1時間の冷房運転でニオイが軽減？　すぐできるエアコンの悪臭対策

ウェザーニュースで「自宅でエアコンの臭いが気になった経験は？」というアンケート調査を行ったところ、「経験ある」という人が61％にも達していることが分かりました。

そこで、エアコンのニオイの原因と軽減方法についてまとめてみました。

エアコンの嫌なニオイはどうして生じるのか。三菱電機 臭気判定士の河島綾さんに解説して頂きました。

「エアコンの運転を開始すると、内部へ室内の壁やじゅうたん、家具などに染み込んだ、あらゆる種類のニオイの成分も一緒に吸い込まれてしまいます。

日常生活ではほとんど気にならない食品、人の汗やたばこの煙など、さまざまなニオイがエアコンの内部で混ざり合い、凝縮されることで独特な悪臭になってしまう場合があるのです。

これを『変調』といい、化粧品などの“よい香り”でも濃度が高くなったり他のニオイと混じり合ったりして、悪臭になることもあるのです」（河島さん）

カビ臭いニオイを感じることも少なくありません。

「エアコンの冷房運転中に室内機が高い湿度の環境におかれると、内部の風向フラップや通風路、ファンにカビが生えやすくなるからです。

前シーズンに発生したカビが残り、今シーズンの梅雨時に繁殖して、カビのニオイを感じさせることもあります。

カビのニオイの原因となる物質は、微量であっても感知されやすい特徴をもっています。そのため、低濃度であっても“エアコンから嫌なニオイの風が出てくる”と、強く感じさせてしまうのです。

そのほか、ドレン（排水）ホースの先端部が排水溝などに入っていると、ホース内部に排水溝の悪臭が入り込み、室内まで侵入する場合もあります。ホースは室外機の背面や脇に付いていますが、確認しにくい時には無理せず、販売店かメーカーの修理窓口にご相談ください」（河島さん）

エアコンの悪臭やカビのニオイを軽減させる方法については、三菱電機 空調冷熱システム事業部の鳥海 采（とりうみ・あや）さんに伺いました。

嫌なニオイを感じた時は、どのように対処すればいいのでしょうか。

「部屋の窓を開けたうえで、エアコンの設定温度を最低温度にして、1時間程度の冷房運転を行ってください。すると、エアコンの内部で結露した水が、熱交換機に付着した嫌なニオイの原因となる成分を洗い流してくれます。

特にオフシーズン明けの運転開始直後は、アルミフィンという部品の表面に溜まったニオイ物質が、結露水により放出されて嫌なニオイが生じることもありますが、徐々に軽減されていきます」（鳥海さん）

注意するべき点はありますか。

「高い湿度の時に窓を開けてエアコンを運転すると、室内機の内部に付着した露が垂れて、濡れた家財や床などが汚損する原因となる可能性があります。室内機の下にビニールシートを敷くなど、防水対策を図るようにしてください。

ただし、この対策を採ってもニオイの成分を完全に洗い流すことができない場合があります」（鳥海さん）

カビのニオイ軽減には、どのような対策がありますか。

「カビのニオイを抑えるには、まずカビを取り除くことが必要です。

吹き出し口付近のカビを拭き取って、先の手順で冷房運転をしたのち、カビのニオイが軽減されているかどうかを確認してください。

それでもカビのニオイが感じられるようでしたら、手の届かない通風路やファンにカビが付着している可能性があります。内部の洗浄はご自身で行わず、販売店かメーカーの修理窓口にご相談ください。

カビが取り除かれたら『内部クリーン』を設定してください。冷房・除湿運転後に最大10分間ほど送風や弱暖房を行い、エアコン内部を乾燥させる機能で、カビ発生の予防になります。ただし、室温が 2～3℃上がることや、室内の湿度が上がることがあります」（鳥海さん）

そのほかに注意事項はありますか。

「これまでに述べた対処を行っても、ニオイが軽減されない場合があります。その際のNG（やってはいけない）事項として、ご自身で内部の洗浄を行わないことに加えて、『エアコンに向かって消臭剤や抗菌剤などは吹きかけない』ことです。

スプレー類を用いると、電子基板や室温検出センサーの故障や熱交換器の腐食が生じる可能性があります。それにより、冷房の効き具合が悪くなるなどの性能悪化につながります。

また、『室内機の熱交換器は雑巾で拭かない』ようにしてください。アルミフィンで指を切傷する可能性があるからです。熱交換器の手入れは、掃除機でほこりを吸い込むだけにしてください。

本体外部を清掃する場合は、ほこりや異物を落としてから雑巾がけをするようにしてください。残ったまま雑巾で拭くと、本体に傷の付く可能性があるからです」（鳥海さん）

すでに真夏日・猛暑日が記録されているこの夏。熱中症予防のためのエアコン冷房使用をより快適に過ごすため、嫌なニオイを取り除いておきましょう。

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