付近を発着する旅客機をはじめ、付近を通過する北米や欧州とアジアを結ぶ国際線の航空便の経路変更などで、遅延等の影響が生じる可能性があります。
スメル火山(Semeru/標高3676m)は、インドネシアのジャワ島の東部にある火山です。インドネシアに点在する活火山と同様に、たびたび噴煙を1万メートル以上に噴き上げる噴火を起こしていて、火砕流や泥流を発生させることもあります。
今回の噴火では、噴煙を対流圏の上端付近まで噴き上げたとみられ、気象衛星ひまわりからも噴煙を確認しました。
フィリピン火山地震研究所(PHIVOLCS)は国民に向けて、タール火山の噴火活動への警戒レベルを0〜5の6段階で設定して発表しています。PHIVOLCSは段階的に警戒レベルを引き上げ、日本時間の20時30分には上から2番目の4に引き上げました。
周辺では降灰が確認され、現地当局は火砕流と津波の危険性があるとして、タール火山島とバタンガス州アゴンシロとローレルという地域に避難勧告をだしてます。
空振による津波は発生しなかった模様
今年1月にトンガの火山フンガトンガ=フンガハアパイで大規模な噴火が発生した際には、通常とは異なる津波が発生して、日本にも津波が到達しました。
今回のベズィミアニィ火山の噴火により津波が発生するかどうかはわかりませんが、気象庁は潮位変化を監視する旨の発表を行っていました。
気象庁によると、21時30分現在、海外および国内の観測点で有意な潮位変化は観測されていません。
※ベズィミアニィ:ロシア語のБезымянный(Bezymianny)。日本語ではベズイミアニとも書かれ、意味は「名無し(unnamed)」。
※ベズィミアニィ:ロシア語のБезымянный(Bezymianny)。日本語ではベズイミアニとも書かれ、意味は「名無し(unnamed)」。
出典・参考
気象衛星画像:NICT 情報通信研究機構