海水取水の停止で設備がストップ 1日1億円超の巨額損失も
火力や原子力発電所では蒸気でタービンを回して電気を作っています。使い終えた蒸気は冷やして水に戻し、繰り返し利用する仕組みです。この冷却のために沿岸の発電所では大量の海水を使っています。
取水口には生き物をせき止める網などがありますが、クラゲが一度に大量に流れ込むと除去が追いつかず、網の目がふさがってしまいます。必要な海水を十分に取り込めなくなると、出力を下げたり運転を止めたりしなければなりません。つまり、海の生き物によって発電所の安全な運転が直接脅かされることになります。
発電が止まれば経済的にも大きな打撃となります。2011年に英国のトーネス原発が停止した際は、1日約100万ポンド(当時約1億3000万円)の損失が生じました。電力の供給低下は企業の活動や私たちの暮らしにも直結するため、取水口の詰まりは決して見過ごせない問題です。
取水口には生き物をせき止める網などがありますが、クラゲが一度に大量に流れ込むと除去が追いつかず、網の目がふさがってしまいます。必要な海水を十分に取り込めなくなると、出力を下げたり運転を止めたりしなければなりません。つまり、海の生き物によって発電所の安全な運転が直接脅かされることになります。
発電が止まれば経済的にも大きな打撃となります。2011年に英国のトーネス原発が停止した際は、1日約100万ポンド(当時約1億3000万円)の損失が生じました。電力の供給低下は企業の活動や私たちの暮らしにも直結するため、取水口の詰まりは決して見過ごせない問題です。
日本各地でも相次ぐ取水トラブル 30万kWの設備停止も発生
クラゲによる被害は海外だけではありません。国内の状況をまとめた2005年の報告によると、1996〜2000年に調査した108か所の火力発電所のうち、実に43か所でクラゲの流入が確認されました。伊勢湾や大阪湾、瀬戸内海など、沿岸部に重要施設が集まる各地の発電所で以前から問題になっていました。
このトラブルは過去の話ではなく近年も起きています。2025年7月30日には山口県のトクヤマ東発電所で、出力30万kWの発電設備が計画外停止しました。これもクラゲの大量流入により、取水設備に支障が生じたためとみられています。
出力30万kWという大規模な設備が止まれば、電力の安定供給を揺るがす事態になりかねません。つまり、海の環境変化によって引き起こされるトラブルは私たちの生活を支えるエネルギー基盤に直結しているのです。
このトラブルは過去の話ではなく近年も起きています。2025年7月30日には山口県のトクヤマ東発電所で、出力30万kWの発電設備が計画外停止しました。これもクラゲの大量流入により、取水設備に支障が生じたためとみられています。
出力30万kWという大規模な設備が止まれば、電力の安定供給を揺るがす事態になりかねません。つまり、海の環境変化によって引き起こされるトラブルは私たちの生活を支えるエネルギー基盤に直結しているのです。
水温変動と海流が大量発生の引き金 風が群れを取水口へ運ぶ
クラゲの増殖や移動には、気象や海の環境が深く関わっています。
ミズクラゲには岩や岸壁に付着する「ポリプ」の時期があり、季節による水温変化を受けて小さなクラゲが海へ放たれます。2025年に大量発生した徳島県の北灘沿岸では、3月下旬まで水温が9℃前後にとどまり、その後に上昇しました。県の報告では低水温でポリプの形が変わり、春の昇温を機に放出された可能性が示されていますが、原因の特定には至っていません。
生まれたクラゲを運ぶのは風や潮、海流です。姫路周辺の事例では、海から陸へ吹く風が起こす流れで岸に寄せられ、潮流や取水流に乗って取水口へ運ばれるとみられています。また水産庁は、2009年に大型クラゲが日本近海にとどまった要因として黒潮が沿岸から離れたことなどを指摘しました。
黒潮は2017年8月からの大蛇行が2025年4月に終息するなど変化しており、海の流れの変動が被害リスクを左右しています。
ミズクラゲには岩や岸壁に付着する「ポリプ」の時期があり、季節による水温変化を受けて小さなクラゲが海へ放たれます。2025年に大量発生した徳島県の北灘沿岸では、3月下旬まで水温が9℃前後にとどまり、その後に上昇しました。県の報告では低水温でポリプの形が変わり、春の昇温を機に放出された可能性が示されていますが、原因の特定には至っていません。
生まれたクラゲを運ぶのは風や潮、海流です。姫路周辺の事例では、海から陸へ吹く風が起こす流れで岸に寄せられ、潮流や取水流に乗って取水口へ運ばれるとみられています。また水産庁は、2009年に大型クラゲが日本近海にとどまった要因として黒潮が沿岸から離れたことなどを指摘しました。
黒潮は2017年8月からの大蛇行が2025年4月に終息するなど変化しており、海の流れの変動が被害リスクを左右しています。
漁船での回収や資源化 被害を減らす取り組み
取水口への流入を防ぐため、海上でクラゲを見つけて早期に回収する対策が進んでいます。
フランスのグラブリーヌ原発では、2025年の大量流入を受けて漁業者らが毎日海上で出現状況を確認する仕組みを始めました。クラゲが増えた場合は調査を強化し、必要に応じて漁船で回収して発電所への接近を阻止します。
また、捕獲したクラゲを有効利用する動きも広がっています。国内では昭和シェル石油など3社が2019年、クラゲからコラーゲンなどを取り出し、化粧品の原料に生かす事業化の検討に合意しました。単に処分するだけでなく、資源として活用する新たな道が開かれつつあります。
取水設備の点検とともに、周辺海域での出現状況をいち早く把握することが重要です。水温の変化や風、潮の流れに目を向けることが大量流入への備えとなり、私たちの生活を支える安定した電力供給の維持につながっていきます。
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フランスのグラブリーヌ原発では、2025年の大量流入を受けて漁業者らが毎日海上で出現状況を確認する仕組みを始めました。クラゲが増えた場合は調査を強化し、必要に応じて漁船で回収して発電所への接近を阻止します。
また、捕獲したクラゲを有効利用する動きも広がっています。国内では昭和シェル石油など3社が2019年、クラゲからコラーゲンなどを取り出し、化粧品の原料に生かす事業化の検討に合意しました。単に処分するだけでなく、資源として活用する新たな道が開かれつつあります。
取水設備の点検とともに、周辺海域での出現状況をいち早く把握することが重要です。水温の変化や風、潮の流れに目を向けることが大量流入への備えとなり、私たちの生活を支える安定した電力供給の維持につながっていきます。
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◼︎参考
・フランス電力(EDF):Actualités des unités de production(2026年8月10日の停止に関する発表)
・電力中央研究所:電中研ニュース No.472「付着生物やクラゲによる発電所トラブルの軽減を目指して」
・英国気候変動委員会(CCC):UK Climate Change Risk Assessment 2017: Evidence Report — Chapter 4: Infrastructure
・日本水産学会:川辺允志「わが国の電力産業における被害状況と対策」(日本水産学会誌、2005年)
・リム情報開発:周南パワー=トクヤマ東発電所が30日に計画外停止、クラゲ大量襲来で
・徳島県:徳島水研だより 第122号「令和7年の播磨灘におけるミズクラゲの大発生について」
・水産庁:平成21年度 水産白書「トピックス:大型クラゲの出現」
・気象庁・海上保安庁:黒潮大蛇行の終息について ~過去最長の7年9か月継続~
・フランス電力(EDF):Après l'épisode des méduses en août 2025 : retour d'expérience et actions renforcées à Gravelines
・日本M&Aセンター:昭和シェル石油(5002)、クラゲ由来の有効成分抽出技術保有の海月研究所に出資、丸和油脂と3社で共同事業化へ
※円換算は、2011年6月末の為替レート(1ポンド=129.78円)を基にしています。
写真:ウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿)
ぽちゃっこさん
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