ホタルまとめ2025
西日本は出現遅く、冬〜春の気温が影響か

今季のホタルの出現や見頃は、地域によって異なる傾向が見られました。

【西日本・東海】
1月〜3月前半の厳しい寒さが影響し、ホタルの出現は平年よりやや遅めとなりました。特に昨年と比較すると、かなり遅い場所が多かったようです。見頃も全体的に遅れる傾向にありました。

【関東・北陸】
冬から春にかけての気温は概ね平年並みで推移。4月以降は気温が高めに経過しましたが、5月は雨が多かったため、出現チャンスは限られました。しかし、ホタルの出現・見頃ともに平年並みとなりました。

【北日本】
冬から春にかけて気温が平年並みか高めに推移した影響で、ホタルの出現は平年並みかやや早めの傾向でした。昨年と比べても同様かやや早く、見頃も平年よりやや早く訪れました。

近年、温暖化傾向により蛍の出現時期は早まる傾向にありましたが、今季は西日本や東海で平年より遅い出現となりました。その背景には、冬から春にかけての気候特性が大きく影響していると考えられます。

代表的な地点である広島市の状況を見ると、1月〜3月は寒暖の変動はあったものの、全体的に平年より低い気温の日が多く見られました。また、4月〜5月にかけてもほぼ平年並みの気温で推移したため、冬から春にかけての積算温度(ある期間の毎日の平均気温を合計した値)が伸び悩んだことが要因として挙げられます。

ホタルは幼虫が上陸してから成虫として羽化するまでの期間が積算温度に左右されるため、今年の気温傾向が羽化期間を長くし、結果として出現の遅れにつながったと推測されます。同様の傾向は西日本や東海各地で確認されています。

特に昨年は暖冬・暖春傾向だったため、今年の比較的寒い気候との差が大きかった九州や四国といった西日本エリアで、出現の遅れがより顕著に現れました。

一方、関東から北の地域では、冬に顕著な低温傾向がなく、春は暖かかったため、ホタルの出現は平年並みかやや早いところが多かったようです。
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今季のホタルが見頃開始となった時期の天気は、地域によって特徴的な共通点がありました。

【九州・四国】
5月17日(土)頃に見頃が始まった地域が多く、この日は日本海から南下した寒冷前線の影響でスッキリしない天気でも気温が高めとなりました。

【中国〜関東】
5月27日(火)から28日(水)にかけて見頃を迎えた地域が目立ちました。この時期は移動性高気圧が東海上へ移動し、西日本から東日本にかけて高気圧の後面に入ったことで、南風が吹き込み暖かくなりました。

いずれの地域でも、ホタルが見頃となった日は「暖かく、やや蒸し暑い曇り空」という共通の天気条件でした。これは、ホタルが活発に飛び交うのに適した、ジメジメとした穏やかな環境だったと言えます。

ホタルの飛び始めの時期は、卵から蛹(さなぎ)の姿である期間の気温に左右されます。平年より暖かい日が多いほど、飛び始めは早い傾向になります。

ホタルの出現は気象的な要因だけでなく、卵や幼虫が生育する川の環境の影響も受けます。川が増水すると卵や幼虫が流されてしまうことがあり、梅雨末期の大雨や台風などの影響を受けた地域では、来年の蛍の出現数が減少する可能性があります。

今後もホタルの光を楽しめるように、美しい自然を守っていきたいですね。
ほたる絶景写真館2025

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写真：ウェザーリポート（ウェザーニュースアプリからの投稿） Maru ni Sasarindouさん(高知県)