「スポーツの秋」も油断禁物 命を守るために知っておくべき、熱中症の応急処置

2025-09-05 05:10 ウェザーニュース

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いよいよスポーツの秋がやってきました。学校も始まり、体育や部活、運動会などで体を動かす機会が増えます。

地球温暖化の影響もあり、9月に入ってからも秋日和というには厳し過ぎる暑さが続いています。そのため運動中の熱中症対策は必須、特に休み明けの急な激しい運動には注意しなければなりません。

2025年6月の「スポーツ基本法」改正では、「気候の変動への対応」が明記されました。“暑く”なった秋にスポーツを楽しむため、知っておくべきスポーツ時の熱中症や応急措置について、専門家に伺いました。

9月も熱中症への注意は必要

気象庁によると、この夏に厳しい暑さをもたらした太平洋高気圧の勢力が9月以降も続き、9〜10月の気温は全国的に平年より高めになると予想されています。

秋の訪れが遅くなる見通しに、日本大学医学部附属板橋病院救命救急センター科長の山口順子先生は、「9月も決して熱中症に油断してはいけない」と呼びかけます。
記録的な猛暑となった2024年は5〜9月の間に、全国で熱中症により救急搬送された人は9万7578人でした。

月別の内訳を見ると、7月が最多で4万3195人、 8月が3万2806、そして9月も1万1503人が救急搬送されていて、もはや9月の熱中症が珍しいとはいえない状況です。

運動する環境に注意

熱中症に注意すべき状況として、秋に多いスポーツ活動があります。9月は運動会やその準備、クラブ・部活動、各種大会などのイベントも盛んになりなります。

「スポーツ中の死亡事故や後遺症が残るような重大事故の原因は、突然の心停止や頭や首のケガと並んで、熱中症が多くを占めます。スポーツ活動中は体から熱が発生するため、より熱中症になりやすいのです。

特に子どもは、汗のかきかたや体力など発達に個人差があるので、より注意が必要です。

また、新学期が始まる9月は長期の休み明けで、子どもたちが体が暑さに慣れていなかったり、体力が落ちている場合もあり、炎天下で急に運動をすると、熱中症事故の発生リスクが高まります。

適切な水分・塩分補給や適度な休憩を取ることはもちろん、暑さ指数(WBGT)が28℃を超える場合は激しい運動を控えて、より涼しい時間に活動するなど、運動する環境にも注意しましょう」(山口先生)

熱中症が疑われるときにとるべき行動は?

もし熱中症が疑われる症状が見られたら、迅速に対応する必要があります。自分や周囲の人が熱中症を疑われる場合、どんな行動をとればいいのでしょうか。

「まず、最初に確認したいのは、意識があるかどうかです。意識がある場合は、衣服をゆるめて、熱を体から放散させましょう。濡らしたハンカチを肌に当てる、うちわなどで風を送る、といった応急処置が効果的です。

もし意識がない場合は、すぐに救急車を呼んでください。到着を待つ間は、体温を冷却するための応急処置を行う必要があります。効果的に体を冷却する方法は後半で詳しく解説します。

意識がある場合でも、油断はできません。水分を自力で摂取できるか確認し、できる場合は水分・塩分を補給します。大量に汗をかいた時は、失われた電解質と水分を効率的に補給できるため、水よりも経口補水液やスポーツドリンクでの補給が適しています。

もし自分で水分を補給できない場合は、すみやかに医療機関を受診してください。出来るだけ、体調が悪化したときの状況を知っている人が付き添いましょう。発症時の状態を詳しく説明することが、より適切な治療や診断に繋がります」(山口先生)

効果的に体温を下げるには

熱中症が疑われる場合は、体を冷やすことが重要です。効果的に体を冷やすために最も基本的な場所として、三大局所冷却と呼ばれる場所があります。

「(1)前頸部の両脇(ぜんけいぶ:首の前面の左右)、(2)腋窩部(えきかぶ:両脇の下)、(3)鼠径部(そけいぶ:脚の付け根の前面)です。

ここに保冷剤や氷嚢(ひょうのう)などを押し当てて冷やしてください。なければ自動販売機で冷えたペットボトルか缶を買い、保冷剤代わりに使ってもいいでしょう。

ただし、スポーツや激しい作業・労働などによって起きる熱中症の場合は、これだけでは充分でないこともあります。

熱中症の重症化が疑われる場合は、一刻もはやく全身の体温を下げる必要があるため、救急車が来るまでの応急措置として冷たい水をホースでかけたり、アイスバス(氷水浴)などで全身を冷やしましょう」(山口先生)
ブルーシートはアイスバスの代用になる
アイスバスは、簡易プールなどに氷水を入れて全身を浸して冷やします。あらかじめ準備していない場合は、ブルーシートでも代用できます。

「ブルーシートの中央に人を寝かせ、周りの人と協力しながらシートの端を持ち上げて、人に水をかけながら溜めます。もし氷などがあれば入れてください。氷がない場合は水をかけ続けましょう。意識や呼吸の有無を確かめながら行なってください」(山口先生)

地球温暖化の進行で、秋の季節感がかつてとは変わってきています。スポーツを安全に楽しむために、秋も熱中症のリスクがあるということを忘れないようにしましょう。
熱中症情報 暑さ指数(WBGT)を確認
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