温暖化で「ブラッドオレンジ」が救世主に!? みかん主産地で産地化が進む

2026-01-13 05:06 ウェザーニュース

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昨日までの3連休は非常に強い寒気が南下し、日本海側では大雪や猛吹雪に見舞われたところもあったなど、冬の寒さが本格化しています。ただ、この寒さとはうらはらに温暖化も静かに進んでいます。

2025年の日本の平均気温の基準値(1991~2020年の30年平均値)からの偏差は+1.23℃で、統計を開始した1898年以降3番目の高い値となりました。

温暖化の影響は農業分野にもさまざまな変化をもたらしていますが、各地で「適応」するためのさまざまな試みがなされていいます。愛媛県では、昔は栽培が難しかったブラッドオレンジを導入し、人気のブランドフルーツとなっています。

温暖化で“みかん”に異変

日本の年平均気温は、1898~2024年の間に100年あたり1.40℃のペースで上昇し、真夏日や強雨も増加傾向にあります。

その影響は、農業や漁業など食料生産の現場にもさまざまな変化がもらしています。古くから温州みかんが栽培されていた地域では、栽培サイクルと気温の変化や降水量などにずれが生じてきているといいます。皮がぶかぶかになる浮皮果(うきかわか)や日焼け果が増加し、問題となっているのです。

温暖化を逆手に取って、昔は寒さに弱く栽培が難しかった品種を新たに導入し、成功しているのが愛媛県のブラッドオレンジです。

シチリア名産の柑橘が日本に

ブラッドオレンジの「タロッコ」と呼ばれる品種(画像/JAえひめ南)
ブラッドオレンジは、オレンジの一種ですが果肉の鮮やかな赤みと華やかな風味が特徴です。

ブラッドオレンジの名産地であるシチリア島は、イタリア半島の西南、地中海のほぼ中央に位置します。冬でも温暖な気候で、オリーブやブドウ栽培も盛んな地域です。

「愛媛県の宇和島を含む南予地方は、年間を通して温暖な気候に恵まれています。海と山に囲まれていて、30度以上の急傾斜を含む傾斜の強い土地が多くあります。

農作業は大変ですが、日当たりや水はけの良さを生かして、温州みかんを中心とした柑橘類(かんきつるい)の生産を行ってきました」(JAえひめ南営農部次長・大加田聖司さん)

1970年から1980年頃にかけて伊予柑やネーブル、レモンなど新たな柑橘が導入されるなか、ブラッドオレンジの栽培も試みられることがあったものの定着はしなかったといいます。状況が変わったのは、地域の気候の変化によります。
愛媛県の年平均気温は1890~2024年に100年あたり約1.9℃の割合で上昇しています。

「2004年に愛媛県果樹試験場南予分場(現・果樹研究センターみかん研究所)から、『宇和島も昔と比べて気温が上昇してきて、イタリアのシチリア島に近づいてきています。栽培に向いてきている』ということで、そこから今につながる栽培がスタートしました。
本格的に収穫できた2009年は栽培面積1,395a(アール)、荷受数量が43t(トン)だったのが、2025年には3,387a、312t(推計)に。栽培農家の数も300くらいまで増えました」(大加田さん)

現在は、宇和島では2月に出荷する早生系で赤みの強さが特徴の「モロ」と、3月出荷の晩生で食味の良い「タロッコ」の2品種を栽培しています。

「栽培技術も蓄積されてきています。例えば、ブラッドオレンジの“ブラッド”の由来でもある赤みは、ポリフェノールの一種であるアントシアニン色素によるものですが、アントシアニンがしっかり作られるようになりました」(大加田さん)
宇和島で生産されたブラッドオレンジは、『宇和島ブラッドオレンジ』として人気となっています。

「近年柑橘類にはさまざまな栽培品種が登場していますが、なかでもブラッドオレンジは“雰囲気が違う”というか、“新たな風”を感じます。

シチリア島のブラッドオレンジも宇和島のブラッドオレンジも、陽射しに恵まれ夏は高温で、冬も温暖な気候を生かして栽培されています。シチリア島のブラッドオレンジは糖度が10度程度で、ジュースなどの飲用に向いています。

宇和島ブラッドオレンジは、ジュースなどの加工品への需要も高いのですが、生食を目指して栽培しています。糖度も12~13度程度と甘く、”そのまま食べておいしい”、“風味が強い”などの特色となっています。

果樹農家としては、温州みかんの収穫期は9月〜12月で、2月・3月のブラッドオレンジが加わることで労力や収入時期、栽培リスクが分散できます。

温暖化を機に温州みかんから栽培品種をシフトするというのではなく、さらに新たな産地の品種構成のひとつとしてブラッドオレンジも産地化していこうとしているのです」(大加田さん)

ブラッドオレンジの未来

赤みの強いブラッドオレンジの「モロ」。今年の出来は良いと言う(画像/JAえひめ南)
大加田さんによると、今年のブラッドオレンジの出来は「昨年はカメムシなどの影響で生産量が落ちたのですが、今年は良好で収穫量も期待されている」とのこと。

ただ、今後の温暖化に対しては不安もあるといいます。

「ここ2~3年は暑さのせいか、他の柑橘類と同様に花つきが不安定であったり、着果率などに影響があり、対応が必要となっています。

一般に柑橘類の果樹は32℃ぐらいまでがよいとされているので、36℃を超える天候はブラッドオレンジといえどもよくないのかもしれません。これからも栽培法など手探りでの対応が続きます」(大加田さん)

温暖化は今後も着実に進行していくとされています。私たちもさらに緩和策と適応策にしっかり目を向けていかなければなりません。

ウェザーニュースでは、気象情報会社の立場から地球温暖化対策に取り組むとともに、さまざまな情報をわかりやすく解説し、皆さんと一緒に地球の未来を考えていきます。
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