「入梅(にゅうばい)」の頃に、おすすめの食べ物は?
梅の実が熟す頃に始まる「入梅」
まず、新暦の6月前後に続く長雨を梅雨、梅雨入りを入梅と、植物の梅にちなんで呼ぶのはなぜなのでしょうか。
「日本ではちょうど梅の実が熟し始める頃に雨季が始まるので、これを梅雨と呼ぶようになりました。
農家にとって梅雨入りを知ることは、田植えの時期を見極めるために大切です。そのため、江戸時代の暦学者が長い雨季の始まりの目安として、暦に『入梅』を設けたといわれています」(北野さん)
旧暦では入梅の日をどのように定めているのですか。
「二十四節気の一つに穀物の種をまく頃という意味の『芒種(ぼうしゅ)』が6月6日頃にあります。その直後の『壬(みずのえ=水の兄)』の日を入梅としました。太陽が黄経(おうけい)80°に達した時で、新暦では6月11日前後にあたります。
梅雨明けは『小暑(しょうしょ=7月7日頃)』直後の壬の日と定められていますが、もちろん実際の梅雨入りはその年の天候次第で変動します」(北野さん)
「日本ではちょうど梅の実が熟し始める頃に雨季が始まるので、これを梅雨と呼ぶようになりました。
農家にとって梅雨入りを知ることは、田植えの時期を見極めるために大切です。そのため、江戸時代の暦学者が長い雨季の始まりの目安として、暦に『入梅』を設けたといわれています」(北野さん)
旧暦では入梅の日をどのように定めているのですか。
「二十四節気の一つに穀物の種をまく頃という意味の『芒種(ぼうしゅ)』が6月6日頃にあります。その直後の『壬(みずのえ=水の兄)』の日を入梅としました。太陽が黄経(おうけい)80°に達した時で、新暦では6月11日前後にあたります。
梅雨明けは『小暑(しょうしょ=7月7日頃)』直後の壬の日と定められていますが、もちろん実際の梅雨入りはその年の天候次第で変動します」(北野さん)
季節の移ろいを示す「梅暦」
梅にちなんだ気象を示す言葉は、梅雨のほかにもあるのでしょうか。
「日本には昔から、梅の開花から実が色づき、熟すまでの季節の移ろいを示す『梅暦(うめごよみ)』という、風情あふれる暦がありました。
梅は早春にいち早く春の到来を告げて咲くことから『春告草(はるつげぐさ)』とも呼ばれました。
そのうえで、まず旧暦12月(新暦1月)は梅が咲き始める月なので『梅初月(うめはつづき)』、2月は梅見をするので『梅見月(うめみづき)』、5月は『梅色月(うめいろづき)』といい、6月の入梅を迎えます」(北野さん)
「日本には昔から、梅の開花から実が色づき、熟すまでの季節の移ろいを示す『梅暦(うめごよみ)』という、風情あふれる暦がありました。
梅は早春にいち早く春の到来を告げて咲くことから『春告草(はるつげぐさ)』とも呼ばれました。
そのうえで、まず旧暦12月(新暦1月)は梅が咲き始める月なので『梅初月(うめはつづき)』、2月は梅見をするので『梅見月(うめみづき)』、5月は『梅色月(うめいろづき)』といい、6月の入梅を迎えます」(北野さん)
入梅の頃に旬を迎える食材は?
入梅の“行事食”といえる食べ物はありますか。
「入梅は行事ではないので、特別な祝い事に供される行事食といえるものは存在しません。ただし、入梅の頃に“梅雨の水を飲んで美味しくなる”といわれる食材が、いくつかあります。
その代表として大阪や京都など、関西地方で夏の食材として親しまれている鱧(ハモ)があります。鱧は梅雨の時季に産卵期を迎えるため、脂がのり始めて身も柔らかくなるからです」(北野さん)
「入梅は行事ではないので、特別な祝い事に供される行事食といえるものは存在しません。ただし、入梅の頃に“梅雨の水を飲んで美味しくなる”といわれる食材が、いくつかあります。
その代表として大阪や京都など、関西地方で夏の食材として親しまれている鱧(ハモ)があります。鱧は梅雨の時季に産卵期を迎えるため、脂がのり始めて身も柔らかくなるからです」(北野さん)
山葵や青紫蘇、生姜もおすすめ
梅雨の時季はジメジメとした日が続き、身体や胃腸の調子を崩しがちになったり、食欲も減退気味になったりします。食あたりも心配です。
「入梅の時節には、昔から“毒消し”といわれる食べ物がおすすめです。
先人たちは梅に加えて、山葵(ワサビ)、青紫蘇(アオジソ)、生姜(ショウガ)、青山椒(アオザンショウ)、茗荷(ミョウガ)など、自生または渡来の爽やかな香味や辛味、酸味をもった薬味を重宝してきました。
これら毒消しと呼ばれる食べ物は、解毒、殺菌、防腐、食欲増進、消化促進、整腸などの頼もしい味方になってくれました。
さらにこれらの食材は、ちょうど梅雨の時季を含む初夏から夏に、旬を迎えるものが多いのです」(北野さん)
「入梅の時節には、昔から“毒消し”といわれる食べ物がおすすめです。
先人たちは梅に加えて、山葵(ワサビ)、青紫蘇(アオジソ)、生姜(ショウガ)、青山椒(アオザンショウ)、茗荷(ミョウガ)など、自生または渡来の爽やかな香味や辛味、酸味をもった薬味を重宝してきました。
これら毒消しと呼ばれる食べ物は、解毒、殺菌、防腐、食欲増進、消化促進、整腸などの頼もしい味方になってくれました。
さらにこれらの食材は、ちょうど梅雨の時季を含む初夏から夏に、旬を迎えるものが多いのです」(北野さん)
北野さんも幼い頃、梅雨どきにお母さまから、刺身には山葵や青紫蘇、寿司には新生姜の酢漬けを添えて「毒消しに食べときや(食べておきなさいね)」と必ず言われていたそうです。
旬の魚や毒消しの薬味、爽やかな梅の味わいで、ジメジメした梅雨どきを美味しく快適に過ごしていきましょう。
各地の梅雨入り 梅雨明け
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参考資料
『和のしきたり 日本の暦と年中行事』(監修:新谷尚紀/日本文芸社)、『四季のことば辞典』(講談社辞典局編/講談社)、『美しい日本語の辞典』(小学館辞典編集部編/小学館)、『日本の七十二候を楽しむ―旧暦のある暮らし―』(白井明大著/東邦出版)
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