西日本で取水制限相次ぐ 長期化すれば農業・製造業への経済影響も

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2026年夏は西日本を中心に少雨が続き、複数の水系で取水制限や渇水調整が進んでいます。

現時点では企業活動や地域経済に広範な影響が生じている状況ではありませんが、水不足が長期化すれば、農業や製造業などへの影響が顕在化する可能性があります。

ウェザーニューズでは、各地の取水制限の状況や今後の降雨予測などをもとに、渇水による社会・経済への影響を分析しました。
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西日本の複数水系で取水制限・渇水調整が相次ぐ

西日本では7月末以降、複数の水系で渇水調整や取水制限が相次いでいます。

四国の吉野川水系では段階的に取水制限が強化され、8月28日(金)から香川県向けの新規用水を60%削減する第4次取水制限に入りました。

このほか、千代川や山国川などでも農業・工業用水を対象とした取水制限が始まり、東播用水では節水対策、筑後川や室生ダムなどでも渇水調整が行われるなど、水利用を巡る対応が各地に広がっています。
ダム貯水率マップ

※各水系では水源構成や取水制限の対象・方法等が異なるため、取水制限率や会議開催回数を単純に比較することはできません。

経済影響の分岐点は「制限の対象」と「継続期間」

取水制限が始まっただけで、直ちに農作物の被害や工場の減産につながるわけではありません。初期段階では、節水や水の再利用、代替水源などによって影響を抑えられる場合があります。

経済影響を左右するのは、制限率そのものだけではなく、農業・工業用水への制限がどこまで強まり、どれだけの期間続くかが基準になります。

制限が長期化し、水利用の調整だけでは吸収できなくなると、水の確保などに伴う追加コストが発生し、さらに深刻化すると農作物の収量・品質や生産活動への影響が表面化する可能性があります。
現時点では、西日本で広範な時間給水や断水、農業・製造業の生産への影響が顕在化する段階にはなく、節水や水利用の調整、代替水源などによる対応が中心とみられます。

なお、取水制限率は、家庭や事業所で利用できる水量や、農業・工業等の生産量が同じ割合で減少することを意味するものではありません。

農業では収量・品質に加え追加コストも

農業では、水不足が作物の生育や収量、品質に影響する可能性があります。

特に夏から初秋は、水稲の出穂・登熟期と重なる地域があります。果樹や秋冬野菜などを含め、必要な水量を十分に確保できない状態が長期化した場合には、生産への影響が大きくなる可能性があります。

また、経済影響は農作物そのものの被害だけではありません。ポンプの追加稼働や井戸、代替水源の利用など、渇水対応に伴う追加コストが発生する可能性もあります。

製造業では工程調整から減産へ波及する可能性

製造業では、製造工程のほか、設備の冷却や洗浄などにも水が利用されています。

取水制限の初期段階では、節水や水の再利用、代替水源などで対応できる場合があります。一方、水不足が長期化して対応可能な範囲を超えると、工程の組み替えや稼働時間の調整、さらに深刻な場合には減産などへ影響が広がる可能性があります。

※実際の影響は業種や製造工程、水の再利用設備、代替水源などによって異なるため、取水制限率と生産量の減少率は必ずしも一致しません。

過去事例では長期化により大きな経済被害

過去には、取水制限の長期化によって大きな経済的被害につながった事例があります。

2005年の徳島県・那賀川水系では、取水制限が合計113日間に及び、工業用水を利用する7社の被害総額は約68.5億円と報告されています。また、1994年の大渇水では、香川県で農産物被害が約12億8,760万円に達しました。

これらの事例が示すのは、現在も同規模の被害が生じるということではなく、水不足が長期化し、農業・工業用水への制約が実際の生産活動に及ぶと、経済的影響が大きくなり得るという点です。

今後の焦点は「水源流域にどこまで降るか」

今後の経済影響を左右するのは、取水制限の継続期間と、その背景となる水源流域での降雨です。

都市部で雨が降っても、ダムや河川の水源流域で十分な降雨がなければ、水源の回復につながらない場合があります。このため、取水制限が行われている地域では、水源流域にまとまった雨が降り、ダムや河川への流入量が回復するかが重要になります。

西日本では7月以降、少雨が続いています。早明浦ダム周辺では当面まとまった雨は期待できず、1か月予報でも四国の降水量は平年並みか少ない予想です。中国地方でも少雨傾向が続く見通しで、四国や中国地方では水源を十分に回復させるまとまった降雨がなければ、渇水がさらに長期化する可能性があります。
関連記事「早明浦ダム貯水率低下で第四次取水制限 雨量が平年の2割に留まる」

現時点では、西日本で広範な経済影響が顕在化する段階にはありません。

一方、こうした地域で取水制限が長期化した場合には、農業や製造業で水の確保などに伴う追加コストが生じ、さらに収量・品質の低下や工程・稼働時間の調整、減産などの生産影響へ波及するリスクが高まります。

ウェザーニューズでは今後も、水源流域の降水状況や予測、ダムへの流入量、取水制限の変更を継続的に注視し、農業・工業を中心とした社会・経済への影響を検証していきます。
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※ウェザーニューズ試算の前提と留意事項
各地の水源状況や取水制限等をもとに、渇水の長期化に伴って想定される農業・製造業等への経済的影響を独自に整理しています。

※本記事で示す社会・経済への影響は、記事作成時点の公表情報等をもとにした独自分析であり、国や自治体等による被害予測や、現時点の被害額推計ではありません。実際の影響は、今後の降雨や取水制限、水利用状況等によって異なります。

※取水制限率は、家庭や事業所で利用できる水量や農業・工業等の生産量が同じ割合で減少することを意味するものではありません。

※過去の被害額は参考事例であり、現在または将来に同程度の経済的影響が生じることを示すものではありません。

※主な出典・参考情報
・国土交通省、水資源機構、関係自治体等:各水系の水源状況、取水・節水制限、渇水調整に関する公表資料
・気象庁:気象観測データ、長期予報等
・国土交通省、農林水産省、関係自治体等:過去の渇水事例、農業・工業等への影響に関する公表資料

写真:ウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿)
オリーブさん

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