台風2号(マーワー) 伊豆諸島近海で温帯低気圧に変わる
2023/06/03 15:43 ウェザーニュース
6月3日(土)15時、台風2号(マーワー)は伊豆諸島近海で温帯低気圧に変わりました。
グアムや沖縄に直撃して大雨や暴風の被害を出したほか、間接的に日本列島の梅雨前線を刺激することで大雨被害をもたらしました。
▼温帯低気圧 6月3日(土)15時
中心位置 伊豆諸島近海
移動 東北東 55 km/h
中心気圧 988 hPa
最大風速 23 m/s
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台風の雲の渦はかなり崩れる
台風を取り巻く雲の渦は形がかなり崩れてきました。台風の中心よりも北西側には活発な雲はほとんどなく、沖縄本島地方や奄美地方の雨はピークを越えています。一方、台風の中心よりも南東側には発達した雲があり、沖縄県の大東島地方では今日いっぱい雨や風が強まる見通しです。
雨や風のピークを過ぎても、海は引き続き猛烈なしけとなっているため、高波に警戒し海岸には近づかないようにしてください。
週末以降は速度の誤差拡大
この図の1つ1つの丸は世界各国の気象機関が計算した進路のシミュレーション結果をあらわします。アンサンブル予報という手法の過程で得られるもの(メンバー)で、想定される進路にはかなりの幅があるということをイメージするために掲載しています。
紫色で示した6月1日(木)までは、丸のばらつきが比較的小さく、進路の確実性が高いと考えられます。ただ、黄色で示した2日(金)になると北東方向へのばらつきが現れ、水色で示した3日(土)はそれがさらに拡大する状況です。
4日(日)以降の予報円が大きくなっているのは、主に速度の違いを表していると考えられます。引き続き最新の台風情報をご確認ください。
雨が止んでも傾斜地や川は危険
3日(土)15時時点の土砂災害危険度
昨日2日(金)は西日本から東日本付近に停滞していた梅雨前線に向かって台風周辺の湿った空気が流れ込み、近畿南部や東海を中心に記録的な大雨となりました。今日は前線が関東南岸まで南下しており、西から天気が回復しています。
降り続いた雨により、大和川や豊川など大規模な河川の増水が相次ぎました。雨がやんだ後も川の水位はすぐには下がりませんので、しばらくは様子を見に行かないでください。
また、雨量がかさんだことで地盤も緩んで、土砂災害も発生しやすくなっています。土砂災害警戒区域等に指定された傾斜地など、危険な場所には引き続き近寄らないようにしてください。
また、日本の沿岸では明日4日(日)にかけて波の高い状況が続くため、うねりを伴った高波に注意してください。
予報円の大きさは「強さ」や「大きさ」とは関係ない
今回の台風では進路図に破線の円で示された「予報円」が大変大きいことが特徴です。5日先にかけて、気象庁の台風予報の中では5段階の最大の大きさ(Cランク)となっています。
この予報円の大きさは、台風の強さや大きさを示しているのではなく、進路の不確実さの度合いを表しています。
気象庁の現在の定義では、予報円は台風の中心が70%の確率で入ると予想される範囲を示していますので、この円が小さいと予報の信頼度が高い、この円が大きいと予報の信頼度が低いと読み取ることが出来ます。
台風情報を正確に理解して、適切な防災行動・避難行動をとれるようにしましょう。
台風の暴風域に入る確率
120時間以内に台風の暴風域に入る確率は以下の通りです。(気象庁)
鹿児島県(奄美地方除く 3 %
種子島・屋久島地方 3 %
奄美地方 89 %
沖縄本島地方 99 %
本島北部・中南部 99 %
慶良間・粟国諸島 98 %
久米島 92 %
大東島地方 52 %
宮古島地方 100 %
八重山地方 48 %
石垣島地方 48 %
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台風の発生が増え始める時期
今年は4月に台風1号が発生していて、台風の発生はおよそ1か月ぶりとなりました。
5月の台風発生数の平年値は1.0個で、12月と同じくらいの水準です。発生数ピークの8月に向けて台風の発生が増え始める時期ですので、早めに台風対策を整えておくと良さそうです。
台風の名前
台風の名前は、国際機関「台風委員会」の加盟国などが提案した名称があらかじめ140個用意されていて、発生順につけられます。
台風2号の名前「マーワー(Mawar)」はマレーシアが提案した名称で、マレー語の「ばら」を意味する語からとられています。
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この図の細い線1本1本は世界各国の気象機関が計算した進路のシミュレーション結果をあらわします。アンサンブル予報という手法の過程で得られるもの(メンバー)で、想定される進路にはかなりの幅があるということをイメージするために掲載しています。
これらのメンバーを比較すると、沖縄付近で北東に進路を変えて、日本の南の海上を進むコースで比較的揃っています。ただ、日本の沿岸に近いところを通るのか、日本から離れた南の海上を進むのかという違いはみられます。
また、速度に関しては大きな差があり、早いものと遅いものでは、日本の南を通過するタイミングが数日程度違う状況です。速度の違いにより沖縄での影響期間や、本州付近で雨が強まるタイミングが変わってきますので、引き続き最新の情報をこまめにご確認ください。
写真:ウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿)