阿蘇山|火山情報
2023/02/03 16:04 ウェザーニュース
火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)が継続。 中岳第一火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。
阿蘇市からの最新映像WITHレーダーとは>>
地象センターの見解
WITHレーダーで噴煙検知
ウェザーニューズ気象レーダー(WITHレーダー)による観測画像
ウェザーニューズが独自に設置している気象レーダー(WITHレーダー)では、2021年10月20日、阿蘇山方面で噴煙とみられるエコーを捉えることができました。このレーダーによると、噴煙高度は約5000m近くまで上がったことがわかりました。
気象庁の火山解説
火山活動の状況
阿蘇山では、火山性微動の振幅はやや大きな状態で推移しています。1日から2日にかけて火山性微動の振幅が一時的に大きな状態となり、中岳西山腹観測点南北動成分の1分間平均振幅で時々2.5マイクロメートル毎秒を超えました。
中岳第一火口の噴煙の状況に特段の変化はなく、白色の噴煙が最高で火口縁上500mまで上がりました。
傾斜計には、火山活動に伴う特段の変化はみられていません。
GNSS連続観測では、2022年9月頃から広域の基線でみられていた縮みの傾向は、10月頃から停滞しています。
火山活動が高まっていますので、中岳第一火口から概ね1kmの範囲に影響を及ぼす噴火の可能性があります。
防災上の警戒事項等
中岳第一火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。
風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るおそれがあるため注意してください。また、火山ガスに注意してください。
地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。
2016年10月8日の噴火
WITHレーダーによる噴煙検知(左:上空から 右:横から)
阿蘇市に設置しているWITHレーダーでは、10月07日21時52分頃の噴火の際は、山肌のレーダーの反射は見られるものの、山頂付近にはしっかりとした噴煙が立ち上がる様子は写っていませんでした。しかし、日付変わって10月8日01時46分の爆発的噴火では、1時46分頃から噴煙が立ち上りはじめ、1時58分頃に山頂の直上で最高高度海抜約8000mに達したことが確認でき、噴煙は10000m以上の高さに上昇しながら、東北東、大分方面に流れた様子が映っていました。
火山灰拡散シミュレーション(8日当時の予測)
上空の火山灰の流れ方
8日01時46分の爆発的噴火によって噴出した火山灰は、山頂直上は南西風の影響を受け、阿蘇市内から大分方面、上空高く巻き上がった火山灰は西風の影響を受けて、四国上空を通過、関東の上空を通過する予想です。
ひまわり8号による実況解析
ひまわり8号の近赤外差分画像(8日15時30分)
阿蘇山から噴出した火山灰は阿蘇市内から大分県を通過し、高知県、そして太平洋へ。全体的に北東ー南西に広がりながら、静岡下田や千葉館山付近をかすめて、東に移動していきました。9日(日)朝5時30分頃、関東の南東500km以上はるか沖で、ひまわり8号の衛星画像からは見えなくなりました。
各地からの降灰報告
ウェザーニュース会員からの降灰報告(2016年10月8日14時時点)
ウェザーニュースでは、スマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」の会員を対象に、阿蘇山の噴火による降灰の有無をお聞きしています。
5時半の時点での報告を見てみると(上の画像)、阿蘇山周辺から「灰たっぷり」、大分市や別府市からは「灰うっすら」の報告をいただいています。
また、熊本の方からは
「火口から東北に10キロ付近の阿蘇市です。雹が家に当たるような音で目が覚め、外を見たら砂利混じりの降灰でした。一時停電していましたが、今は復旧しています。」とコメントも届いています。