100年後の紅葉見頃予想　温暖化進行でクリスマスと紅葉が重なる可能性も？

温暖化が最も進行するシナリオに基づき、ウェザーニュースが算出した2110年頃の紅葉見頃開始日予測（2095~2125年の31年を平均）では、現在とは大きく異なる未来が予想されています。全体的に見頃が遅くなる傾向にあり、特に西日本ではその傾向が顕著です。12月下旬に見頃を迎える地域もあるため、「クリスマスともみじ狩りが重なる」可能性も出てきています。

さらに、「紅葉困難」または「不安定」と判定された地域もあり、千葉県を含む関東平野、福井、鳥取、高知、宮崎、長崎などが含まれます。これらの地域では、年内の紅葉観賞が難しくなる可能性があります。

一方で、温暖化の進行が抑えられた場合は、「不安定」や「困難」の判定はほとんど見られません。この場合の紅葉の見頃は比較的今年と近い時期となりそうです。

ウェザーニュースでは毎年アプリユーザーに紅葉時期のアンケート調査をしています。2015年以降の調査で「紅葉が遅かった」と回答した方の割合を時系列に並べると、年によってばらつきがあるものの、紅葉が年々遅くなっている傾向が見られます。特に2023年や2024年が紅葉が遅いと感じた方が多くなっています。

この「遅かった」と回答した割合と、9月、10月、11月の日本の全国平均気温の間には、高い相関が見られました。秋の気温が高い年ほど紅葉の時期が遅れる傾向にあることを裏付けています。

紅葉は気温が下がり、日の光が弱まることを葉が感じ取った結果、緑色の物質であるクロロフィルが分解される作用によって進みます。夜間の冷え込みがあることでクロロフィルの分解が促進されるため、気温が下がらない状態が続くと、紅葉の開始が遅れてしまうのです。

最新の研究により、紅葉の「鮮やかさ」が、秋の天候だけでなく、春の葉が芽吹く時期の早さと関係しているという結果が示されています。

春の早い時期に芽吹いた葉ほど紅葉がくすみがちになり、遅く芽吹いた葉ほど紅葉が鮮やかになるそうです。展葉日が遅い（夏に近い）葉は、紅葉までの期間が短いため、葉がまだ若い状態にあります。この葉では、クロロフィルの分解や、赤みを持つアントシアニンの生成といった色素の合成・分解が活発に行えるため、鮮やかになると考えられています。

気候変動によって今後気温が高くなると、春が早まり、葉が早く芽吹く傾向に近づく可能性があります。結果として、現在私たちが目にするような鮮やかな紅葉の景色が、将来的にくすみがちになってしまうという懸念が示されています。
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秋の行楽といえば「紅葉狩り」。100年後も秋の風物詩を守るために私たちにできることは何でしょうか。

ウェザーニュースでは、気象情報会社の立場から地球温暖化対策に取り組むとともに、さまざまな情報をわかりやすく解説し、みなさんと一緒に地球の未来を考えていきます。まずは気候変動について知るところから、一緒に取り組んでいきましょう。
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写真：ウェザーリポート（ウェザーニュースアプリからの投稿）
北海道石狩市の空さん

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参考資料
国環研 報道発表 温暖化による春の早まりは高山帯の紅葉の色づきを弱くする—定点カメラ画像データに基づく将来予測— (2025)