犬の熱中症や火傷に注意
夏の猛暑は、愛犬にとっては人以上の脅威かもしれません。愛犬の熱中症や火傷対策についてまとめました。
夏の猛暑は、愛犬にとっては人以上の脅威かもしれません。愛犬の熱中症や火傷対策についてまとめました。
犬が熱中症になる原因として、環境や犬の個体差が関係すると考えられています。
・直射日光が当たる状況
・高温、多湿、無風(空気の動きが無い)の状況
室内飼育でエアコンを使用していたとしても、熱中症になる可能性はあります。屋外飼育なら犬小屋に直射日光が当たるとか、コンクリートの上にある、なども危険な状況ですので注意が必要です。
・年齢が「1歳未満」または「7歳以上」
・短頭種(鼻が短い犬種)
・肥満、持病がある
・過去に熱中症になったことがある
これらに該当する場合は、より一層の注意が必要です。犬は人より老化の速度が速いので『去年大丈夫だったから、今年もこれくらいなら大丈夫』とタカをくくることはせずに、7歳以上なら警戒するようにしてください。
犬の熱中症を予防するには、普段過ごしている場所や散歩にも注意が必要です。
〜普段過ごす場所〜
・エアコンをかける
・直射日光が当たらないようにする
〜散歩〜
・真夏の散歩は日の出前か夜
・アスファルトを避ける
犬は人より路面に近いので、アスファルトの照り返しのダメージを受けやすいのです。アスファルトの温度が55℃だと、人の顔付近は30℃ぐらいでも、犬の高さでは40℃になっているというデータもあります。散歩は日の出前か夜にして、歩く場所もできるだけアスファルトを避けるのがおすすめです。
犬も人と同じで、熱中症予防には十分な水分補給が大事です。ただし、人は大量に汗をかくので、アルカリイオン水や塩分の入ったドリンクを飲むと良いのですが、犬は基本的に足裏からしか汗をかかないので水のみで十分です。
また、栄養をつけようと牛乳を与える人もいますが、これもNGです。犬によっては下痢をしてしまい、逆に水分やミネラルを排出して、一気に危険な状態になりかねません。水をたっぷり、いつでも好きなだけ飲めるようにすることがポイントです。水分は足りているか、熱中症にかかっていないかを犬の様子から観察してください。
もし、犬が熱中症になってしまった場合は以下のような症状が見られます。どのような状態になるのでしょうか。
1)体が普段より熱くなっている
2)ゼエゼエと苦しそうな呼吸をしている
3)大量のよだれが出てぐったりしている
4)けいれんを起こしている
5)意識を失っている
症状が軽ければ、涼しい場所で水を飲ませて水や保冷材で首筋や脇、肢の付け根を冷やします。落ち着いたら動物病院を受診しましょう。
ただ、4)5)のような重症の場合は命に関わるので、体全体を水で濡らして、動脈が通っている首筋や脇、肢の付け根を冷やしながらすぐ動物病院を受診してください。
人の顔付近の温度が約30℃の時、アスファルトの表面は50℃以上にまで温度が上昇することがあります。真夏のプールサイドなどで、足の裏が焼けるような暑さを経験したことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、ペットも肉球を火傷してしまうおそれがあるため、昼間の散歩は避けるのが安全です。
犬も人と同様、熱中症や火傷の危険にさらされていることを忘れずに、居住環境や散歩の時間などには十分注意してください。
獣医師 “わん活エバンジェリスト” 田邊弘子先生