長野県で発生した突風事故時の気象解説(速報)
下層の気温が相対的にかなり高い状態
この日の日本周辺では、オホーツク海に冷たい空気の渦が居座り、東北北部や西日本では曇りや雨となっていました。一方、東北南部から関東甲信北陸では午後にかけて晴れて日差しが多い状況でした。夜にかけて西日本から東日本へ上昇気流が形成されやすい環境が整い、本州には暖かく湿った空気が流れ込んでいました。
特に輪島付近では、上空5800m付近がマイナス12℃(平年より2~3℃高め)に対し、上空1500m付近がプラス17~18℃(平年より7~8℃も高い)となっており、下層の気温がかなり高く、上空との気温差が大きな状態でした。この大きな気温差が、後に積乱雲が急激に発達する重要な要因となったと考えられます。
特に輪島付近では、上空5800m付近がマイナス12℃(平年より2~3℃高め)に対し、上空1500m付近がプラス17~18℃(平年より7~8℃も高い)となっており、下層の気温がかなり高く、上空との気温差が大きな状態でした。この大きな気温差が、後に積乱雲が急激に発達する重要な要因となったと考えられます。
気温上昇による局地的な低気圧の形成
3つの条件が重なった
下層の暖かさによる強い不安定、午後からの湿った空気の流入、地形や風のぶつかり合いなどによる上昇気流の形成という3つの条件が重なったことが、長野県での積乱雲の急激な発達と組織化につながったと考えられます。
突風発生のメカニズム解析
事故が発生した17時50分の時点では、小屋とみられるものが線路上にあったという情報があることから、今回の突風は17時50分より前に吹いたと思われます。また、小屋は線路の北側にあり、北寄りの風で飛ばされた可能性が高いと推察できます。
当時の雨雲レーダーを見ると、事故現場付近では17時30分から17時55分頃にかけて、非常に強い雨を降らせる積乱雲が通過していました。
当時の雨雲レーダーを見ると、事故現場付近では17時30分から17時55分頃にかけて、非常に強い雨を降らせる積乱雲が通過していました。
※用語解説※
ドップラー速度:レーダーから見て風が近づいてくる速度(接近成分)と遠ざかる速度(離散成分)を測定したもので、風の強さと方向を知ることができます。竜巻やダウンバーストなどの危険な風の現象を早期に発見するために気象レーダーで観測されています。
ガストフロント:積乱雲から吹き降ろされた冷たい空気が地面に当たって水平に広がる際に形成される、冷たい空気と暖かい空気の境界線のことです。この境界では急激な風向・風速の変化や突風が発生し、航空機の離着陸や屋外活動に危険をもたらすことがあります。
ダウンバースト:積乱雲から冷たい空気が勢いよく地面に向かって吹き降ろし、地面に当たって水平方向に広がる現象です。地上では中心から放射状に吹き出す非常に強い突風となり、建物の損壊や航空機事故の原因となることがある危険な気象現象です。
ガストフロント:積乱雲から吹き降ろされた冷たい空気が地面に当たって水平に広がる際に形成される、冷たい空気と暖かい空気の境界線のことです。この境界では急激な風向・風速の変化や突風が発生し、航空機の離着陸や屋外活動に危険をもたらすことがあります。
ダウンバースト:積乱雲から冷たい空気が勢いよく地面に向かって吹き降ろし、地面に当たって水平方向に広がる現象です。地上では中心から放射状に吹き出す非常に強い突風となり、建物の損壊や航空機事故の原因となることがある危険な気象現象です。
情報をいち早く入手、その後の予測を確認
現段階では、今回の突風の詳細なメカニズムまでは解明が難しい状況ですが、レーダーデータを解析すると、突風のリスクを示唆する風は観測されていました。ただし、検知して伝達などができた場合も、現地周辺では既に突風が発生した後となることが多くなります。観測や解析技術、情報伝達といったインフラ側の充実と合わせて、情報を活用した対策ルールの整備が重要と言えそうです。
また、突風をもたらす恐れのある雨雲自体の発生は早い段階から捉えられ、21日16時42分には長野県北部・中部に竜巻注意情報が発表されていました。今回の雨雲は、落雷も伴い、視界を遮るほどの激しい雨を降らせていました。そうした強度の強い雨雲や、落雷の情報をリアルタイムに入手し、安全な場所への避難・待機などの判断をお願いします。
» 「超高解像度雨雲レーダー」10分ごと30時間先までの雨雲予測使い方ガイド
» お客さまの業務拠点を常にみまもります(ウェザーニュース for business)
また、突風をもたらす恐れのある雨雲自体の発生は早い段階から捉えられ、21日16時42分には長野県北部・中部に竜巻注意情報が発表されていました。今回の雨雲は、落雷も伴い、視界を遮るほどの激しい雨を降らせていました。そうした強度の強い雨雲や、落雷の情報をリアルタイムに入手し、安全な場所への避難・待機などの判断をお願いします。
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