花見文化に影響も? 温暖化で40年後の鹿児島で花見ができなくなる?

2026-04-03 05:10 ウェザーニュース

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各地で桜の開花が進み、今週末に見頃を迎える地域も多く、春の彩りが各地に広がっています。

桜前線の動きも気になりますが、近年は、南から北へと進むはずの桜前線に乱れが見られたり、かつてのように「満開」まで咲ききらないケースがあるなど、変化が指摘されています。

こうした変化の背景や、今後のお花見のあり方について、桜の専門家に詳しく話を聞きます。
桜開花予想・見頃情報

鹿児島の桜に起きている異変とは?

長年にわたって日本の桜を研究してきた森林総合研究所九州支所支所長・勝木俊雄さんは、鹿児島の桜の咲き方に見られる異変を指摘しています。

「近年、鹿児島市などでは、桜の花は咲いたものの、1分咲程度の花しか見られない状態の桜が確認されています。

こういった桜の花つきが悪くなる現象は鹿児島だけでなく、九州南部や四国南部などの地域でも起きています」(勝木さん)

春は満開の桜の下でのお花見が楽しみですが、なぜ桜の咲き方に異変が起きているのでしょうか。

気候変動の影響が桜の咲き方にも

変化の主な原因として勝木さんは、「冬の低温刺激不足」を指摘します。

桜は春に咲きますが、その準備はすでに前年の夏から始まっています。花のもととなる花芽(かが)は秋にいったん休眠し、冬の寒さを受けることで目を覚まし、再び成長して春に花を咲かせます。

このとき重要なのが、休眠していたつぼみが寒さによって目覚める「休眠打破(きゅうみんだは)」という仕組みです。寒さが足りないとこの働きが不十分になり、開花に影響が出ることがあるのです。
気候変動による温暖化は地球規模で進行しており、日本の冬(前年12〜2月)の平均気温も100年あたり1.26℃の割合で上昇しています。

「冬に寒さが到来することで、花芽に刺激となって『休眠打破』が起きるのです。低温刺激が不足すると休眠打破がうまく働かず、開花異常が生じてしまいます。

生じている異常は、低温刺激不足の程度によっても異なりますが、開花の遅れ、花芽の生育不良、花芽の落下、 葉芽の生育不良と多岐にわたります」(勝木さん)
温暖化の影響により、近年、冬の寒さが変わってきています。鹿児島でも1〜3月の平均気温は、この50年間で上昇傾向にあります。

桜の咲き方や桜前線の変化は、その年だけの問題ではなく、将来にわたる変化なのでしょうか。

「年によって低温刺激不足の程度は異なりますが、鹿児島市では実際に以前のような“満開”にならない状態の年が出ています。

ただ、気象庁の現在の定義『標本木で約80%のつぼみが咲いた状態』ではそうした開花状態でも『満開』としますので、言葉の使い方がちょっと難しいですね。
また、桜前線は本来、南から北へと進んでいきますが、近年はその動きにも変化が見られるようになっています。

例えば、かつては鹿児島の方がだいぶ早く開花していたのが、近年は東北の福島とも開花日が近づいています。温暖化の影響で休眠打破がうまくいかない南九州では開花が遅れ、逆に関東や東北では開花が早まっているのです。

さらに、このまま温暖化が進めば40年後ぐらいには、鹿児島市でもまったく開花しない年が生じる可能性もあると考えています」(勝木さん)

将来もお花見は楽しめるのか

温暖化がこのまま進行すれば、いずれ日本で春に桜を愛でる文化が変わってしまうこともあるのでしょうか。

「野生の桜を含む森林生態系への顕著な影響はまだ報告されていません。しかし、今後考えられるのは、‘染井吉野’が南九州や四国南部、紀伊半島南部などで開花異常が頻発することで、 こうした地域では別の桜の種類に転換していく可能性が高くなると思われます」(勝木さん)
クマノザクラ
例えば、最も一般的な桜とされる‘染井吉野’は各地で“高齢化”が進むうえ、温暖化の影響も受けています。‘染井吉野’に代わって、クマノザクラを植える取り組みが行われている地域もあります。クマノザクラは紀伊半島などに自生する野生種の桜です。

「農作物への気温上昇による影響はすでに各地で報告され、 対策も進みつつあります。桜についても、気候変動の要因だけでなく、全国的にも以前のように‘染井吉野’だけ、というよりもいろいろな種類の桜を観賞対象とする文化に変わりつつあります。

日本のお花見の文化は平安時代以来、およそ1,000年続いていますが、時代に即して変化してきたものです。現在の‘染井吉野’を愛でながらの賑やかな花見は、この150年に限ったものです。ですから、将来もそれぞれの地域でその時代に合ったお花見を楽しんでいってもらいたいと思います」(勝木さん)
温暖化の影響は私たちの生活にも大きな変化をもたらす可能性があります。ウェザーニュースでは、気象情報会社の立場から地球温暖化対策に取り組むとともに、さまざまな情報をわかりやすく解説し、みなさんと一緒に地球の未来を考えていきます。まずは気候変動について知るところから、一緒に取り組んでいきましょう。
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