日本庭園や森の景色が変わる!? 温暖化がコケ(苔)に与える影響
日本の風景にあるコケ
コケの美しさは独特の生態によるところがあるといいます。
「コケは、植物の非常に古い特徴を残しています。地面や石に生えているように見えるのは、『仮根』で張りついているだけ。
根や体全体に水などを運ぶシステムをもたず、体の表面全体から水や栄養分を吸収しています。だからこそ、土のない木の幹や石の上でも生育できるのです」(大石先生)
森林や山など自然豊かなところだけでなく、身近な場所にもコケは見られます。
「都市部でも緑地や公園の樹幹はもちろん、ちょっとしゃがめば道端のアスファルトやコンクリートにもコケは見つけられます。
日本は湿潤な気候のために、世界でもコケが豊かな地域です。世界には約2万種のコケがあるといわれていますが、日本にはその約1割にあたる1800種ほどが生育しています」(大石先生)
「コケは、植物の非常に古い特徴を残しています。地面や石に生えているように見えるのは、『仮根』で張りついているだけ。
根や体全体に水などを運ぶシステムをもたず、体の表面全体から水や栄養分を吸収しています。だからこそ、土のない木の幹や石の上でも生育できるのです」(大石先生)
森林や山など自然豊かなところだけでなく、身近な場所にもコケは見られます。
「都市部でも緑地や公園の樹幹はもちろん、ちょっとしゃがめば道端のアスファルトやコンクリートにもコケは見つけられます。
日本は湿潤な気候のために、世界でもコケが豊かな地域です。世界には約2万種のコケがあるといわれていますが、日本にはその約1割にあたる1800種ほどが生育しています」(大石先生)
別名「苔寺(こけでら)」と呼ばれる西芳寺(さいほうじ)をはじめ、祇王寺(ぎおうじ)、三千院(さんぜんいん)、東福寺(とうふくじ)など、美しい苔庭が多くある京都は、コケの種類も豊富です。
京都府自然環境保全課によると、日本全国に生育しているコケの約3割の560種が京都府で確認されています。中には絶滅のおそれのある希少な種もあるといいます。
ただ、近年懸念されるのが温暖化がコケに及ぼす影響です。
「コケは、気体の交換や水の吸収を体の表面から直接行うなど、複雑なシステムを持たず、非常に単純なつくりをしています。そのため、コケは環境にとても敏感な生物なのです。
温暖化やヒートアイランドによる気温の上昇による環境の変化で、乾燥に弱いコケが消えたり、苔庭の景観に影響が出ています」(大石先生)
京都府自然環境保全課によると、日本全国に生育しているコケの約3割の560種が京都府で確認されています。中には絶滅のおそれのある希少な種もあるといいます。
ただ、近年懸念されるのが温暖化がコケに及ぼす影響です。
「コケは、気体の交換や水の吸収を体の表面から直接行うなど、複雑なシステムを持たず、非常に単純なつくりをしています。そのため、コケは環境にとても敏感な生物なのです。
温暖化やヒートアイランドによる気温の上昇による環境の変化で、乾燥に弱いコケが消えたり、苔庭の景観に影響が出ています」(大石先生)
京都の年間猛暑日日数は特に増加傾向にあります。2024年は54日を数え、それまでの記録を大きく上回りました。今年はさらにハイペースで、9月13日時点で昨年の記録を上回る59日に達しています。
「もし何も対策しなければ、より地球温暖化の影響は強くなり、30年後には京都のコケの緑は大きく失われてしまう恐れもあります」(大石先生)
「もし何も対策しなければ、より地球温暖化の影響は強くなり、30年後には京都のコケの緑は大きく失われてしまう恐れもあります」(大石先生)
温暖化はコケに影響するか?
対象区(人工的に加温していない)と比べて、温暖区ではセイタカスギゴケは増加し、チシマシッポゴケは大きく減少しました。温暖化が進むと、亜高山帯に分布するコケが広がり、高山帯に分布するコケは減っていくことが予想される結果となりました」(大石先生)
コケの変化がもたらすもの
今後ますます温暖化が進むと予想されています。私たちが親しんできた日本庭園や森のコケはどうなるのでしょうか。
「今後、温暖化やヒートアイランドの進行によって、コケの生育環境は悪化し、美しい苔庭を維持することはますます難しくなるでしょう。しかし、その背後にはさらに深い意味があります。
「今後、温暖化やヒートアイランドの進行によって、コケの生育環境は悪化し、美しい苔庭を維持することはますます難しくなるでしょう。しかし、その背後にはさらに深い意味があります。
コケのように環境変化に敏感に反応する生物を『指標生物』といいます。指標生物は、環境を考える上でとても重要です。例えば、ヒートアイランドが進むと、コケはいち早く反応するなど、変化の初期段階から応答します。
こうした指標生物の変化のサインを見逃してしまうと、環境はさらに悪化し、やがて人間の生活にまで深刻な影響を及ぼすほどの変化へとつながりかねません。
こうした指標生物の変化のサインを見逃してしまうと、環境はさらに悪化し、やがて人間の生活にまで深刻な影響を及ぼすほどの変化へとつながりかねません。
そう考えると、コケの変化は『ささやかな警告』であるともいえます。 小さなコケの声に耳を傾けることは、未来の環境を守ることにつながっていくのでしょう」(大石先生)
温暖化の影響は私たちの生活にも大きな変化をもたらす可能性があります。ウェザーニュースでは、気象情報会社の立場から地球温暖化対策に取り組むとともに、さまざまな情報をわかりやすく解説し、みなさんと一緒に地球の未来を考えていきます。まずは気候変動について知るところから、一緒に取り組んでいきましょう。
特集 ウェザーニュースと考える地球の未来
お天気ニュース記事をアプリで見るお天気ニュース記事一覧
参考資料
大石善隆他「コケの温暖化への応答:中緯度の森林限界における実験」、京都府府民環境部自然環境保全課「コケから考える未来へつなぐ京都の自然環境と文化」
温暖化の影響は私たちの生活にも大きな変化をもたらす可能性があります。ウェザーニュースでは、気象情報会社の立場から地球温暖化対策に取り組むとともに、さまざまな情報をわかりやすく解説し、みなさんと一緒に地球の未来を考えていきます。まずは気候変動について知るところから、一緒に取り組んでいきましょう。
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