セミの初鳴き早まり、関東にクマゼミが迫る?10年のデータで判明した気温の影響
初鳴きを早めるのは「気温」だった
夏の訪れを告げるセミの声ですが、近年その初鳴きが以前より早まっているという実感を持つ方も増えてきているのではないでしょうか。この変化には、気温が深く関わっていることが分かってきました。
国立環境研究所が実施した市民参加型調査のデータを用いた研究によると、アブラゼミの初鳴き日に最も強く関連する気象要素は「気温」でした。降水量や日射量、湿度、風速といった他の要素との関連が小さかったのに対し、気温だけが突出して関係していることが示されています。
注目されるのは、前年の夏から冬にかけての気温との関係です。この時期の気温が高いほど翌年のアブラゼミの初鳴きが早まる傾向があり、2021年以降のデータでは近年の気温上昇にともなって早い時期に初鳴き日が来る傾向が一層はっきりと現れています。
国立環境研究所が実施した市民参加型調査のデータを用いた研究によると、アブラゼミの初鳴き日に最も強く関連する気象要素は「気温」でした。降水量や日射量、湿度、風速といった他の要素との関連が小さかったのに対し、気温だけが突出して関係していることが示されています。
注目されるのは、前年の夏から冬にかけての気温との関係です。この時期の気温が高いほど翌年のアブラゼミの初鳴きが早まる傾向があり、2021年以降のデータでは近年の気温上昇にともなって早い時期に初鳴き日が来る傾向が一層はっきりと現れています。
10年間のソラミッションが映し出す変化
ウェザーニュースでは、2015年からアプリユーザーを対象に「セミ、鳴いてる?」のミッションで質問を続けています。10年分のデータを7月10日前後の同時期で比較すると、年ごとに明確な差が見えてきました。
※2020年分はミッションの時期が他の年から離れていたので除外しています。
2018年や2022、2023年は、西日本だけでなく東北にかけても「少し鳴いている」という回答が多く、九州・四国では「大合唱」のエリアも出現した”セミの出現が早めの年”でした。
一方、2015年、2019年、2024、2025年は「まだ鳴いていない」という回答が多い”セミ出現が遅めの年”となっています。
※2020年分はミッションの時期が他の年から離れていたので除外しています。
2018年や2022、2023年は、西日本だけでなく東北にかけても「少し鳴いている」という回答が多く、九州・四国では「大合唱」のエリアも出現した”セミの出現が早めの年”でした。
一方、2015年、2019年、2024、2025年は「まだ鳴いていない」という回答が多い”セミ出現が遅めの年”となっています。
セミの出現時期と、その年の春〜夏にかけての気温について詳しく分析したところ、4月上旬の積算気温が高めだった年と出現時期が早い年との間に相関が見られました。
前年の気温だけでなく、羽化直前にあたる春〜初夏の気温も、セミの出現タイミングに何らかの影響を与えている可能性があります。
長期予報 この先3か月の天候見解
前年の気温だけでなく、羽化直前にあたる春〜初夏の気温も、セミの出現タイミングに何らかの影響を与えている可能性があります。
長期予報 この先3か月の天候見解
クマゼミが関東に迫っている
もう一つの注目すべきセミの変化は、クマゼミの分布拡大です。「シャワシャワ」と激しく鳴くクマゼミは、もともと西日本を中心に分布しており、東日本では少ない種でした。環境省(当時・環境庁)の1995年の資料では、クマゼミの分布は西日本太平洋側が中心で、東日本ではギリギリ東京・神奈川あたりまでとされていました。その後、2010年のウェザーニュースの調査では島根・鳥取など日本海側や内陸部への広がりも確認されています。
そして、2022年と2025年のソラミッションデータを比較すると、「クマゼミがいる」という回答の割合は、神奈川で8.6%増加、東京で5.9%増加、千葉で5.5%増加、茨城でも4.1%増加しており、関東での存在感が着実に高まっています。
2025年に届いたクマゼミの動画(大阪府大阪市)
※動画が見られない場合はウェザーリポートのページからご覧ください
※動画が見られない場合はウェザーリポートのページからご覧ください
そして、2022年と2025年のソラミッションデータを比較すると、「クマゼミがいる」という回答の割合は、神奈川で8.6%増加、東京で5.9%増加、千葉で5.5%増加、茨城でも4.1%増加しており、関東での存在感が着実に高まっています。
この分布拡大の背景にあるのは、地球温暖化だけではないとみられています。クマゼミが自力で飛べる距離は半径約1.2km程度とされており、山地などの地形的な障壁を越えて自力で広範囲に移動することは難しいとみられています。
より有力な経路として考えられているのが、街路樹等の植栽移動です。都市開発などで植木ごと別の地域へ移す際、根に付着したクマゼミの幼虫も一緒に運ばれている可能性があります。加えて、クマゼミの幼虫は体が大きく力も強いため、硬い地面や乾燥した地面からも這い出て来ることができるなど、都市化が進んだ環境にも適応しやすいという生態的な特性も、定着を後押ししているとみられています。
一方、同じ2022年と2025年のデータを東北でみると、秋田、山形、宮城、岩手といった地域では、「クマゼミがいる」という回答割合の増加は見られませんでした。少なくともソラミッションの結果からは、現時点で東北への分布拡大が進んでいるとまでは言えない状況です。
より有力な経路として考えられているのが、街路樹等の植栽移動です。都市開発などで植木ごと別の地域へ移す際、根に付着したクマゼミの幼虫も一緒に運ばれている可能性があります。加えて、クマゼミの幼虫は体が大きく力も強いため、硬い地面や乾燥した地面からも這い出て来ることができるなど、都市化が進んだ環境にも適応しやすいという生態的な特性も、定着を後押ししているとみられています。
一方、同じ2022年と2025年のデータを東北でみると、秋田、山形、宮城、岩手といった地域では、「クマゼミがいる」という回答割合の増加は見られませんでした。少なくともソラミッションの結果からは、現時点で東北への分布拡大が進んでいるとまでは言えない状況です。
生物は環境変化のメッセンジャー
初鳴きの時期が変わり、分布域が広がる——このような変化は、気温上昇や都市化といった環境の変化を、セミという生き物が体で受け止めた結果と言えるかもしれません。セミをはじめ生き物たちは、数字やグラフでは見えにくい環境の変化を、その暮らし方や生態を通じて私たちに伝えてくれる存在です。
今年届いたセミのウェザーリポートをアプリで見る今年届いたセミのウェザーリポート
今年ウェザーニューズでは、この10年間行っている「セミ、鳴いてる?」のアンケートに加えて、「セミ調査2026」として動画によるリポートを募集しています。
すでに西〜東日本の各地からたくさんのリポートが届いています。今年の夏は、セミの声に耳を傾けながら、生き物の変化を通して環境の今に想いを馳せてみてください。
関連動画 100年天気予報~セミの初鳴き前線崩壊とクマゼミ都市侵略~
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すでに西〜東日本の各地からたくさんのリポートが届いています。今年の夏は、セミの声に耳を傾けながら、生き物の変化を通して環境の今に想いを馳せてみてください。
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参考資料
1,国立研究開発法人国立環境研究所・名城大学「市民参加型調査の結果を活用し『セミの初鳴き日』に影響する要因に迫る」、文部科学省「日本の気候変動2025概要版」
2,岡山理科大学・Naturalistae『岡山市におけるクツワホウシの発生時期と地域温暖化の関係,小野 雅之,中村 圭司(2017)』
写真・動画:ウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿)
狐の嫁入りさん
寝るるさん
調査概要(詳細はこちら)
■ウェザーニュースアプリ利用者対象
①「セミ、鳴いてる?」
比較:2015〜2025年(2020年除く)の7月10日前後
調査対象:全国
選択肢(3択):大合唱/まだ・・・/少し
質問:「【第1回】セミ、鳴いてる?」
調査日:2015年7月8日〜9日
回答者数:15,365人
質問:「【第1回】セミ、鳴いてる?」
調査日:2016年7月6日〜7日
回答者数:12,873人
質問:「【第2回】セミ、鳴いてる?」
調査日:2017年7月10日〜11日
調査対象:全国
回答者数:11,862人
質問:「【第3回】セミ、鳴いてる?」
調査日:2018年7月9日〜10日
回答者数:10,118人
質問:「【第1回】セミ、鳴いてる?」
調査日:2019年7月9日〜10日
回答者数:9,408人
質問:「【第1回】セミ、鳴いてる?」
調査日:2021年7月12日〜13日
回答者数:6,657人
質問:「【第3回】セミ、鳴いてる?」
調査日:2022年7月11日〜12日
回答者数:11,804人
質問:「【第2回】セミ、鳴いてる?」
調査日:2023年7月13日〜14日
回答者数:11,064人
質問:「【第2回】セミ、鳴いてる?」
調査日:2024年7月8日〜9日
回答者数:13,179人
質問:「【第3回】セミ、鳴いてる?」
調査日:2025年7月8日〜9日
回答者数:11,025人
②「クマゼミ調査」2022年/2025年
調査対象:全国
選択肢(4択):たくさんいる/少しいる/いない/わからない
質問:「クマゼミ調査2022」
調査日:2025年8月6日〜7日
回答者数:9,052人
質問:「クマゼミ調査2025」
調査日:2022年8月2日〜3日
回答者数:9,389人
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