地球温暖化のウソ? ホント?(21)地球温暖化で海はどんなふうに変わったの?

2025-08-14 05:10 ウェザーニュース

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地球温暖化というと、私たちは気温の上昇ばかりを考えがちですが、実際には、地球温暖化の影響は海にも大きく及んでいます。

海の中でどんなことが起こっているのか、気候変動問題の専門家である江守正多さん(東京大学 未来ビジョン研究センター教授)の監修のもと見ていきましょう。

Q1/この100年間で、海水の温度はどう変わったの?

◆A/日本近海では、100年間に1.33℃のペースで海水温が上昇しています。

1925年から2024年までの100年間が最も近い100年間です。

日本近海の2024年までの海面水温(年平均)の上昇率は、100年あたり+1.33℃の割合です。これは、世界全体で平均した海面水温の上昇率(100年あたり+0.62℃)よりもはるかに高く、日本の気温の上昇率(100年あたり+1.40℃)と同程度の値です。
「日本近海の海面水温の上昇率が高い理由の一つとして、温暖化は一般に陸のほうが海よりも大きく、日本近海は大陸に近いため、陸の温暖化の影響を受けている可能性が指摘されています」(江守さん)

海水温が上昇して、日本近海や世界の海ではどんな変化が起こっているのでしょうか。

「水温が上がることによる海洋生態系への直接的な影響が実際に起こっています。海水温が高くなったため、海水温の低い海域にシフトしている魚類もいるし、個体数を減らしている魚類もいます。

さらに、海は上から温まると、表層が軽くなって、安定となり、深いところまで混ざりにくくなります。そのため、深海から栄養分の多い水が表層に供給されにくくなることや、逆に表層から深海に酸素が供給されにくくなることで、生態系に影響が出ると考えられます」(江守さん)

Q2/海は二酸化炭素を吸収しているって、本当?

◆A/本当です。大気中の二酸化炭素が増えたことで、海水が酸性化する問題も起こっています。

海は大気から二酸化炭素を吸収したり、大気に二酸化炭素を放出したりしていますが、その量は吸収する量のほうが多いことがわかっています。これは、人間の活動によって大気に排出している二酸化炭素の一部を、海が吸収してくれているということです。地球温暖化を抑制する上で、海は重要な役割を果たしているといえます。

しかし、その結果として、海中の二酸化炭素量も増えて、海水の性質が変化し、海水が酸性に近づく「海洋酸性化」が起こっています。
海洋酸性化はどのように起こり、どんな問題をはらんでいるのでしょうか。

「海水が二酸化炭素を吸収すると、水と二酸化炭素が結合して炭酸が増え、それが電離して水素イオンが増えます。海水などの水溶液において水素イオンが増加すると、水素イオン濃度指数(pH)は低下します。つまり、水素イオンのこの増加が『酸性化』です。

ただし、海水はもともとアルカリ性なので、『酸性化』と呼んでいるのは、アルカリ性が弱くなって中性に近づいていくことです。

酸性化が進むと、海水中で炭酸カルシウムの結晶ができにくくなります。そのため、プランクトンや貝類などの炭酸カルシウムの殻を持つ海の生き物が育ちにくくなると考えられます。特定のプランクトンが減ると、それを食べていた魚なども育ちにくくなり、生態系全体に影響が及ぶことも懸念されています」(江守さん)

Q3/地球温暖化によって、海藻や海草、サンゴが減っているって、本当?

◆A/本当です。サンゴの減少は海の生態系に大きなダメージをもたらすおそれがあります。

地球温暖化によって、海藻(かいそう)や海草(かいそう)、サンゴ(珊瑚)が世界的に減少しているという報告があります。

海藻は海中に生える藻類(そうるい)で、コンブやワカメ、アオノリなど、海草は海中に生える種子植物で、アマモなどがあります。サンゴを植物か岩のようなものと思っている人もいるかもしれませんが、サンゴは動物で、イソギンチャクやクラゲの仲間です。
磯焼けした海域
「本来はより南の海域に生息していた、海藻や海草を食べる魚やウニが日本の温帯域まで北上して、これらの動物が大量に海藻などを食べることが、海藻などが減少している一因です。焼野原のようにみえるため『藻場(もば)の磯焼け』ともよばれます。

また、海藻や海草の生育に適した水温を超えて水温が上昇してきたため、これらの生育が阻害されたり、枯れてしまったりしていることも、海藻などが減少している要因の一つと考えられます」(江守さん)

では、サンゴはなぜ減少しているのでしょうか。
「サンゴの表面には褐虫藻(かっちゅうそう)と呼ばれる微生物が共生していて、サンゴは褐虫藻から栄養をもらって生きています。

水温が上がると、褐虫藻が逃げてしまい、白化が起こります。

サンゴそのものはもともと白く、カラフルなわけではありません。ではなぜカラフルに見えるサンゴがあるかというと、サンゴと共生している褐虫藻が影響しています。

しかし、褐虫藻がサンゴから逃げていくと、白いサンゴの本体がむき出しになってしまいます。これが白化です。

白化したサンゴは褐虫藻からの栄養をもらえないため、その状態が続くと、やがて死滅してしまいます」(江守さん)
白化したサンゴ
海藻や海草、サンゴの減少が与える影響については、次のように話します。

「藻場の磯焼けは、海の生態系の問題であるだけでなく、私たちが食べる海苔(のり)やワカメなどの生産にも危機をもたらしています。

サンゴについては、海の多くの生き物が隠れ家や産卵場所などさまざまな形でサンゴ礁に依存しているため、サンゴの減少は海の生態系に大きなダメージをもたらすと考えられます。

また、サンゴ礁は自然の防波堤としても機能しているので、サンゴの減少によって、人間社会に対しても、高潮のリスクが増えるなどの影響が考えられます」(江守さん)
地球温暖化は陸上にとどまらず、海中でも進んでいて、さまざまな問題を引き起こしていることが改めてわかりました。

海中の生態系を守り、海の生物の暮らしをこれ以上脅かさないためにも、地球温暖化を止めることが非常に大切です。


ウェザーニュースでは、気象情報会社の立場から地球温暖化対策に取り組むとともに、さまざまな情報をわかりやすく解説し、皆さんと一緒に地球の未来を考えていきます。

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監修/江守正多 東京大学 未来ビジョン研究センター 教授(@seitaemori)
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