Q1/温暖化の受け止め方は国によって違うって、本当?
◆A/本当です。後発開発途上国のほうが温暖化を日常的に考える傾向が強いです。
国連開発計画(UNDP)、英国オックスフォード大学、ジオポール(GeoPoll/アメリカの民間調査会社)では2024年に、77か国を対象に気候変動に関する調査「みんなの気候投票2024」を実施しました。
それによると、調査対象者の80%が政府に気候変動対策の強化を求めており、72%が化石燃料からの迅速な移行を支持しています。
国や地域による違いも見られます。たとえば、気候変動を日常的に考えている人々は、全世界で56%に上りますが、後発開発途上国では63%近くに達しています。
国連開発計画(UNDP)、英国オックスフォード大学、ジオポール(GeoPoll/アメリカの民間調査会社)では2024年に、77か国を対象に気候変動に関する調査「みんなの気候投票2024」を実施しました。
それによると、調査対象者の80%が政府に気候変動対策の強化を求めており、72%が化石燃料からの迅速な移行を支持しています。
国や地域による違いも見られます。たとえば、気候変動を日常的に考えている人々は、全世界で56%に上りますが、後発開発途上国では63%近くに達しています。
政府に気候変動対策の強化を求める割合は、温室効果ガス排出量の多い国々でも高いことがわかりました。しかし、その割合にはばらつきがあり、イタリア93%、イラン88%、ブラジル85%、南アフリカとインド77%、中国73%、ドイツ67%、アメリカとロシア66%となっています。
国によるこの違いについて、江守さんは次のように話します。
「国や地域によって温暖化の受け止め方が違う理由は、温暖化の影響の出方が深刻か否かという違い、教育やメディアの報道、政府の姿勢の違いといったことがまず考えられます。
そのほか、国民性や文化的な違いも影響しているのではないでしょうか。たとえば、温暖化の影響を『自然には逆らえない』という認識で受け入れてしまうかどうか、温暖化対策が不十分であれば政府に抗議の声を上げるべきと思うかどうか、といった違いは、その国の文化に染み付いた、ものの考え方と関係しているかもしれません」(江守さん)
国によるこの違いについて、江守さんは次のように話します。
「国や地域によって温暖化の受け止め方が違う理由は、温暖化の影響の出方が深刻か否かという違い、教育やメディアの報道、政府の姿勢の違いといったことがまず考えられます。
そのほか、国民性や文化的な違いも影響しているのではないでしょうか。たとえば、温暖化の影響を『自然には逆らえない』という認識で受け入れてしまうかどうか、温暖化対策が不十分であれば政府に抗議の声を上げるべきと思うかどうか、といった違いは、その国の文化に染み付いた、ものの考え方と関係しているかもしれません」(江守さん)
Q2/地球温暖化対策の必要性を感じている日本人は少ないって、本当?
◆A/行動に制約があるなどすると、対策に消極的になる傾向があります。
内閣府が2025年9~10月に実施した気候変動に関する意識調査があります。そのうちの1項目「気候変動が引き起こす問題に関心があるか」という問いに「関心がある」と答えた人の割合は91.5%(「関心がある」の割合50.5%と「ある程度関心がある」の割合41.0%との合計)でした。多くの人が気候変動問題に関心を持っていることがうかがえます。
内閣府が2025年9~10月に実施した気候変動に関する意識調査があります。そのうちの1項目「気候変動が引き起こす問題に関心があるか」という問いに「関心がある」と答えた人の割合は91.5%(「関心がある」の割合50.5%と「ある程度関心がある」の割合41.0%との合計)でした。多くの人が気候変動問題に関心を持っていることがうかがえます。
また、イプソス(Ipsos/フランスのパリに本社を置く市場調査会社)が32か国で実施した「人類と気候変動レポート2025」によると、日本では自国における気候変動の影響を懸念する人は81%に達し、2022年から12ポイント増加しました。
その一方、同調査によると、日本では気候変動対策への意識が大きく低下していることがわかりました。特に「個人が今すぐ行動しなければ次世代の期待を裏切る」と考える人は40%で、32か国で最も低く、2021年比で19ポイント低下しました。政府や企業に気候変動対策の強化を求める意識も日本が最下位でした。
日本では気候変動への不安は強まっているものの、行動の必要性や政府・企業への期待は弱まっているようにも見えます。
猛暑や豪雨を身近に経験し、気候変動への懸念も高い日本で、なぜ行動や対策を求める意識が低いのでしょうか。
その一方、同調査によると、日本では気候変動対策への意識が大きく低下していることがわかりました。特に「個人が今すぐ行動しなければ次世代の期待を裏切る」と考える人は40%で、32か国で最も低く、2021年比で19ポイント低下しました。政府や企業に気候変動対策の強化を求める意識も日本が最下位でした。
日本では気候変動への不安は強まっているものの、行動の必要性や政府・企業への期待は弱まっているようにも見えます。
猛暑や豪雨を身近に経験し、気候変動への懸念も高い日本で、なぜ行動や対策を求める意識が低いのでしょうか。
「個々の社会調査の結果は、調査方法や質問の表現などによっても影響を受けるので、一つの調査の結果を信用しすぎないほうがよいと思います。たとえば、イプソスの『次世代の期待を裏切ることになる』と思うかどうかという質問は、日本人には共感を得にくい表現だった可能性があります。
多くの調査結果を俯瞰的に見ると、気候変動の対策を進めるべきだという認識は、日本人も低くありません。
しかし、行動の制約や経済的な追加出費を受け入れて自分自身が対策に参加すべきかと聞かれると、消極的になる人が日本には確かに多いようです。
その背景には、日本人が他国の人と比べ、気候変動対策を経済的な負担と捉える傾向が強く、対策に経済的なメリットがあるという認識が弱いことがまず挙げられます。
ほかにも、国内外で対策が進んでいるという認識が弱く、対策をすれば温暖化が止まるという希望を持っている人が少ない傾向があります」(江守さん)
多くの調査結果を俯瞰的に見ると、気候変動の対策を進めるべきだという認識は、日本人も低くありません。
しかし、行動の制約や経済的な追加出費を受け入れて自分自身が対策に参加すべきかと聞かれると、消極的になる人が日本には確かに多いようです。
その背景には、日本人が他国の人と比べ、気候変動対策を経済的な負担と捉える傾向が強く、対策に経済的なメリットがあるという認識が弱いことがまず挙げられます。
ほかにも、国内外で対策が進んでいるという認識が弱く、対策をすれば温暖化が止まるという希望を持っている人が少ない傾向があります」(江守さん)
Q3/世界中で気候変動への個人の責任感が下がっているの?
◆A/世界各地の戦争などが影響して、気候変動問題の優先順位が下がった可能性があります。
イプソスが31か国で実施した「人類と気候変動レポート2026」によると、気候変動への懸念は依然として高い一方、「行動を起こさないことは将来世代に対する個人の責任放棄だ」と考える人の割合は、2021年から2026年にかけて、すべての調査対象国で低下しています。
イプソスが31か国で実施した「人類と気候変動レポート2026」によると、気候変動への懸念は依然として高い一方、「行動を起こさないことは将来世代に対する個人の責任放棄だ」と考える人の割合は、2021年から2026年にかけて、すべての調査対象国で低下しています。
「2021年と2026年を比較したときに、気候変動への個人の『責任感』が低下していると見られる結果が出たことの真の原因はわかりませんが、関連する可能性のあることとして、世界の雰囲気の変化を指摘したいと思います。
2021年はアメリカで第一次トランプ政権からバイデン政権に替わり、世界が気候変動に取り組む雰囲気が勢いづいていたといえると思います。日本も2020年に当時の菅総理が2050年のカーボンニュートラルを目指すことを決めて、対策目標が深掘りされました。
しかし、その後、2022年にウクライナ戦争が始まるなど、国際社会が不安定化していき、2025年にはアメリカで第二次トランプ政権が始まりました。世界が混乱して、人々が気候変動問題を考える優先順位が落ちている可能性があります」(江守さん)
2021年はアメリカで第一次トランプ政権からバイデン政権に替わり、世界が気候変動に取り組む雰囲気が勢いづいていたといえると思います。日本も2020年に当時の菅総理が2050年のカーボンニュートラルを目指すことを決めて、対策目標が深掘りされました。
しかし、その後、2022年にウクライナ戦争が始まるなど、国際社会が不安定化していき、2025年にはアメリカで第二次トランプ政権が始まりました。世界が混乱して、人々が気候変動問題を考える優先順位が落ちている可能性があります」(江守さん)
Q4/温暖化を「自分ごと」にするために必要なことはなに?
◆A/「対策を加速させれば温暖化は止められる」という気持ちを持つことがまず大切です。
地球温暖化、気候変動の問題は当然、人ごとではありません。日本のみならず、世界中の一人一人に密接に関係することです。
私たち一人一人が自分ごとと考え、行動するために必要なことは何でしょうか。
「まず、気候変動は世界で協力すれば止められるという認識を、皆さんにしっかり持っていただきたいと思います。
世界の対策のペースは理想には程遠いですが、それなりには進んでいます。たとえば、太陽光発電、蓄電池、電気自動車などの価格が安くなって、世界中ですごい勢いで普及してきています。日本についていえば、温室効果ガスの排出量は近年減ってきています。
地球温暖化、気候変動の問題は当然、人ごとではありません。日本のみならず、世界中の一人一人に密接に関係することです。
私たち一人一人が自分ごとと考え、行動するために必要なことは何でしょうか。
「まず、気候変動は世界で協力すれば止められるという認識を、皆さんにしっかり持っていただきたいと思います。
世界の対策のペースは理想には程遠いですが、それなりには進んでいます。たとえば、太陽光発電、蓄電池、電気自動車などの価格が安くなって、世界中ですごい勢いで普及してきています。日本についていえば、温室効果ガスの排出量は近年減ってきています。
『すでに始まっている対策を加速していけば温暖化は止められるのだから、それを自分も後押しするんだ』という気持ちになってほしいです。
もう一つは、対策のメリットを理解することです。『断熱性能のよい家を建てる』『屋根に太陽光パネルを設置する』『電気自動車を購入する』といったことは、最初は追加的な投資が必要になりますが、長く使っていれば、ランニングコストの安さで元が取れて、トータルで見れば得になることが多いです。
しかも、断熱のよい家は快適で、太陽光パネルがあれば非常時も電気が使え、電気自動車は自宅で充電できるなど、追加的なメリットがあります。
対策が自分にとって得であることを理解する人が増えれば、世の中の雰囲気は変わってくるのではないでしょうか」(江守さん)
もう一つは、対策のメリットを理解することです。『断熱性能のよい家を建てる』『屋根に太陽光パネルを設置する』『電気自動車を購入する』といったことは、最初は追加的な投資が必要になりますが、長く使っていれば、ランニングコストの安さで元が取れて、トータルで見れば得になることが多いです。
しかも、断熱のよい家は快適で、太陽光パネルがあれば非常時も電気が使え、電気自動車は自宅で充電できるなど、追加的なメリットがあります。
対策が自分にとって得であることを理解する人が増えれば、世の中の雰囲気は変わってくるのではないでしょうか」(江守さん)
地球温暖化や気候変動の問題に関心を持って、心配もする。そしてさらに、具体的な対策にも関心を持って、行動していく。これらのことが大切であるといえるでしょう。
ウェザーニュースでは、気象情報会社の立場から地球温暖化対策に取り組むとともに、さまざまな情報をわかりやすく解説し、皆さんと一緒に地球の未来を考えていきます。
監修/江守正多 東京大学 未来ビジョン研究センター 教授(@seitaemori)
【気候変動特集】ウェザーニュースと考える地球の未来
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