九州・北陸で線状降水帯が発生、記録的豪雨に 各地で災害相次ぐ(8/6(水)〜8/11(月))

2025-08-13 14:35 ウェザーニュース

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8月6日(水)から11日(月)にかけて、日本列島では各地で大雨になりました。九州や北陸を中心に記録的な豪雨となり、各地で浸水や土砂災害、河川の氾濫などの災害が発生しました。大雨の影響や要因などを振り返ります。

梅雨末期の大雨時のように前線が停滞

ウェザーニュース for business「天気図」より
当時の天気図を振り返ってみると、南北に変化しながらも、約一週間に渡り、活動が活発な秋雨前線が日本列島に停滞していました。まるで梅雨末期のような天気となりました。

北陸で断続的な強雨 金沢市では観測史上1位の雨量を記録

8月6日(水)からは日本海の前線が本州に停滞し、北陸から東北を中心に断続的な強雨となりました。金沢地方気象台は、加賀で線状降水帯による非常に激しい雨が同じ場所で降り続いているとして、7日(木)4時47分に「顕著な大雨に関する情報」を発表。金沢市では12時間降水量が300mmを超え、3時間降水量、24時間降水量とともに観測史上1位の記録を更新しました。平年の8月の月間降水量は179.3mmなので、平年の1ヶ月分を大幅に超える雨が12時間で降ったことになります。
石川県で線状降水帯による大雨
金沢市で観測史上1位の雨量を記録

今回の大雨の影響で、北陸新幹線は7日(木)7時22分ごろから金沢駅と長野駅の間の上下線で運転見合わせに。その後12時時46分に全線で運転を再開となりました。

九州でも線状降水帯が相次いで発生

鹿児島県に大雨特別警報

秋雨前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、8日(金)以降、鹿児島県、福岡県、熊本県などで線状降水帯が相次いで発生し、統計開始以来、最も多い雨量を更新するなど記録的な大雨となりました。

気象庁は、鹿児島県の薩摩地方で線状降水帯による非常に激しい雨が同じ場所で降り続いているとして、8日(金)1時07分に「顕著な大雨に関する情報」を発表。5時には鹿児島県霧島市に大雨特別警報が発表されました。1時間に100mmを超える猛烈な雨が降った時間帯もあり、総雨量もかさみました。鹿児島県霧島市のアメダス溝辺では8時までの24時間に506.0mm、アメダス牧之原では515.5mmを観測し、いずれも1976年からの統計で各地点の観測史上1位の値を更新しました。

鹿児島県霧島市に大雨特別警報
鹿児島県内では24時間雨量が500mm超、浸水被害なども

鹿児島県の豪雨 バックビルディング型の線状降水帯

鹿児島県では7日(木)から8日(金)の未明にかけて集中的に雨が降り、姶良市や霧島市などで大規模な浸水被害に見舞われました。「バックビルディング型」の線状降水帯が形成されたとみられます。

前線の南側では、空気中に含まれる水蒸気の量を表す指標のひとつである相当温位354K以上の、過去に大雨災害を引き起こした際と同レベルの非常に湿った空気の流入が続きました。

九州の西の海上ではやや北寄りの風と南寄りの風がぶつかることによって雨雲が発達。その雲が上空の風により次々と鹿児島県に流れ込む、「バックビルディング型」の線状降水帯が形成され、典型的な大雨災害のパターンです。
ウェザーニュース for business「アメダス」より

狭い範囲に雨が集中

8日(金)8時までの24時間雨量の分布を見ると、鹿児島県の霧島市・溝辺(鹿児島空港)や牧之原で500mm以上の記録的雨量になったのに対し、南側の鹿児島市はわずか61.0mm、宮崎県側のえびの市・えびの高原でも半分ほどの265.0mmに留まっています。大量の水蒸気がもたらす豪雨が狭い範囲に集中したことで、大きな災害となりました。

鹿児島県では過去もこの時期に大きな大雨災害に見舞われています。1993年の「平成5年8月豪雨」です。1993年は記録的な長梅雨で、天気の流れは今年と全く違っていたものの、前線の影響で線状降水帯が形成されて大雨になった点では今回と似た部分があります。霧島市・溝辺の24時間雨量は1993年8月2日に観測された記録を上回って、過去最大となりました。

福岡県でも線状降水帯が発生

福岡県でも、期間中、断続的な強雨や雷雨に見舞われました。
9日(土)深夜から10日(日)は、線状降水帯も発生して道路冠水や浸水、崖崩れ、道路被害なども影響も各地で発生しました。
また、複数回に渡り、記録的短時間大雨情報が発表されました。

【記録的短時間大雨情報】
福岡県新宮町付近では23時40分までの1時間に約120mmの猛烈な雨>>
福岡県宗像市付近では11時50分までの1時間に約110mmの猛烈な雨>>
福岡市西区、糸島市付近では18時10分までの1時間に約110mmの猛烈な雨>>
福岡・大分・佐賀・熊本で1時間に100mm以上の猛烈な雨>>

※九州以外のエリアでも発表あり
静岡県御殿場市付近では19時00分までの1時間に約110mmの猛烈な雨>>
山梨県で1時間に約120mmの猛烈な雨>>

熊本県でも大雨特別警報、広範囲で浸水

熊本県では11日(月)0時20分に荒尾玉名地域に大雨特別警報が発表されました。その後、5時25分に宇城八代地域、8時10分に天草地方にも特別警報が拡大されました。

熊本県では線状降水帯と解析された活発な雨雲の帯が10日(日)夜から11日(月)朝にかけて猛烈な雨を降らせました。1時間最大雨量は菊池市で115.5mm、上天草市・松島で114.5mm、玉名市・岱明で108.0mmなど一部では100mm以上を観測。12時間の最大雨量は10時00分の時点で玉名市・岱明で404.5mm、山都町で399.0mm、八代市で382.0mmなど多い所で400mm前後に達しました。

球磨川が氾濫して熊本県人吉市を中心に大きな被害に見舞われた2020年の水害の際に12時間雨量が最も多かったのは水俣市の415.0mmですので、今回の大雨はエリアこそ少し違うものの、匹敵する水準と言えます。

広い範囲で「足首〜すね」の冠水や浸水

ウェザーニュースアプリを利用するユーザーの皆さんに、8月10日(日)から11日(月)にかけて冠水の状況について調査を行いました。その結果、熊本県内では「足首〜すね」まで冠水しているところが多く「ひざ以上」の報告も寄せられました。

交通機関にも影響大

今回の大雨で交通機関にも大きな影響が出ました。

九州新幹線や山陽新幹線をはじめ、JR九州の在来線などでも運転を見合わせたり、大幅な遅れが発生しました。
また、この大雨で九州の高速道路でも各地で通行止めが発生しました。九州自動車道の植木や松橋、八代付近ではのり面が崩れるなどの災害が発生し、復旧にも時間を要しました。

空の便でも鹿児島や熊本を離発着する便などには一部欠航など、お盆の帰省にも影響がでました。

※最新の交通情報は公式サイトなどからご確認ください。

復旧作業は熱中症に警戒

お盆休み後半から来週にかけて気温が上昇します。各地で最高気温が35℃以上の猛暑日となる所が増え、厳しい残暑が続く見込みです。
晴れる日が多くなるため、大雨に見舞われた地域では片付けや復旧作業が進められそうですが、晴れる分だけ気温が上がり厳しい暑さとなる見込みです。こまめな休憩や水分補給を心がけてください。
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