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【インタビュー】実はゲリラではない!

「雲の見方」を雲研究者に聞いてみた。 Vol.2

2017/11/09 11:21 ウェザーニュース

いつも空にあり、さまざまな表情で私たちを魅了する雲。一方で、豪雨や大雪、竜巻といった災害をもたらすことも。

そんな「雲」の研究を続けている荒木健太郎さんにお話を伺い、知られざる雲の科学と謎に迫りました!(全4回)

雲の研究者って?
・実はゲリラではない!(本記事)
秋から冬の「危険な雲」
そもそも雲とは何?

ゲリラ的な気象の変化は、実はゲリラではない!

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ウェザーニュースの雨雲レーダー

雲を見て空を予測する「雲ヨミ」について教えてください

雲を眺めただけでは正確な気象予測は立てられません。雲を見て「いつもと違うな」という変化があれば、一般に公開されているレーダーなどの気象観測情報を確認することです。

たとえば、いつもと違う怪しい雲を見かけたら、雨雲レーダーで、どこに発達した積乱雲があるのか、それがどう動いているのかを調べます。

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実際の雲をヒントに、危険な気象の前兆を察知することが可能になるのですね?

「ゲリラ豪雨」という言葉は、1970年代に使われはじめたと言われています。レーダーや地上での観測網が発達していない時代、ゲリラ豪雨という言葉は「観測そのものが難しい豪雨」という意味で使われていました。

時代が変わり、レーダー等による観測網が発達した現代では、「局地的に突然発生する、予測の難しい豪雨」という意味合いに変わってきました。

中には発生前予測の難しい局地的大雨もあるのですが、空を見て雲の変化に気づき、気象観測情報をチェックして局地的大雨がやってくることを予め知っていれば、避難ができます。来るのがわかれば、それはもう「ゲリラ」ではなくなるのです。

裏を返せば、どんなに気象情報が高度化して迅速に正確なデータが出せたとしても、それをうまく使いこなすことができなければ、価値のないものになってしまうとも言えます。

だからこそ、もっと雲のことを知り、実際に雲を見ることで変化に気づくこと、そしてレーダーで情報を確認すること。そうやって雲と上手に付き合っていくことができれば、予測できる災害の危険から逃れることも十分、可能だと言えるでしょう。

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荒木健太郎(あらき けんたろう)

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1984年生まれ。気象庁気象研究所予報研究部研究官。雲研究者。2008年、気象大学校を卒業後、地方気象台で予報、観測業務に従事した後、現職に至る。専門は竜巻や局地豪雨、豪雪などの顕著な大気現象とそれらの原因となる雲の物理学。雲の実験、観測、予測の研究を進め、防災、減災に貢献することを目指す。

参考資料など

月刊SORA 11月号
https://weathernews.jp/soramagazine/201711/08/
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