避難所生活で熱中症リスクが高まるワケは? 体育館の“湿度”にも注意

2026-08-19 05:00 ウェザーニュース

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7月28日に発生した令和8年熊本地震の被災地では、今も真夏の厳しい暑さの中で避難生活を送る人が少なくありません。また、8月13日に発生した令和8年8月千葉豪雨でも、多くの人が避難所での生活を余儀なくされました。

近年は災害が猛暑の時期に発生するケースも増えており、避難所での熱中症対策の重要性はますます高まっています。

避難所で熱中症を防ぐためには、気温だけではなく「湿度」にも注意が必要です。

湿度が高くなりやすい体育館などの避難所では、汗が蒸発しにくく、体の熱を十分に逃がせないため、熱中症のリスクが高まることがあります。

避難所で熱中症が起こりやすい理由や特に注意したい人、初期症状、今日からできる対策について、日本大学医学部救命救急センター科長の山口順子先生に教えていただきます。

なぜ避難所では熱中症リスクが高まる?

真夏の避難所では、気温だけでなく湿度の高さにも注意が必要です。

「人の体は体温が上がると汗をかき、その汗が蒸発する際に熱を奪う『気化熱』の働きによって体温を下げています。しかし、体育館などの避難所では湿度が高くなりやすく、汗が蒸発しにくい環境になることがあります。そうすると体にたまった熱を十分に逃がせず、体温が下がりにくくなり、熱中症のリスクが高まります。

また、体育館では風通しが十分でない場合もあり、汗の蒸発による冷却効果がさらに弱まることがあります。暑さを左右するのは気温だけではなく、湿度や風の有無、周囲の壁や床から受ける熱(輻射熱/ふくしゃねつ)なども関係しています。

そのため、避難所では室温だけでなく、湿度や風通しにも目を向け、こまめな水分・塩分補給を心掛けるなど、体に熱をため込まないよう意識することが大切です」(山口先生)

高齢者・子ども・持病のある人は特に注意

熊本県八代市の避難所。熱中症は早めの気付きが重症化を防ぐポイント(2026年8月3日撮影、写真/時事)

避難所では誰でも熱中症になる可能性がありますが、中でも高齢者や子ども、持病のある人などは特に注意が必要だと言います。

「高齢者は加齢によって汗をかく機能や喉の渇きを感じる力が低下しやすく、自覚のないまま脱水や体温上昇が進むことがあります。

一方、子どもは体温調節機能が十分に発達しておらず、大人よりも熱が体にこもりやすい特徴があります。加えて、自分で暑さや体調の変化をうまく伝えられないこともあり、周囲が早めに異変に気付くことが重要です。

また、心疾患や糖尿病、腎疾患などの持病がある人は、体温調節や水分・塩分のバランスを保つ機能が低下している場合があり、暑さの影響を受けやすくなります。持病によっては暑さへの対応が難しくなり、熱中症が重症化するリスクも高まります。

さらに、利尿薬など水分や電解質のバランスに影響する薬を服用している人、精神疾患などで暑さや体調の変化に気付きにくい人も熱中症のリスクが高いとされています。

避難所では、暑さを我慢したり、『大丈夫』と無理をしたりせず、少しでも体調に異変を感じたら早めに周囲へ伝えましょう。また、周囲も声を掛け合いながら、体調の変化に早く気付くことが重症化の予防につながります」(山口先生)

熱中症の初期症状を見逃さない

避難所では、熱中症の初期症状にいち早く気付き、適切に対応することが重症化を防ぐために重要です。どのような症状が現れたら注意すべきなのでしょうか。

「熱中症は突然重症化するわけではなく、多くの場合は初期症状が現れます。強い喉の渇きや大量の汗、めまい、頭痛、吐き気、足がつるといった症状は、体内の水分や塩分が不足し始めているサインです。『少し疲れただけ』『休めば治る』と自己判断せず、涼しい場所へ移動して水分や塩分を補給することが大切です。

そのまま暑い環境に居続けると、体温がさらに上昇し、意識がぼんやりする、呼びかけへの反応が鈍くなる、けいれんを起こすなど重い症状へ進行することがあります。

意識障害がみられたり、自力で水分をとれなかったりする場合は重症化している可能性があります。そのような症状がみられる人が周囲にいる場合は、避難所スタッフや医療従事者に速やかに相談し、必要に応じて医療機関を受診したり、救急車を要請したりすることが重要です」(山口先生)

避難所でできる暑さ対策と備えておきたいアイテム

避難所では、どのような暑さ対策を心掛ければよいのでしょうか。

「熱中症を防ぐためには、喉が渇く前からこまめに水分を補給し、大量に汗をかいたときは塩分も適度に補給することが大切です。また、室温だけでなく湿度や風通しにも気を配り、可能であれば窓を開けたり、扇風機やサーキュレーターを活用したりして空気を循環させることも効果的です。

暑いと感じたときは我慢せず、涼しい場所で休憩し、首や脇の下、足の付け根など太い血管が通る部分を保冷剤や冷たいタオルで冷やすと、体温を下げる助けになります。

十分な水分と塩分を補給することを基本とした上で、必要に応じてサプリメントなどを補助的に活用することも、熱中症リスクの軽減につながる可能性があります。

避難生活に備えて、経口補水液や塩分補給食品、携帯扇風機、冷却タオル、保冷剤、モバイルバッテリーなどを日頃から準備しておくと安心です」(山口先生)

令和8年熊本地震の被災地では、避難生活が続く中、厳しい暑さとの闘いも続いています。気温だけでなく湿度にも目を向け、熱中症のサインを見逃さず、こまめな水分・塩分補給を心掛けることが、命を守ることにつながります。

近年は、猛暑の中で避難生活を余儀なくされるケースも少なくありません。避難所では互いに声を掛け合いながら、できることから一つずつ熱中症対策を実践するとともに、日頃から暑さ対策用品を備えておくことも大切です。
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