地球温暖化でも“極端な大雪”の危険性が増すのは、なぜ?
温暖化の影響で降雪量が減少傾向
大雪は減っていない? 増加も!?
ただ、「大雪に関するニュースが増えている」という印象はないでしょうか。実際に、昨年は大雪による交通機関の乱れや物流への影響などが多く報道されました。2024年1月の西日本を中心とした大雪や、2025年2月上旬の日本海側や北海道十勝地方を中心とした大雪の被害は記憶に新しいところです。
実は、暖冬傾向が進む日本列島でも、一部の地域で大雪になるケースがあります。
例えば、昨冬2月上旬の北海道十勝地方の大雪については、北海道の西と三陸沖の温帯低気圧に伴う風によって、多量の水蒸気が低温の十勝平野に流入することで強い雪が降ったとされています。
実は、暖冬傾向が進む日本列島でも、一部の地域で大雪になるケースがあります。
例えば、昨冬2月上旬の北海道十勝地方の大雪については、北海道の西と三陸沖の温帯低気圧に伴う風によって、多量の水蒸気が低温の十勝平野に流入することで強い雪が降ったとされています。
温暖化がなければ”大雪ではなかった”?
気象研究所応用気象研究部第一研究室の川瀬宏明室長は、スーパーコンピュータで作成した「現実の地球」と「温暖化が起きていない仮想の地球」によるシミュレーション結果をもとに、ある現象の発生確率や強度をくらべる「イベント・アトリビューション」という手法で、さまざまな異常気象を検証しています。
川瀬室長は、2025年2上旬の日本海側を中心とした大雪と北海道十勝地方の大雪について、東京大学大気海洋研究所らとの研究により、地球温暖化の影響を検証しました。
「高解像度気象モデルを使って、実際の降雪量を再現したシミュレーション=再現実験と、工業化以降から現在までの気温や海面水温等の変化を除去したシミュレーションを行い、総降雪量の違いを評価しました。
2月上旬に強い寒気が1週間にわたり日本付近に流れ込で広い範囲で大雪となりましたが、東北地方から東日本の2月3日から9日の平均した積算降雪量は、地球温暖化によって約6%増加していたことがわかりました。
また、北海道十勝地方については、3日23時〜4日5時のピーク時の6時間降雪量が、地球温暖化によって約10%増加した可能性があることがわかりました」(川瀬室長)
川瀬室長は、2025年2上旬の日本海側を中心とした大雪と北海道十勝地方の大雪について、東京大学大気海洋研究所らとの研究により、地球温暖化の影響を検証しました。
「高解像度気象モデルを使って、実際の降雪量を再現したシミュレーション=再現実験と、工業化以降から現在までの気温や海面水温等の変化を除去したシミュレーションを行い、総降雪量の違いを評価しました。
2月上旬に強い寒気が1週間にわたり日本付近に流れ込で広い範囲で大雪となりましたが、東北地方から東日本の2月3日から9日の平均した積算降雪量は、地球温暖化によって約6%増加していたことがわかりました。
また、北海道十勝地方については、3日23時〜4日5時のピーク時の6時間降雪量が、地球温暖化によって約10%増加した可能性があることがわかりました」(川瀬室長)
今後も局地的大雪の危険性は増すのか?
温暖化が進むなか、大雪時の降雪量が多くなるのは矛盾しているように感じます。
気温や海面水温が高くなれば、日本海からの蒸発が増え、空気に含まれる水蒸気の量の上限値である飽和水蒸気量も多くなります。大気中の水蒸気量が増加すれば降水量や降雪量は増加します。
実際に近年、温暖化の影響で大雨の強度が大きくなったとされています。それが低温地域で起きれば、大雪をもたらすことになるのです。
「今年の冬の日本海側の降雪量はほぼ平年並みの予想ですが、一時的に強い寒気が流れ込み、大雪となる可能性があります。地球温暖化が進行する中では、これまで以上に大雪に注意する必要があります」(川瀬室長)
気象研究所を含む多数の国内研究機関が実施した将来予測によると、ひと冬の総降雪量は、全国的に減少する一方で、10年に一度の頻度で発生するような極端な大雪は、本州や北海道の内陸部で増加する結果が出ています。
21世紀末でも、冬季の気温が0℃を下回るこれらの地域では、地球温暖化に伴う大気中の水蒸気の増加などの理由で、現在は稀にしか発生しない極端な大雪がより高頻度で発生するリスクがあるのです。
温暖化による影響はさまざまですが、大雪は除雪中や雪道での事故、雪崩など災害リスク伴うものです。雪害に備えるとともに、温暖化についても何ができるのか考えていきたいですね。
ウェザーニュースでは、気象情報会社の立場から地球温暖化対策に取り組むとともに、さまざまな情報をわかりやすく解説し、みなさんと一緒に地球の未来を考えていきます。まずは気候変動について知るところから、一緒に取り組んでいきましょう。
【気候変動特集】ウェザーニュースと考える地球の未来
お天気ニュース記事一覧お天気ニュース 記事一覧
参考資料
文部科学省気象庁気象研究所「令和7年2月上旬の大雪に地球温暖化が影響-イベント・アトリビューションによる速報-」、文部科学省及び気象庁「日本の気候変動 2025 ― 大気と陸・海洋に関する観測・予測評価報告書 ―」、Hiroaki Kawase, Akihiko Murata, Ryo Mizuta, Hidetaka Sasaki, Masaya Nosaka, Masayoshi,Ishii, Izuru Takayabu, 2016:Enhancement of heavy daily snowfall in central Japan due to,global warming as projected by large ensemble of regional climate simulation. Climatic,Change, 139(2), 265-278.
気温や海面水温が高くなれば、日本海からの蒸発が増え、空気に含まれる水蒸気の量の上限値である飽和水蒸気量も多くなります。大気中の水蒸気量が増加すれば降水量や降雪量は増加します。
実際に近年、温暖化の影響で大雨の強度が大きくなったとされています。それが低温地域で起きれば、大雪をもたらすことになるのです。
「今年の冬の日本海側の降雪量はほぼ平年並みの予想ですが、一時的に強い寒気が流れ込み、大雪となる可能性があります。地球温暖化が進行する中では、これまで以上に大雪に注意する必要があります」(川瀬室長)
気象研究所を含む多数の国内研究機関が実施した将来予測によると、ひと冬の総降雪量は、全国的に減少する一方で、10年に一度の頻度で発生するような極端な大雪は、本州や北海道の内陸部で増加する結果が出ています。
21世紀末でも、冬季の気温が0℃を下回るこれらの地域では、地球温暖化に伴う大気中の水蒸気の増加などの理由で、現在は稀にしか発生しない極端な大雪がより高頻度で発生するリスクがあるのです。
温暖化による影響はさまざまですが、大雪は除雪中や雪道での事故、雪崩など災害リスク伴うものです。雪害に備えるとともに、温暖化についても何ができるのか考えていきたいですね。
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