森林は大気中の炭素を減らす?
森林の地球温暖化への役割とは、どのようなものか知っていますか? 注目されているのは、大気中の炭素を減らす働きです。
森林を構成する樹木は、太陽の光を浴びて光合成を行います。根から吸い上げた水分と葉から取り入れたCO2から栄養分をつくっています。これは空気中のCO2を吸収して炭素として貯蔵するという意味をもっています。
生きている樹木だけでなく、枯れた木や落葉、落枝、土壌などで、森林は大量の炭素を長期間貯めており、大気中のCO2の量を調整する機能をもっているといえます。
森林を構成する樹木は、太陽の光を浴びて光合成を行います。根から吸い上げた水分と葉から取り入れたCO2から栄養分をつくっています。これは空気中のCO2を吸収して炭素として貯蔵するという意味をもっています。
生きている樹木だけでなく、枯れた木や落葉、落枝、土壌などで、森林は大量の炭素を長期間貯めており、大気中のCO2の量を調整する機能をもっているといえます。

CO2は、地球温暖化の大きな原因とされる温室効果ガスの1つです。世界の大気中のCO2の濃度は、18世紀半ばの工業化以降増え続けており、地球温暖化に強い影響を与えているとされています。
森林にはCO2を吸収することで地球温暖化を抑える役割があるのです。
森林にはCO2を吸収することで地球温暖化を抑える役割があるのです。
森林によってCO2の吸収量は違う
一口に“森林”といっても、地域によって構成する樹木や状態は異なります。
樹木が吸収するCO2の量は1本1本異なり、同じ面積の森林であってもCO2の吸収量や蓄積量はそれぞれ異なります。
CO2の量は、下図のように純一次生産量(ある期間内に光合成で生産された葉や幹などの有機物量と同時期に枯死した有機物量を足し合わせて求める)で表すことができます。
樹木が吸収するCO2の量は1本1本異なり、同じ面積の森林であってもCO2の吸収量や蓄積量はそれぞれ異なります。
CO2の量は、下図のように純一次生産量(ある期間内に光合成で生産された葉や幹などの有機物量と同時期に枯死した有機物量を足し合わせて求める)で表すことができます。

例えば、ロシアの北方カラマツ林とインドネシアの熱帯降雨林では、値が大きく違います。純一次生産量は、大まかに高緯度で低く赤道近くでは高くなる傾向があります。
日本国内でも、北海道の針葉樹林と西日本の照葉樹林を比べた場合、照葉樹林の方が純一次生産量は高くなります。
また、同じ樹種であっても成長期の若い森林と成熟した森林でも異なります。一般的に成長して10年~20年くらいの木が最もCO2の吸収量が多く、樹齢が高くなるにつれて吸収する力が弱くなっていくとされています。
さらに、地域や立地環境などの要因によっても異なります。
日本国内でも、北海道の針葉樹林と西日本の照葉樹林を比べた場合、照葉樹林の方が純一次生産量は高くなります。
また、同じ樹種であっても成長期の若い森林と成熟した森林でも異なります。一般的に成長して10年~20年くらいの木が最もCO2の吸収量が多く、樹齢が高くなるにつれて吸収する力が弱くなっていくとされています。
さらに、地域や立地環境などの要因によっても異なります。
森林はどのぐらいの量のCO2を吸収している?
では、森林の効果はどれくらいになるのでしょうか。
森林の炭素吸収量は「炭素t/ha」、1年間に1ヘクタールの森林が吸収する炭素の重さで表されます。
日本の人工林に最も多く植えられているがスギです。適切に手入れされている36〜40年生のスギ人工林は、1ヘクタール当たり1年間に約8.8tのCO2を吸収すると推定されます。これは炭素量に換算すると約2.4tです。
1世帯から1年間に排出されるCO2の量は、2021年の推計で約3,700kgでした。36〜40年生のスギが1年間で吸収する量に換算した場合、420本分ということになります。
つまり、1世帯から1年間に排出されるCO2の量を吸収するのに必要なスギは420本ということになります。
森林の炭素吸収量は「炭素t/ha」、1年間に1ヘクタールの森林が吸収する炭素の重さで表されます。
日本の人工林に最も多く植えられているがスギです。適切に手入れされている36〜40年生のスギ人工林は、1ヘクタール当たり1年間に約8.8tのCO2を吸収すると推定されます。これは炭素量に換算すると約2.4tです。
1世帯から1年間に排出されるCO2の量は、2021年の推計で約3,700kgでした。36〜40年生のスギが1年間で吸収する量に換算した場合、420本分ということになります。
つまり、1世帯から1年間に排出されるCO2の量を吸収するのに必要なスギは420本ということになります。

なお、約3,700kgのCO2は同じく36~40年生のスギが貯めている炭素に換算すると約12本分となります。
世界の森林を守るために
森林は、温室ガスであるCO2の吸収という意味で地球温暖化に影響を与えますが、地球温暖化の影響を受ける存在でもあります。
植物の成長には気温や降水量が大きく関わります。気候変動により気温や雨の降り方などが変われば、それに適応できない種類の樹木は衰退してしまいます。
世界では毎年330万haもの森林が失われています。アジア、ヨーロッパでは植樹などにより森林面積が増加している国もありますが、減少が大きいのは南アメリカやアフリカなどです。
森林減少の原因は、農地への土地利用、違法伐採、燃料用木材の過剰な採取、土地の劣化や砂漠化などさまざまです。しかし、世界で森林が急速に失われているのは確かです。
日本に住む私たちも、住宅や紙、家具など様々な形で木材を使うことで世界の森林とつながっています。例えば、PEFC、FSC、SGECなどの認証マークのある製品を選ぶなど、違法伐採された木材や木材製品を使わないことは、世界の森林を守るのに役立つでしょう。
2025年は海外のみならず日本でも深刻な森林火災が起き、気候変動による温暖化の影響を考えるきっかけとなりました。地球温暖化の緩和のほか生物多様性の保全など重要な機能をもつ森林について、考える機会にしてみてはいかがでしょうか。
ウェザーニュースでは、気象情報会社の立場から地球温暖化対策に取り組むとともに、さまざまな情報をわかりやすく解説し、皆さんと一緒に地球の未来を考えていきます。
» 【気候変動特集】ウェザーニュースと考える地球の未来
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参考資料
林野庁「地球温暖化防止に向けて」、環境省「森林と生きる-世界の森林を守るため、いま、私たちにできること-」、独立行政法人森林総合研究所「地球温暖化と森をめぐる8つの質問」、同「1年当たりの森林の林木(幹・枝葉・根)による炭素吸収の平均的な量」
植物の成長には気温や降水量が大きく関わります。気候変動により気温や雨の降り方などが変われば、それに適応できない種類の樹木は衰退してしまいます。
世界では毎年330万haもの森林が失われています。アジア、ヨーロッパでは植樹などにより森林面積が増加している国もありますが、減少が大きいのは南アメリカやアフリカなどです。
森林減少の原因は、農地への土地利用、違法伐採、燃料用木材の過剰な採取、土地の劣化や砂漠化などさまざまです。しかし、世界で森林が急速に失われているのは確かです。
日本に住む私たちも、住宅や紙、家具など様々な形で木材を使うことで世界の森林とつながっています。例えば、PEFC、FSC、SGECなどの認証マークのある製品を選ぶなど、違法伐採された木材や木材製品を使わないことは、世界の森林を守るのに役立つでしょう。
2025年は海外のみならず日本でも深刻な森林火災が起き、気候変動による温暖化の影響を考えるきっかけとなりました。地球温暖化の緩和のほか生物多様性の保全など重要な機能をもつ森林について、考える機会にしてみてはいかがでしょうか。
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参考資料
林野庁「地球温暖化防止に向けて」、環境省「森林と生きる-世界の森林を守るため、いま、私たちにできること-」、独立行政法人森林総合研究所「地球温暖化と森をめぐる8つの質問」、同「1年当たりの森林の林木(幹・枝葉・根)による炭素吸収の平均的な量」