花粉症は「モーニングアタック」に注意 朝に症状がつらくなる理由は

春になると徐々に暖かい日が増え、花粉症で悩む人も多くなります。つらい時間帯を尋ねると、なぜか「朝方」という答えが少なくありません。

花粉症の症状は、なぜ朝方に強く出るのでしょうか? せたがや内科・神経内科クリニック(東京都世田谷区)の久手堅司院長に伺いました。

朝の時間帯にも症状のピーク!?

ウェザーニュースが以前に会員向けに行ったアンケート(花粉症の方のみ対象)で、「花粉症がつらい時間帯はいつですか?」という質問をしたところ、一番多かったのが14時頃、2番目に多かったのは朝7時頃でした。(2023年3月4~5日実施、参加者:5,079人)

このように朝の時間帯など、外出前にもまだ花粉と出会わない起き立ての時間帯に起こる花粉症を、「モーニングアタック」と呼びます。

症状としては、鼻水、鼻詰まり、くしゃみ、目のかゆみ、頭がボーッとしてしまうことなど。こうした症状がなぜ、朝方に起こるのでしょうか。久手堅先生に解説していただきましょう。

「モーニングアタック」が起こる理由

「モーニングアタックを引き起こす理由は、いくつかあります」と久手堅先生は語ります。

「まず、花粉は重いので、室内に飛散しているものがやがて床の上へ落ちてきます。寝ながらそれを吸い込んでしまうのが理由の一番目。

起床する際、ふとんの上に積もったハウスダストが舞い上がります。それをまとめて吸い込んでしまうのが理由の二番目。

朝の鼻水の中に炎症を誘導する物質があり、それがアレルギー反応を引き起こすのが理由の三番目。

寝ているときの自律神経は、副交感神経優位になっていますが、目覚めると交感神経優位に切り替わります。そのタイミングで鼻が刺激過敏に陥るのが理由の四番目。

このように四種類ほど考えられる理由の中で、四番目を最大の原因とする説が現在、研究者間で主流を占めているようです」(久手堅先生)

自律神経の切り替えは一年を通して毎朝行われますが、花粉が飛び始める時期は特別に「モーニングアタック」が起こりやすくなる、ということになります。

少しでも症状を軽くするための対策

では、どのような人が「モーニングアタック」を受けやすく、どうすればそれを防げるのでしょうか。

「もともとアレルギーのある人、具体的には花粉症の人がモーニングアタックを受けやすい人です。対策としては、次のような一般的な花粉症対策と変わりません」(久手堅先生)

  1. 夜寝る前にマスクをつけて花粉を吸い込まない。マスクは安眠の妨げになるのでできない人もいるが、実際に実行して効果をあげている人もいる。
  2. 空気清浄機を使って、花粉を含むハウスダスト対策を行う。
  3. 湿度が下がると花粉症が出やすくなるので、加湿器を使って室内の湿度を保つ。
  4. 花粉症の薬を使って、医師の指導で治療する。

モーニングアタックだけの治療法はないので、どれも一般的な花粉症対策です。朝方が特につらくなる人は寝る前にこうした対策を忘れないようにしましょう。

また、かかりつけ医に相談して、夜飲むタイプ(朝方に効果のピークがくるタイプ)の薬に替えてもらってもいいでしょう」(久手堅先生)