スギ花粉も飛んでる？　秋も花粉症に注意　種類や飛散時期、特徴は

ほかにも、東北、関東、東海、近畿、四国などで半数近くが秋の花粉を感じていることが分かりました。

秋の花粉症の原因となる植物はさまざまです。飛散時期や症状、対策について専門家に教えていただきましょう。

鼻づまりやくしゃみ、目のかゆみ、肌のかゆみ、のどに違和感を覚えるといったことに悩まされてはいないでしょうか。

「秋の花粉症の可能性があります。症状としては、鼻水やくしゃみ、目のかゆみ、肌荒れなどで、咳のような気管支症状が多いのが特徴です」と大阪はびきの医療センター副院長で耳鼻咽喉・頭頸部外科主任部長の川島佳代子先生は指摘します。

花粉症というと春のイメージが強いのですが、秋も花粉症に悩まされる人が少なくないといいます。

「春の花粉症の人が必ず秋の花粉症になるわけではないのですが、症状が出てきたら疑ってみましょう。また春の花粉症はなくても秋の花粉にアレルギーをもつ人もいます。

また、季節の変わり目は気づかぬうちに身体に負担となることがあります。今夏の暑さが強かったこともあり、疲れが残っている人も多いでしょう。

この時季は、朝晩は冷えを感じるほど気温が下がるなど、寒暖差が激しいです。負担が重なると、気道の粘膜の不調から花粉症の症状が引き起こされやすくなるのが心配です」(川島先生)

国立病院機構福岡病院(福岡市)のアレルギー科医師・岸川禮子先生は長年にわたり日本各地で空中花粉(風に飛ばされて空中を浮遊する花粉)の調査を行ってきました。

「花粉症の原因となる花粉は、よく知られるスギなどヒノキ科のほか、イネ科、キク科などさまざまで、日本各地でほぼ一年中飛散しています。

秋の花粉症の原因となる花粉はキク科のヨモギ属、ブタクサ属が主です。アサ科のカナムグラは少ないですが、報告が見られています。

春の樹木花粉に比べると空中を浮遊している花粉数は少なく、飛散している期間も1～2週間と期間が短いため、風邪症状と間違えて気づかないことが多くあります。

2002年からの調査では、関東地区ではススキなど秋に花の咲くイネ科の植物は、8月上旬にやや増加したあと、10月中旬まで飛散が続きました。

ブタクサ属は8月中旬〜10月上旬、ヨモギ属は9月下旬〜10月上旬、カナムグラは9月下旬にピークがあり10月中旬に終了しました」(岸川先生)

春の花粉と秋の花粉では違いがあるのでしょうか。

「春は花粉症の原因となるのがスギ・ヒノキ、イネ科などですが、樹木花粉が主で花粉源の山々から数十キロメートルを飛散してくるのに対して、秋の花粉症の原因となる植物は雑草が主で飛散距離が短めで、風に乗って狭い地域に飛散しています。

河川敷や山際の近くでは秋の空中花粉が多い可能性があり、犬の散歩など歩道や草地を歩くときは予防対策(下記)が効果的です。

ただ、スギ花粉も春だけでなく、北海道を除く地域でわずかですが飛散が確認されています。11月をピークとして10〜12月の期間になります。スギ花粉症の人は秋にも可能性があると考えた方がいいでしょう」(岸川先生)

日常生活で秋の花粉症対策はできるのでしょうか。

「基本的には春の花粉症対策と同じようにアレルゲンとなる花粉を避けることです。マスクや花粉症用メガネ、帽子などを使い、帰宅したら、衣服についた花粉を払い、うがい、手洗いなどします。

秋の花粉症の花粉は飛距離が数メートル〜数十メートルとされています。いつもよく通るところに原因の植物があるようなら、この時期だけ道を変えて避けることも対策となります。

注意したいのは、草の花粉は下からも舞い上がるので、子どもなど身長が低い人が影響を受けやすいことです。また、秋に花粉症の原因となる花粉は小さく、気管の奥まで入りやすいのです。秋の花粉症がきっかけで気管支喘息になったり、再発する心配もあります。

症状が似ているために軽い風邪として見逃されることがありますが、治療は全く異なります。疑わしいときは病院を受診しましょう」(川島先生)

秋になると目がかゆくなったりくしゃみが止まらなくなったりする人は、外出する際には秋の花粉症対策にも注意しましょう。

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