目が痒いのは花粉症?ドライアイ?
花粉シーズン中に花粉症ではないと思っている人でも、目の痒みなどに苦しむことがあります。それは、実はドライアイが原因かもしれません。
横浜市立大学眼科学教室主任教授の水木信久先生にお話を伺いました。
花粉シーズン中に花粉症ではないと思っている人でも、目の痒みなどに苦しむことがあります。それは、実はドライアイが原因かもしれません。
横浜市立大学眼科学教室主任教授の水木信久先生にお話を伺いました。
まず、花粉症で目が痒くなるのはなぜでしょうか。
「花粉などの異物が体内に入るとアレルギー反応を起こすことがあります。つまり花粉症とは、花粉に対する過剰な免疫反応のことなのです。異物が目に入ると、免疫系の細胞が刺激されてヒスタミンという科学物質を放出します。このヒスタミンが目の知覚神経を刺激して痒みや充血を引き起こすのです」(水木先生)
一方で、水木先生は「ドライアイで花粉症の症状がひどくなることもある」と言います。
「ドライアイ患者は日本に2000万人以上いると推定されています。ドライアイだと涙が少なかったり、すぐに蒸発してしまったりします。そのため花粉が涙で流されずに目にとどまってしまい、症状がひどくなるのです。痒みのメカニズムは花粉症と同じです」(水木先生)
ドライアイだと、花粉症ではない人でも、花粉の影響をより強く受けてしまうということになります。では、春に感じる目の痒みが花粉症なのか、ドライアイなのかを見分ける方法はあるのでしょうか。
「花粉症とドライアイに共通するのは、目が痒くなる、重くなる、充血する、涙が出るといった症状です。一方、花粉症は目だけの病気ではありません。鼻炎の症状が強ければ、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどが起きるので、区別できます。
また、ドライアイに特徴的なのは目の乾きだけでなく、目のゴロゴロ感(異物感)、目の痛み、まぶしさ、目の疲れ、不快感などが挙げられます。しかし、花粉症とドライアイはほとんど同じ症状な上に、両方を併発していることも多いため、厳密な区別は難しいかもしれません。
花粉症かドライアイかによって治療法が変わるため、眼科を受診して適切な治療をしてもらうのが良いでしょう。ドライアイであればヒアルロン製剤点眼薬や人工涙液点眼薬などを適宜使用することになりますが、花粉症の場合は抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬の点眼や点鼻、内服などを、症状に応じて投与することになります」(水木先生)
日々の生活の中で、目の痒みを抑えるためにどんなことに気を付ければ良いのでしょうか。水木先生が花粉症対策とドライアイ対策をそれぞれ教えてくれました。
▼外出時にはできるだけ花粉を体に入れないようにする
本当は花粉の飛散が多い日は外出を避けたいところですが、そうもいかない場合は、体に花粉が付着しないようにマスクやメガネを着用するなどをして、肌の露出を少なくし、衣類の素材をすべすべなものにしたりしましょう。
▼帰宅時などに屋内に花粉を持ち込まないようにする
玄関で洋服ブラシなどを使えば、室内に花粉が入るのを軽減できます。
▼手洗い、洗顔、洗眼
帰宅時に手洗い、洗顔をし、手や顔に着いた花粉を落としましょう。目に入った花粉は、防腐剤無添加の市販の洗眼薬や人工涙液点眼薬などで洗い流して、洗眼までできると良いです。ただし、商品選びの際、目の周りの皮膚と目の中を同時に洗うようなタイプは避けたほうが良いです。
▼コンタクトレンズは1日使い捨てタイプにするかメガネにする
コンタクトレンズ(特にソフトコンタクトレンズ)は花粉が吸着しやすいので、この時季は1日使い捨てタイプにするか、コンタクトレンズを使わずにメガネで対応すると良いでしょう。
▼画面を見すぎないようにする
パソコン、携帯などは長時間使用せず、必要な場合でも随時休みながらにするべきです。また、瞬きもするように心がけましょう
▼室内の加湿を心がける
オフィスや家庭でエアコンを長時間使用せず、加湿器を使いましょう。最低限、エアコンの風が直接目にあたらないように注意してください。目を乾燥させないことが重要です。
花粉症とドライアイは症状が似ていますが、治療法は異なるため注意が必要です。目の痒みが改善しないようなら眼科に行って、適切な治療を受けるようにしてください。