日本歴代最高気温を大幅更新、この夏の異例の猛暑は地球温暖化の影響?
7月下旬の記録的高温は地球温暖化の影響
7月下旬の天候に、「7月なのになぜこんなに暑いのか」と疑問に思った人も少なくないでしょう。
WACでは22〜30日の日本上空と、7月18〜26日の北日本上空それぞれの1500mの平均気温について、「イベント・アトリビューション」で検証しました。
スーパーコンピュータで作成した「現実の地球」と「温暖化が起きていない仮想の地球」による統計情報をもとに高温の発生確率をくらべ、異常気象が温暖化のせいだったかを分析する手法です。
WACでは22〜30日の日本上空と、7月18〜26日の北日本上空それぞれの1500mの平均気温について、「イベント・アトリビューション」で検証しました。
スーパーコンピュータで作成した「現実の地球」と「温暖化が起きていない仮想の地球」による統計情報をもとに高温の発生確率をくらべ、異常気象が温暖化のせいだったかを分析する手法です。
「22〜30日の日本上空について、現実の気候条件とくらべると、高温の発生確率は約3.2%でした。ところが温暖化が起きていない気候条件では、発生確率はわずか約0.0087%。つまり、温暖化がなければおよそ1万1472年に1度しか起こらなかったはずの現象が、温暖化により約31年に1度の発生リスクになったことを意味します。
18〜26日の北日本上空についても、現実の気候条件での発生確率は約3.6%(およそ28年に1度)、非温暖化気候条件では約0.10%(およそ955年に1度)。こちらも温暖化により発生リスクが約34倍になっていたと推定されます」(今田先生)
18〜26日の北日本上空についても、現実の気候条件での発生確率は約3.6%(およそ28年に1度)、非温暖化気候条件では約0.10%(およそ955年に1度)。こちらも温暖化により発生リスクが約34倍になっていたと推定されます」(今田先生)
統計開始以降、最も暑かった
1933年に山形で観測された40.8℃が、長い間、日本の最高気温として記録されていました。この記録は2007年に多治見(岐阜県)と熊谷(埼玉県)で40.9℃を観測するまで、74年間も破られなかったのです。
「2007年以降は【40.9℃】(2007年)→【41.0℃】(2013年)→【41.1℃】(2018年)と、5〜7年に0.1℃ペースで更新されていましたが、今年は一気に0.7℃も更新。約35年分も先を行くペースで更新されたのです。
気温というのは、年によって気圧のパターンの特徴が異なるため、年ごとに不規則に変わるものです。しかし、長期的傾向として捉えても、明らかに上昇してきています。
去年、今年と続く酷暑は、ベースに気温上昇となる温暖化があり、そこに高温の気圧のパターンが重なったことから起きています。本来ならばある程度の“暑い夏”ですんだはずの気象現象が、温暖化により“酷暑”になっているのです。こういったことが世界中で起きています」(江守先生)
「2007年以降は【40.9℃】(2007年)→【41.0℃】(2013年)→【41.1℃】(2018年)と、5〜7年に0.1℃ペースで更新されていましたが、今年は一気に0.7℃も更新。約35年分も先を行くペースで更新されたのです。
気温というのは、年によって気圧のパターンの特徴が異なるため、年ごとに不規則に変わるものです。しかし、長期的傾向として捉えても、明らかに上昇してきています。
去年、今年と続く酷暑は、ベースに気温上昇となる温暖化があり、そこに高温の気圧のパターンが重なったことから起きています。本来ならばある程度の“暑い夏”ですんだはずの気象現象が、温暖化により“酷暑”になっているのです。こういったことが世界中で起きています」(江守先生)
地球温暖化が進むとどうなる?
「すでに暑さにより子どもが外で遊べない、スポーツや屋外での労働が危険になる、あるいは農業や漁業など食料生産にも影響が出ています。温暖化により激甚化したとみられる大雨などの異常気象や森林火災なども増えています。
世界に目を向ければ、昨年、オレンジやオリーブオイル、チョコレートの価格高騰が話題となりましたが、気候変動により干ばつや大雨が起きて世界的に品薄になったためです。今年もヨーロッパでの熱波、インドやパキスタンでの大雨などの異常気象が起き、被害も大きなものとなっています」(江守先生)
世界に目を向ければ、昨年、オレンジやオリーブオイル、チョコレートの価格高騰が話題となりましたが、気候変動により干ばつや大雨が起きて世界的に品薄になったためです。今年もヨーロッパでの熱波、インドやパキスタンでの大雨などの異常気象が起き、被害も大きなものとなっています」(江守先生)
温暖化を緩和するには?
現在は、温暖化でなく「地球沸騰化」と表現する人もいる状況です。温暖化を抑えるには、どうすれば良いのでしょうか。
「CO2を多く排出する化石燃料に依存しない新しい社会のシステムに移行することが急務です。
もはや、環境問題が企業や個人の『社会貢献』である時代は終わりました。温暖化を抑えるためのCO2排出ゼロに貢献する活動が、重要な使命であると考えます」(江守先生)
「CO2を多く排出する化石燃料に依存しない新しい社会のシステムに移行することが急務です。
もはや、環境問題が企業や個人の『社会貢献』である時代は終わりました。温暖化を抑えるためのCO2排出ゼロに貢献する活動が、重要な使命であると考えます」(江守先生)
私たちが健やかに生き、将来の世代の負担を増さないために、一人ひとりがより真剣に考えていく必要があるのではないでしょうか。
温暖化の影響は私たちの生活にも大きな変化をもたらす可能性があります。ウェザーニュースでは、気象情報会社の立場から地球温暖化対策に取り組むとともに、さまざまな情報をわかりやすく解説し、みなさんと一緒に地球の未来を考えていきます。まずは気候変動について知るところから、一緒に取り組んでいきましょう。
特集 ウェザーニュースと考える地球の未来
お天気ニュース記事をアプリで見るお天気ニュース記事一覧
参考資料
極端気象アトリビューションセンター(WAC)「2025年7月下旬の記録的高温 『地球温暖化の影響がなければ発生しなかったレベル』」
温暖化の影響は私たちの生活にも大きな変化をもたらす可能性があります。ウェザーニュースでは、気象情報会社の立場から地球温暖化対策に取り組むとともに、さまざまな情報をわかりやすく解説し、みなさんと一緒に地球の未来を考えていきます。まずは気候変動について知るところから、一緒に取り組んでいきましょう。
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極端気象アトリビューションセンター(WAC)「2025年7月下旬の記録的高温 『地球温暖化の影響がなければ発生しなかったレベル』」
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