【ウェザーニュース for business】奈良市の落雷を振り返る（4月10日）

まずは当時の天気の概況について簡単に振り返ります。
この日の日本付近は太平洋に位置する高気圧の後面に位置し、南からの暖かく湿った空気が流入していました。また上空には気圧の谷も接近し西日本から東日本にかけて大気の状態が不安定となり、雨雲が発達しやすい状況でした。

実際にこの日は午前から西日本の各地で雷を伴う雨雲が発生しました。お昼前後では九州地方や中国地方の山陰側で雷雨となっていましたが、次第に雨雲の発生エリアは東へと移動し、夕方には東海地方から中国地方まで広い範囲で局地的に雷雨となりました。

奈良県周辺では17時頃から次第に雨雲が広がり、17時20分ごろに大阪府南東部で雷が発生しました。この雷は奈良市から見て約25～30km離れた場所で発生していました。
その後、雨雲は北東方向に急速に拡大し、約20分後には奈良市の中心部にも到達しました。雨雲は18時頃まで市内に雷雨をもたらしました。

当時の気象状況については「ウェザーニュースLiVE」でも解説しました。
» 動画解説を見る

ウェザーニュース for businessでは一部のお客様を対象に"落雷リスクモニタリング"というメニューを提供しています。こちらのメニューでは2時間30分先まで10分ごとの雷の危険度が分かる"発雷予測"を確認することができます。この発雷予測はウェザーニューズ独自の予測で、発雷の危険性のあるエリアをその危険度に応じて、黄色（危険度 中）、赤色（危険度 高）で表現しています。当時の発雷予測を振り返ると、17時50分頃の予測では奈良市周辺は「発雷の危険度 高」と発表されており、雷の危険性が高いことを事前に示していました。

この日の奈良市西部では気象庁からも雷注意報が発表されていましたが、午前4時32分から発表されていたため、実際の影響時間よりもかなり長い時間枠での注意喚起となっていました。また対象範囲も広域であるため、具体的にいつ、どこで対策をとるべきか判断に迷う場面もあったかと思います。

そこでウェザーニューズでは、皆様がより実態に即した対策をとれるよう、発雷予測として雷雲の動きの予測を高頻度で提供することにいたしました。これにより、実際の雲の動きをリアルタイムで把握し、避難などの行動判断をより適切に行うことが可能になります。

ウェザーニュース for businessでは設定した拠点の周囲で雷が発生すると、「落雷リスクのお知らせ」という通知を受け取ることができます。
この通知を受け取って上記の発雷予測を確認することで、いま自分が屋内に避難するべきかどうかを判断することができます。

2025年4月のアップデートでアプリでも発雷予測を確認することができるようになりました。屋外にいるような場面でもスマートフォンがあれば落雷通知の受信と発雷予測の確認を行うことが可能です。雷から身を守るためにもぜひお役立てください。

» アップデート内容を確認

雷が発生した時は開けた平地に立っているのは危険です。雷は高いところに落ちやすいという特徴がありますが、周囲が開けていると人間が一番高い状態になり雷が直撃しやすくなります。雷が近づいてきたら建物内に避難しましょう。

また木の下も要注意です。木に落雷すると、枝や葉、地中の根を通して感電する恐れがあります。もし、木の下に避難する場合は、木の高さと同じくらいの距離を取るか、木々や葉っぱから2m以上離れるようにしましょう。

» 雷から身を守る方法（動画）