初詣で甘酒が飲まれるのは、なぜ? 甘酒の歴史と神社の関係
甘酒には2種類あった
『古事記』『日本書紀』神話にも記載された甘酒の起源
甘酒はいつ頃から造られるようになったのでしょうか。
「奈良時代(710~784年)には『造酒司(さけのつかさ)』という職掌の人が、大和国や河内国、摂津国(現在の奈良県や大阪府)の『酒戸』185戸で酒と甘酒と酢を醸造し、平城京の宮中での酒席の供応役にも従事していました。
この時代に編纂(へんさん)され、神話を記した『古事記』『日本書紀』に、甘酒の起源についてとみられる記述があります。
「奈良時代(710~784年)には『造酒司(さけのつかさ)』という職掌の人が、大和国や河内国、摂津国(現在の奈良県や大阪府)の『酒戸』185戸で酒と甘酒と酢を醸造し、平城京の宮中での酒席の供応役にも従事していました。
この時代に編纂(へんさん)され、神話を記した『古事記』『日本書紀』に、甘酒の起源についてとみられる記述があります。
『古事記』には、応神天皇が大和国吉野宮(奈良県)に行幸(ぎょうこう、みゆき)された時、吉野川上流の山地に在った国栖(くす)の人が、醴酒を献じたとあります。
『日本書紀』には、女神の木花開耶姫(コノハナサクヤヒメ)が狭名田(さなだ=神田)の稲で天甜酒(あまのたむざけ)を醸し、神饌(しんせん=供え物)とする話があります。この『醴酒』と『天甜酒』が、甘酒とみられています。
貞観年間(859~877年)頃の『令集解(りょうのしゅうげ)』という書物では、『古事記』の醴酒について、『醲(こ)く甜(あま)き酒。麹を多くし米を少なくして作る。一夜にして熟(う)む』と解説しています。これは現在の甘酒の製法と一致しています」(北野さん)
『日本書紀』には、女神の木花開耶姫(コノハナサクヤヒメ)が狭名田(さなだ=神田)の稲で天甜酒(あまのたむざけ)を醸し、神饌(しんせん=供え物)とする話があります。この『醴酒』と『天甜酒』が、甘酒とみられています。
貞観年間(859~877年)頃の『令集解(りょうのしゅうげ)』という書物では、『古事記』の醴酒について、『醲(こ)く甜(あま)き酒。麹を多くし米を少なくして作る。一夜にして熟(う)む』と解説しています。これは現在の甘酒の製法と一致しています」(北野さん)
古くは神に捧げる「醴酒」、「甘酒」の名称は江戸時代から
醴酒は室町時代(1336~1573年)から行商されていたそうです。甘酒は京都・大坂(大阪)では、もっぱら夏の夜だけの販売でした。ところが江戸では冬の飲み物とされ、後に一年中売られるようになったのです。
甘酒は天明年間(1781~88年)頃には江戸の横山町で、富士山麓に見立てて『三国一』『白雪』といった富士山にちなんだ名前で売リ出されたといいます。天保年間(1830~43年)頃には社寺の境内や縁日祭礼の盛り場などで、『アマ~イ、アマ~イ、甘酒イ、甘酒イ』と連呼されて売られ、浅草本願寺門前の甘酒店の物が最も人気が高かったようです」(北野さん)
甘酒は天明年間(1781~88年)頃には江戸の横山町で、富士山麓に見立てて『三国一』『白雪』といった富士山にちなんだ名前で売リ出されたといいます。天保年間(1830~43年)頃には社寺の境内や縁日祭礼の盛り場などで、『アマ~イ、アマ~イ、甘酒イ、甘酒イ』と連呼されて売られ、浅草本願寺門前の甘酒店の物が最も人気が高かったようです」(北野さん)
初詣で甘酒が飲まれるようになった理由
初詣でふるまわれるように、甘酒が縁起のいい飲み物とされたのはなぜなのでしょうか。
「古来日本では、米は最高の霊力・穀霊を持つ食べ物とされ、神饌として捧げられてきました。その米を使った酒もお神酒(みき)として神饌に供されており、米からつくられる甘酒も同様に縁起の良い飲み物とされたのではないでしょうか。
「古来日本では、米は最高の霊力・穀霊を持つ食べ物とされ、神饌として捧げられてきました。その米を使った酒もお神酒(みき)として神饌に供されており、米からつくられる甘酒も同様に縁起の良い飲み物とされたのではないでしょうか。
祭事が終わった後に神饌を下げて、氏子や祭事の主宰者と参加者がそれらを酒食することを『直会(なおらい)』といい、神と人とが共飲共食する宴です。
かつては酒は神に捧げてから、皆で飲んで酔うことによって精神を解放して神と心を通わせ、神の加護を頂くことができるとしてきました。初詣の甘酒のふるまいは、この直会に通じるものがあるように思います」(北野さん)
かつては酒は神に捧げてから、皆で飲んで酔うことによって精神を解放して神と心を通わせ、神の加護を頂くことができるとしてきました。初詣の甘酒のふるまいは、この直会に通じるものがあるように思います」(北野さん)
初詣への行き来で冷えた体を温めてくれる甘酒は、祈願を終えて静まった心をいっそう“ほっこり”させてくれる存在です。改めて新年の幸運を願いながら、甘酒を味わってみてはいかがでしょうか。
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参考資料
『食の万葉集』(廣野卓/中公新書)、『酒の日本文化』(神崎宣武/角川書店)、『ものと人間の文化史 172・酒』(吉田元/法政大学出版局)、『酒 食品事典9』(河野友美/真珠書院)、『たべもの語源辞典』(清水桂一編/東京堂出版)、『たべもの起源事典』(清水桂一編/東京堂出版)、『江戸の食ごよみ』(永山久夫/廣済堂出版)
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