フーシ派の封鎖で紅海の物流に変化 ホルムズ海峡の混乱が日本のエネルギー輸送にも影響のおそれ
フーシ派の封鎖で重要航路に変化
中東情勢の緊張が再び高まり、世界の物流に新たな影響が広がっています。
イエメンの親イラン武装組織「フーシ派」は7月20日、サウジアラビアへの海上封鎖を宣言しました。対象となったのは、紅海の南の玄関口であるバブ・エル・マンデブ海峡です。
この海峡は世界の原油輸送のおよそ7%が通る重要な航路です。割合だけを見ると世界の石油貿易の約20%が通過するホルムズ海峡ほどではありません。しかし、ホルムズ海峡で混乱が起きた際に利用される代替ルートでもあるため、その役割は非常に大きくなっています。
日本は原油の多くを中東から輸入しているため、この海峡の物流が滞れば、輸送の遅れや運賃の上昇につながり、将来的にはガソリンや電気料金など暮らしへの影響が及ぶ可能性があります。
イエメンの親イラン武装組織「フーシ派」は7月20日、サウジアラビアへの海上封鎖を宣言しました。対象となったのは、紅海の南の玄関口であるバブ・エル・マンデブ海峡です。
この海峡は世界の原油輸送のおよそ7%が通る重要な航路です。割合だけを見ると世界の石油貿易の約20%が通過するホルムズ海峡ほどではありません。しかし、ホルムズ海峡で混乱が起きた際に利用される代替ルートでもあるため、その役割は非常に大きくなっています。
日本は原油の多くを中東から輸入しているため、この海峡の物流が滞れば、輸送の遅れや運賃の上昇につながり、将来的にはガソリンや電気料金など暮らしへの影響が及ぶ可能性があります。
AISデータから見えた船の減少
船には現在地や進路などを発信するAIS(船舶自動識別装置)が搭載されており、そのデータから海上交通の変化を把握できます。
AISデータを見ると、封鎖宣言後のバブ・エル・マンデブ海峡では、通過する船の数が明らかに減少しました。
7月1日から19日までは、海峡を通過する船は1日平均42.5隻でしたが、封鎖宣言後の7月20日から28日は32.1隻となり、約24%減少しています。
紅海へ向かう船(北航)、紅海から出る船(南航)のどちらも同程度に減少がみられ、多くの船会社がこの海域の航行を控えたり、航路を見直したりした可能性がうかがえます。
船の種類別では、影響が最も大きかったのは原油や化学製品を運ぶタンカーで、1日平均13.7隻から9.4隻へと約31%減少しました。鉄鉱石や穀物などを運ぶばら積み船(バルク船)も約29%減少しています。一方、コンテナ船は約4%の減少にとどまり、比較的小さな変化にとどまりました。
AISデータを見ると、封鎖宣言後のバブ・エル・マンデブ海峡では、通過する船の数が明らかに減少しました。
7月1日から19日までは、海峡を通過する船は1日平均42.5隻でしたが、封鎖宣言後の7月20日から28日は32.1隻となり、約24%減少しています。
紅海へ向かう船(北航)、紅海から出る船(南航)のどちらも同程度に減少がみられ、多くの船会社がこの海域の航行を控えたり、航路を見直したりした可能性がうかがえます。
船の種類別では、影響が最も大きかったのは原油や化学製品を運ぶタンカーで、1日平均13.7隻から9.4隻へと約31%減少しました。鉄鉱石や穀物などを運ぶばら積み船(バルク船)も約29%減少しています。一方、コンテナ船は約4%の減少にとどまり、比較的小さな変化にとどまりました。
ホルムズ海峡の代替ルートにも影響
ホルムズ海峡の混乱時には、サウジアラビア西部のヤンブー港を利用するルートが代替手段として活用されてきました。
実際、今年3月にはヤンブー港に寄港する船が660隻から990隻へ増え、アフリカ南端の喜望峰を回る航路の利用も約20%増加しました。
しかし、今回の封鎖宣言後は、この代替ルートにも変化が現れています。
AISデータでは、ヤンブー港周辺で停泊していたタンカーは7月前半には1日平均23隻ありましたが、7月24日には7隻まで減少し、翌25日にはほぼゼロとなりました。
一部の船は位置情報の送信を停止して航行している可能性もあり、海上輸送を分析するVortexa(※)のデータでは、原油の積み出し量も日量516万バレルから309万バレルへ、およそ40%減少したとみられています。
ホルムズ海峡の代替として利用されてきた航路までもが影響を受け始めたことで、中東から世界へ向かう原油輸送は、これまで以上に不安定な状況となっています。
※Vortexaとは、原油やLNGなどのエネルギー輸送、海上運賃市場のリアルタイムデータとAI分析を提供する、英国のエネルギーインテリジェンス企業です。
実際、今年3月にはヤンブー港に寄港する船が660隻から990隻へ増え、アフリカ南端の喜望峰を回る航路の利用も約20%増加しました。
しかし、今回の封鎖宣言後は、この代替ルートにも変化が現れています。
AISデータでは、ヤンブー港周辺で停泊していたタンカーは7月前半には1日平均23隻ありましたが、7月24日には7隻まで減少し、翌25日にはほぼゼロとなりました。
一部の船は位置情報の送信を停止して航行している可能性もあり、海上輸送を分析するVortexa(※)のデータでは、原油の積み出し量も日量516万バレルから309万バレルへ、およそ40%減少したとみられています。
ホルムズ海峡の代替として利用されてきた航路までもが影響を受け始めたことで、中東から世界へ向かう原油輸送は、これまで以上に不安定な状況となっています。
※Vortexaとは、原油やLNGなどのエネルギー輸送、海上運賃市場のリアルタイムデータとAI分析を提供する、英国のエネルギーインテリジェンス企業です。
気象条件も運航への負担に
地政学的な緊張に加え、この時期の紅海周辺では気象条件も船舶の運航に影響を与えます。
6月から8月は南西モンスーンと呼ばれる季節風の影響を受ける時期です。
今年はエルニーニョ現象の影響でモンスーン全体はやや弱い傾向が予測されていますが、運航への影響は依然として無視できない水準となっています。
航路変更や護衛待ち、停泊を余儀なくされる船にとっては、強い風や高い波が運航の負担をさらに大きくする可能性があります。
さらに、紅海の海面水温は北部で約30℃、南部では35℃に達しています。
高い海水温は船の冷却設備の効率を下げるほか、温度管理が必要な貨物や乗組員の生活環境にも負担を与えます。停泊や航海の長期化と重なれば、物流への影響がさらに大きくなることも考えられます。
6月から8月は南西モンスーンと呼ばれる季節風の影響を受ける時期です。
今年はエルニーニョ現象の影響でモンスーン全体はやや弱い傾向が予測されていますが、運航への影響は依然として無視できない水準となっています。
航路変更や護衛待ち、停泊を余儀なくされる船にとっては、強い風や高い波が運航の負担をさらに大きくする可能性があります。
さらに、紅海の海面水温は北部で約30℃、南部では35℃に達しています。
高い海水温は船の冷却設備の効率を下げるほか、温度管理が必要な貨物や乗組員の生活環境にも負担を与えます。停泊や航海の長期化と重なれば、物流への影響がさらに大きくなることも考えられます。
今後の注目点は
今回のAISデータからは、フーシ派による封鎖宣言後、バブ・エル・マンデブ海峡を通過する船舶が実際に減少していることが確認されました。この海域では夏のモンスーンによる強風や高波、高い海面水温など、運航に影響を及ぼす気象条件も重なっています。
日本への影響が直ちに表れる状況ではありませんが、中東から日本へ向かうエネルギー輸送は、ホルムズ海峡だけでなく紅海の航路も含めた複数の重要な海上ルートによって支えられています。地政学的リスクと気象リスクが同時に高まることで、輸送の遅れやコスト増加につながる可能性があります。
ウェザーニューズでは、AISデータと気象データを組み合わせながら海上輸送への影響を継続的に分析し、日本の暮らしにも関わるエネルギーや物流への影響を引き続き注視していきます。
日本への影響が直ちに表れる状況ではありませんが、中東から日本へ向かうエネルギー輸送は、ホルムズ海峡だけでなく紅海の航路も含めた複数の重要な海上ルートによって支えられています。地政学的リスクと気象リスクが同時に高まることで、輸送の遅れやコスト増加につながる可能性があります。
ウェザーニューズでは、AISデータと気象データを組み合わせながら海上輸送への影響を継続的に分析し、日本の暮らしにも関わるエネルギーや物流への影響を引き続き注視していきます。
参考
※船舶の航行データ(AIS)はKpler社が提供するMarine Trafficデータを利用しています。
シェアする
お天気ニュース
各エリアの天気予報
アクセスランキング
アメダスランキング
気温
降水量
風
湿度
順位
地点
観測値
お天気ニュース
- 天気メニュー
- レーダーコンテンツ
- 防災・減災メニュー
- 自然・季節・レジャー情報
- 便利なメニュー


