「1時間に◯mm(ミリ)の雨」ってどれくらい? 大雨のイメージと雨量の関係

2025-08-15 05:03 ウェザーニュース

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今年の夏は、全国各地で豪雨被害が多発しています。

天気予報では雨の強さを示す際に、「1時間に〇mm(ミリ)の雨」という表現が使われています。“〇の数値が大きいほど降る雨の量は多い”ことは理解できますが、「〇mm」の雨が実際にどのような状況を示すのかを実感としてとらえられている人は、多くはないようです。

「〇mmの雨」はどのように測られているのか。また、それぞれの雨量の目安などについてまとめてみました。
雨雲レーダー雨雲レーダー

雨量はどうやって測っている?

降水量は気象庁のアメダスや自治体などが設置した雨量計によって計測されます。気象庁では「転倒ます(枡)型雨量計」という気象測器を用いていて、降った雨の量をmm単位の高さに換算しています。

雨量計の中にはシーソーのような形で、横柱の両側に三角形の「転倒ます」が設置されています。片方に貯まった雨水の量が0.5mmに達すると転倒ますが倒れ、続いてもう一方の転倒ますに雨水が貯まって倒れる動きを繰り返します。

転倒ますが倒れるごとに処理装置へ電気信号が送られて、回数が合計されます。1時間の間に「ます」が10回倒れれば0.5×10=5で、「1時間に5mmの雨」が降ったことになるのです。

雨の強さと降り方

それでは、「1時間に〇mmの雨」とは、具体的にどのような状況なのでしょうか。1時間あたりの雨の強さと降り方についての気象庁の定義は次のとおりです。

【10~20mm/h】=やや強い雨
雨が「ザーザーと降る」イメージで、地面からの跳ね返りで足元が濡れます。木造住宅の屋内では雨音で話し声がよく聞き取れなくなります。屋外では地面一面に水たまりができる状態です。

【20~30mm/h】=強い雨
土砂降りで傘を差していても濡れ、20mm/h以上になると屋内では寝ている人の半数が雨に気がつきます。車に乗っているとワイパーを速く動かしても見づらい状況です。

【30~50mm/h】=激しい雨
バケツをひっくり返したようなイメージで、道路は川のようになってしまいます。車の高速走行時には「ハイドロプレーニング現象」が発生し、車輪と路面の間に水幕が生じてブレーキが効かなくなってしまいます。
【50~80mm/h】=非常に激しい雨
滝のように「ゴーゴー」と降り続き、傘はまったく役に立たなくなります。屋外では水しぶきであたり一面が白っぽく見え、視界が悪くなります。50mm/h以上になると車の運転は危険な状況です。

【80mm/h以上】=猛烈な雨
息苦しくなるような圧迫感が生まれ、恐怖を感じるほどの状況です。
大雨で災害の危険があるときは、気象庁から「大雨注意報」や「洪水注意報」が発表されます。重大な災害が起こるリスクがある場合には、「大雨警報」や「洪水警報」が、そして、さらに重大な災害リスクがある場合には、「大雨特別警報」が出され、警戒や注意を呼びかけます(基準は地域によって異なります)。

また、数年に一度しか起きないような短時間の大雨を観測した場合、気象庁は「記録的短時間大雨情報」を出します(基準は地域によって異なる)。この情報が出たときは、その地域で土砂災害や浸水、川の氾濫(はんらん)などの危険な雨が降っている可能性が高いので、十分注意してください。

雨量ごとの被害想定は?

ウェザーニュースでは、これまでのウェザーリポートからの被害報告を元に雨量ごとの被害想定を作成しています。

【20mm/h】=土砂降りレベル
・傘をさしてもずぶ濡れ
・階段が滝のようになる
・側溝があふれ始める

【30mm/h】=低地の道路冠水レベル
・目の前が見えにくい
・アンダーパスの冠水が始まる
・道路の低い場所の冠水
・用水路や小河川が増水する

【40mm/h】=水路・都市河川危険レベル
・河川敷が浸水
・用水路の増水
【50mm/h】=道路大規模冠水レベル
・マンホールから水が噴き出す
・広い範囲で道路冠水が始まる
・店舗浸水や床下浸水が始まる
・地下への浸水が始まる
・内水氾濫が発生しだす
・小さな土砂崩れが起きる

【100mm/h】=浸水・土砂災害レベル
・床上浸水が発生する
・河川氾濫が発生する
・土砂災害が発生する

あくまで目安とはなりますが、起こりうる災害を想定して、早めに備え、行動しましょう。
全国のアメダス観測値・降水量

「10分間雨量8mm」でも冠水の可能性

豪雨時の道路の冠水、氾濫の発生状況について、関西大学名誉教授(土木工学)の石垣泰輔先生に解説して頂きました。

道路の冠水はどの程度の雨量で始まるのでしょうか。

「雨水排水施設(下水)がある都市域では、排水能力は10分間雨量が8mm(1時間降り続けば48mm≒50mm)を超えると道路冠水の発生リスクが高まります。

1時間50mmに達しなくても、たとえば、8mm以上が20~30分続くと、道路冠水や低い場所の浸水が発生しやすくなります」(石垣先生)
河川の氾濫が発生するのはどんな状況でしょうか。

「1時間降水量50mmというのは中小河川の計画規模ですので、それを上回ると氾濫する可能性があります。

都市域では、内水氾濫と中小河川の外水氾濫が重なり、広範囲の浸水被害が発生することがあります」(石垣先生)

大雨によって災害が起こるおそれがある時は大雨注意報や洪水注意報、重大な災害が起こるおそれがある時は大雨警報や洪水警報、さらに重大な災害が起こるおそれが著しく大きい時は大雨特別警報が発表されます。

たとえ注意報や警報が発令されていなくとも、天気予報で危険な雨量を確認したら、早めにリスク回避に務めましょう。

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