週刊地震情報・年末拡大版
青森県東方沖でM7.5 トカラ列島では2000回超の地震

2025-12-30 13:24 ウェザーニュース

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2025年に国内で震度1以上を観測した地震の回数は、12月28日時点で4432回に達しました。最近10年間では熊本地震が発生した2016年に次ぐ2番目の多さです。

6〜7月にかけて非常に活発になったトカラ列島近海の地震活動が半数近くを占めています。

最も規模が大きかったのは7月にカムチャツカ半島付近で発生したマグニチュード8.8、次いで青森県東方沖のマグニチュード7.5です。

トカラ列島近海で2000回以上の有感地震

トカラ列島近海の地震回数
トカラ列島近海では6月下旬から地震活動が活発になりました。これまでもしばしば群発的な活動をしている領域ですが、今回はこれまでにないような活動状況でした。

6月21日頃から始まった活動は23日に183回と有感地震が最多になった後、一旦は収束に向かうかにみられました。しかし、再び増加に転じて7月3日(木)に最大震度6弱の、今回の活動で最も大きな揺れを伴う地震が起きています。

2回目の波は1週間余り続いて、その後も若干の増減を繰り返しながら7月中頃まで地震が多発しました。一連の活動による有感地震は2000回を超え、8月以降も地震の多い状況が継続中です。

青森県東方沖でマグニチュード7.5

青森県東方沖の地震
12月8日(月)23時15分頃、青森県東方沖を震源とするマグニチュード7.5、深さが54kmと推定される地震が発生しました。この地震で青森県八戸市で最大震度6強、おいらせ町と階上町で震度6弱を観測しています。

国内で震度6強以上の揺れを観測する地震は2024年1月1日の能登半島地震(最大震度7)以来、青森県東方沖を震源とするマグニチュード7以上の地震は1968年以来、57年ぶりです。

地震のメカニズムは西北西ー東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震と解析されています。

この地震で津波警報が発表され、岩手県久慈港では0.7mの津波を観測しました。

初の北海道・三陸沖後発地震注意情報

日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の想定震源域に影響を与える場所が震源で、規模が基準を満たしたため、気象庁は「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表しました。発表されるのは今回が初めてです。

日本海溝・千島海溝沿いでは2011年に三陸沖でMw7.3の地震が発生した2日後にMw9.0の巨大な地震(東北地方太平洋沖地震)が発生したことや、1963年に択捉島南東沖でMw7.0の地震が発生した18時間後にMw8.5の地震が発生した事例があります。
青森県東方沖ではマグニチュード7.5の地震の後、12日のマグニチュード6.9の地震を筆頭に地震活動が活発になりました。ただ、後発地震に該当するような大きな地震は起きていません。

政府の地震調査研究推進本部は今後30年以内に青森県東方沖及び岩手県沖北部を震源とするマグニチュード7.9程度の地震が発生する確率を、20〜40%としています。情報の有無に関わらず、常日頃からの備えは欠かせません。
関連記事「北海道・三陸沖後発地震注意情報を発表(気象庁)」

カムチャツカ半島沖でM8.8 世界でM8超は4年ぶり

世界のM7.0以上の地震(USGSホームページ引用/ウェザーニュース加工)
2025年、アメリカ地質調査所の解析によるマグニチュード7以上の地震は15回発生しました。昨年の10回に比べると増加しています。

最も規模が大きかったのは7月のカムチャツカ半島沖の地震で、マグニチュード8.8と世界では4年ぶりとなるマグニチュード8クラスです。また、3月にはミャンマーでマグニチュード7.7の地震があり、震源から離れたタイでも被害が出ました。

1900年以降で6番目の巨大地震

7月30日(水)8時24分頃、カムチャツカ半島付近を震源とするマグニチュード8.8、深さ35kmと推定される地震が発生しました。この地震では震源に近いカムチャツカ半島で強い揺れに見舞われただけでなく、日本でも北海道から九州までの広い範囲で揺れを観測しています。

マグニチュード8.8は1900年以降に発生した地震の中で、6番目の大きさに相当する巨大地震です。地震のメカニズムは北西ー南東方向に圧力軸を持つ逆断層型と解析され、太平洋プレートが北米プレートに沈み込むことで発生した、プレート境界型巨大地震とみられます。

津波が発生し、日本にも

この地震で津波が発生し、日本でも太平洋側を中心とした各地に津波が押し寄せました。地震発生の1時間後には北海道から紀伊半島の太平洋側に津波警報が発表されています。

最も大きな津波を観測したのが岩手県久慈港で141cmに達しました。そのほか、宮城県仙台港で82cm、北海道根室市花咲で78cm、茨城県神栖市鹿島港などで81cmを観測しています。

地震の規模が大きかったことや、海底地形などの影響で様々な経路で津波がやってきたことなどで、長い時間潮位変動が継続しました。仙台港は第一波の観測から12時間ほど経って最大波を観測しています。

写真:ウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿)
Maxつるぎレールスター999号新白河行きさん

ミャンマーでM7.7 サガイン断層の活動

ザガイン断層と震源
日本時間の3月28日午後にミャンマーの内陸部を震源とするマグニチュード7.7、深さ約10kmと推定される地震が発生しました。地震のメカニズムは横ずれ型と解析されています。

ミャンマーの中央部には南北1000kmにもわたる「サガイン断層」が伸びています。今回の地震はその発生場所やメカニズムから、この断層の一部が活動した可能性が高く、少なくとも200kmの長さで破壊が起こったとみられます。2024年1月の能登半島地震では100〜150kmと推定されていますので、それを大きく上回る規模です。

サガイン断層はインドプレートとユーラシアプレートの動きにより形成されていて、非常に活動が活発な断層です。1991年には今回よりも北の領域でマグニチュード7.0、1946年にはマグニチュード7.6、1912年にはマグニチュード7.9など度々大きな地震が発生しています。

今回は200km以上の長さで断層が動いたと解析されていて、その分だけ強い揺れの領域が広範囲に及びました。震央に近いミャンマー第二の都市マンダレーや、首都ネピドーなどで改正メルカリ震度階級VIII以上の揺れとなっています。

遠く離れたタイで大きな被害

この地震では震央から1000kmほども離れたタイのバンコクでもビルの倒壊などの大きな被害が発生しました。長周期地震動による影響と考えられます。

長周期地震動は周期が2秒以上の揺れで、遠くまで伝わりやすく高層建築物に影響を与えやすいのが特徴です。さらにバンコクはデルタ地帯のため、地盤が悪かったことも被害を拡大につながったとの指摘もあります。

この地震でミャンマーでは3,800人以上、タイでも50人あまりの方が亡くなりました。
関連記事「タイ・バンコクは「長周期地震動」で被害拡大か」

出典・参考
※日本国内の震源・震度の情報は特に記載が無ければ気象庁より。海外の震源情報は特に記載が無ければアメリカ地質調査所(USGS)より。発表機関により震源情報に差が生じることがあります。
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