住宅の片付けごみ焼却で約1,100トンのCO2を排出と試算
大雨で住宅が浸水すると、水につかった家具や建材などが片付けごみとして一度に大量に出されます。
今回の千葉豪雨で浸水被害を受けた住宅3,750棟を対象に推計を行いました。環境省が示す基準では、水害で被災した建物1棟あたりから発生する片付けごみの量は1.7トンとされています。この数値を今回の被害棟数にあてはめると、発生する片付けごみの総量は約6,400トンに達する計算になります。
水害で発生したごみはすべてが燃やされるわけではなく、分別作業を経て再資源化されるものもあります。そこで過去の水害に関する研究を参考に、発生したごみのうち50%が焼却処理に回されると仮定しました。
ここに、環境省が公表している一般廃棄物焼却施設の排出指標であるごみ1トンあたり0.340トン-CO2を適用すると、約1,100トン-CO2という参考試算値が導き出されます。
計算式:3,750棟 × 1.7トン/棟 × 50% × 0.340トン-CO2/トン = 約1,100トン-CO2
水害の後片付けという生活再建の過程そのものが、温室効果ガスを排出する要因になっていることがうかがえます。
今回の千葉豪雨で浸水被害を受けた住宅3,750棟を対象に推計を行いました。環境省が示す基準では、水害で被災した建物1棟あたりから発生する片付けごみの量は1.7トンとされています。この数値を今回の被害棟数にあてはめると、発生する片付けごみの総量は約6,400トンに達する計算になります。
水害で発生したごみはすべてが燃やされるわけではなく、分別作業を経て再資源化されるものもあります。そこで過去の水害に関する研究を参考に、発生したごみのうち50%が焼却処理に回されると仮定しました。
ここに、環境省が公表している一般廃棄物焼却施設の排出指標であるごみ1トンあたり0.340トン-CO2を適用すると、約1,100トン-CO2という参考試算値が導き出されます。
計算式:3,750棟 × 1.7トン/棟 × 50% × 0.340トン-CO2/トン = 約1,100トン-CO2
水害の後片付けという生活再建の過程そのものが、温室効果ガスを排出する要因になっていることがうかがえます。
浸水車両のリサイクル処理で約5,300トンのCO2換算と試算
豪雨で道路が冠水したり駐車場が浸水したりすると、自動車も大きな被害を受けます。
千葉豪雨で浸水や冠水の影響を受けたとみられる車両は、県内で約2万台と推計されています。今回はこのうち半数にあたる約1万台が廃車になったケースを想定しました。この50%という比率は、ウェザーニューズが2026年9月17日(木)に発表したお天気ニュースにおいて、車両被害の経済的な影響を算出する際に用いた全損相当の条件を参考にした仮定です。
車を廃車にして処分する場合、解体や破砕、金属などの再資源化といった複数のリサイクル工程を経るため、そこでもエネルギーが消費されます。
国内の自動車リサイクル分野が公表しているデータから算出したところ、使用済自動車1台の処理に伴う温室効果ガス排出量は約0.53トン-CO2換算となりました。この全国平均の数値をあてはめると、排出量は約5,300トン-CO2換算に達する試算になります。
計算式:約2万台 × 50% × 約0.53トン-CO2換算/台 = 約5,300トン-CO2換算
浸水した車は移動の手段として使えなくなるだけでなく、処分の過程でも環境に負荷をかけることがうかがえます。
千葉豪雨で浸水や冠水の影響を受けたとみられる車両は、県内で約2万台と推計されています。今回はこのうち半数にあたる約1万台が廃車になったケースを想定しました。この50%という比率は、ウェザーニューズが2026年9月17日(木)に発表したお天気ニュースにおいて、車両被害の経済的な影響を算出する際に用いた全損相当の条件を参考にした仮定です。
車を廃車にして処分する場合、解体や破砕、金属などの再資源化といった複数のリサイクル工程を経るため、そこでもエネルギーが消費されます。
国内の自動車リサイクル分野が公表しているデータから算出したところ、使用済自動車1台の処理に伴う温室効果ガス排出量は約0.53トン-CO2換算となりました。この全国平均の数値をあてはめると、排出量は約5,300トン-CO2換算に達する試算になります。
計算式:約2万台 × 50% × 約0.53トン-CO2換算/台 = 約5,300トン-CO2換算
※全損相当の割合は実際の廃車率を示すものではありません。
浸水した車は移動の手段として使えなくなるだけでなく、処分の過程でも環境に負荷をかけることがうかがえます。
長雨と冠水で植物のCO2吸収低下や土壌環境の変化も
大雨がもたらす影響は、人工物である住宅や自動車の損壊だけにとどまりません。長期間にわたる雨や冠水は、農作物の健やかな生育を妨げるだけでなく、植物が本来持っている二酸化炭素の吸収能力を鈍らせてしまう懸念があります。
実際に2021年に公表された海外の研究事例では、冠水した条件下に置かれた農作物の純光合成速度が、平均して約39%も低下したという報告がなされています。この数値は千葉豪雨での直接の測定結果ではありませんが、水害が自然界の吸収源に及ぼす影響の大きさを示唆しています。
さらに、土壌が水に浸かった状態が長く続くと、土の中の微生物の働きや炭素の循環バランスが崩れ、メタンや一酸化二窒素といった別の温室効果ガスが地表から放出されやすくなる可能性も指摘されています。今回の数値試算には、こうした生態系への影響や、被災した道路や公共施設を復旧する工事に伴う排出量は含まれていません。
大雨災害が環境に与える隠れた影響は、数字に表れている以上に広範囲に及んでいる可能性があります。
実際に2021年に公表された海外の研究事例では、冠水した条件下に置かれた農作物の純光合成速度が、平均して約39%も低下したという報告がなされています。この数値は千葉豪雨での直接の測定結果ではありませんが、水害が自然界の吸収源に及ぼす影響の大きさを示唆しています。
さらに、土壌が水に浸かった状態が長く続くと、土の中の微生物の働きや炭素の循環バランスが崩れ、メタンや一酸化二窒素といった別の温室効果ガスが地表から放出されやすくなる可能性も指摘されています。今回の数値試算には、こうした生態系への影響や、被災した道路や公共施設を復旧する工事に伴う排出量は含まれていません。
大雨災害が環境に与える隠れた影響は、数字に表れている以上に広範囲に及んでいる可能性があります。
事前の防災と減災が廃棄物を減らし環境負荷も抑える
現在進められている気候変動への取り組みには、温室効果ガスの排出そのものを抑える「緩和」と、激甚化する気象災害の被害に備える「適応」という二つの柱があります。
防災や減災は従来、後者の適応策として位置づけられてきました。何よりも早期の避難によって命を守ることが最優先ですが、さらに止水板を設置して家屋への浸水を防いだり、車両を前もって高台へ退避させたりする対策が被害の軽減に直結します。
被災した後の片付けや生活再建に向けた復旧作業は欠かせないものですが、事前の工夫で浸水被害そのものを食い止めることができれば、大量の災害廃棄物を出さずに済みます。つまり、壊れた家財の焼却や冠水した自動車の解体処理で生じるはずだった温室効果ガスの排出を、未然に防ぐことにつながるわけです。
今回の試算結果は、日頃の備えが生命や大切な財産を守るだけでなく、地球環境への負荷を減らすという新たな価値を生み出す可能性を示しています。防災を経済と環境の双方から捉え直す視点が求められます。
お天気ニュース記事一覧お天気ニュース 記事一覧
防災や減災は従来、後者の適応策として位置づけられてきました。何よりも早期の避難によって命を守ることが最優先ですが、さらに止水板を設置して家屋への浸水を防いだり、車両を前もって高台へ退避させたりする対策が被害の軽減に直結します。
被災した後の片付けや生活再建に向けた復旧作業は欠かせないものですが、事前の工夫で浸水被害そのものを食い止めることができれば、大量の災害廃棄物を出さずに済みます。つまり、壊れた家財の焼却や冠水した自動車の解体処理で生じるはずだった温室効果ガスの排出を、未然に防ぐことにつながるわけです。
今回の試算結果は、日頃の備えが生命や大切な財産を守るだけでなく、地球環境への負荷を減らすという新たな価値を生み出す可能性を示しています。防災を経済と環境の双方から捉え直す視点が求められます。
お天気ニュース記事一覧お天気ニュース 記事一覧
◼︎公表データに基づく独自算定で試算の前提条件
本試算は、公表情報をもとにしたWNI独自算定による推定値であり、実際に現地で計測された排出量そのものではありません。
住宅:浸水住宅3,750棟、片付けごみ1.7トン/棟、焼却割合50%、CO2排出指標0.340トン/トンを適用し、約1,100トン-CO2と試算。
車両:浸水車両19,996台、廃車割合50%、排出量約0.53トン-CO2換算/台を適用し、約5,300トン-CO2換算と試算。
※廃車割合50%は試算上の仮定であり、実際の廃車率を示すものではありません。
焼却・廃車割合50%はいずれも仮定です。住宅には環境省の焼却施設に関する排出抑制指標、車両には国内の自動車リサイクル分野の全国平均参考値を使用しています。なお、過去の水害における可燃物の組成割合は、実際の焼却割合を示すものではありません。
復旧工事、廃棄物の運搬、代替車両の製造、植物・土壌への影響などは対象外です。住宅と車両では算定範囲が異なるため、数値は合算していません。
◼︎出典・引用元
・被害数量: ウェザーニューズ「お天気ニュース」(2026年9月17日)
・災害廃棄物: 環境省「災害廃棄物対策指針・技術資料(技14-2)」、国立環境研究所「可燃物の組成調査」(2022年)
・CO2排出指標: 環境省「廃棄物処理部門における温室効果ガス排出抑制等指針マニュアル」(2012年)
・車両被害・処理: 国土交通省「治水経済調査マニュアル(案)」、環境省・経済産業省「自動車リサイクル関連合同審議会資料」(2024年)
・植物への影響: Tian et al.(2021), “How Does the Waterlogging Regime Affect Crop Yield? A Global Meta-Analysis”, Frontiers in Plant Science, 12, 634898.
シェアする
お天気ニュース
各エリアの天気予報
アクセスランキング
アメダスランキング
気温
降水量
風
降雪量
湿度
順位
地点
観測値



