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集中豪雨をもたらす線状降水帯とは?

2020/07/06 15:08 ウェザーニュース

九州南部では、線状降水帯により大規模な大雨災害が発生してしまいました。

ここ数年、大雨や集中豪雨により大規模な水害が発生した際、その要因として「線状降水帯」という言葉が聞かれるようになりました。

では、具体的にはどのようなものなのでしょうか? その発生メカニズムを解説します。

経験したことのない大雨になる

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2017年7月5日 河川氾濫の様子

線状に見える雨雲には、動きの速いものと停滞するものがあります。そのうち、同じ場所に停滞するものは大きな災害に結びつく集中豪雨を発生させ、線状降水帯と呼ばれることがあります。

線状降水帯は、激しい雨を降らせる積乱雲が連続して発生し線状に並び、その規模は幅20〜50km、長さ50〜200kmに及びます。

線状降水帯は、ときには同じ場所で激しい雨を3時間以上も降らせ続けることがあり、まさにその場所に居る人にとっては経験したことのない大雨となります。

線状降水帯を作る要因

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停滞性の線状降水帯の発生要因のひとつにバックビルディング現象があります。次のような流れで線状降水帯を作り出します。

1.最初に風の収束や地形効果などによって積乱雲が発生。激しい雨を降らせながら上空の風に流されてゆっくりと移動する。

2.風上側のこの積乱雲が発生した場所で新たに積乱雲が発生し、またゆっくりと風下へ移動する。

3.また同じ場所で積乱雲が発生し、発達した積乱雲が流され、また同じ場所で積乱雲が発生する…、というこの流れを繰り返す

このようにして、組織化された線状降水帯が作り出されます。

 ・積乱雲を発達させる水蒸気の供給や上昇気流を引き起こす要因の解消
 ・積乱雲を移動させる上空の風の流れの変化

どちらかがない限り、線状降水帯による激しい雨が続いてしまうことになります。

知って備える言葉の意味

メディアなどを通じて頻繁に使われるようになった「線状降水帯」。その発生要因は少し複雑で、メカニズムそのものを理解するには少し時間がかかるかもしれません。

ただ、この言葉は“大きな災害を引き起こすおそれがあるもの”として理解しておけば、メディアなどを通じてこの言葉を耳にした時に、備えに結びつけることができるのではないでしょうか。
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