花粉症対策に加湿!?カギは鼻粘膜にあり
「花粉症対策として有効な方法の一つが、鼻の粘膜を守ること」と語るのは日本医科大学耳鼻咽喉科学教授の三輪正人先生。
どんなメカニズムが働いているのでしょうか?
「花粉症対策として有効な方法の一つが、鼻の粘膜を守ること」と語るのは日本医科大学耳鼻咽喉科学教授の三輪正人先生。
どんなメカニズムが働いているのでしょうか?
花粉症は、鼻から吸い込んだ花粉が鼻腔内に付着し、アレルゲン(抗原)であるたんぱく成分が粘膜内に侵入すると、体内の免疫機能の一部であるマクロファージがそれを“侵入者”として認識します。再びアレルゲンが侵入すると、マクロファージが反応してヒスタミンなどのアレルギー誘発物質が放出され、くしゃみや目のかゆみなどのアレルギー反応が起きてしまうのです。
鼻などの上気道には、花粉やほこり、細菌などの異物の侵入を防ぐ仕組みがあります。鼻粘膜には繊毛(せんもう)という細かい毛がびっしり生えており、その上を鼻腺から分泌された粘液が1分間に1cmの速さで流れ、花粉などの異物は、粘液層でキャッチされて運ばれ、痰として体外に出されたり、胃の中へ流れるのです。
鼻粘膜そのものにもバリア機能が備わっていますが、乾燥によりバリア機能が低下します。
三輪先生が行った実験では、相対湿度10%の環境で、2時間後に鼻粘膜上皮バリア機能は低下しましたが、表皮のバリア機能は保たれていました。すなわち、表皮よりも、鼻粘膜の方が乾燥の影響を受けやすいのです。
では、花粉症対策にはどうしたらよいのでしょうか。
「加湿が基本です。お肌にとって保湿が基本であるように、鼻粘膜のバリア機能を高めることができます」(三輪先生)
花粉症の侵入をブロックするためにマスクという人も多いでしょうが、乾燥対策としての効果もあるのです。
「マスクは、保湿効果の意味もあります。鼻腔内の湿度を保つことは、花粉症予防としても、症状が出てからの対策としても有効です」(三輪先生)
ただ、就寝時などマスクを長時間着用し続けると、息苦しくなることもあります。「鼻は、構造上呼吸をするときに空気への抵抗が大きいのです。マスクを着用するとさらに抵抗が大きくなるので、肺の隅々まで新しい空気が行き渡らなくなるおそれもあります」(三輪先生)
加湿器などを活用して、室内が乾燥し過ぎないようにしてもいいでしょう。
ただし、「湿度が高くなりすぎても、今度はカビなどの問題もあり、また良くありません」(三輪先生)
一般的に、湿度は40〜70%がよいとされています。