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桜の健康診断結果 悪化傾向でも昨年よりはわずかに改善

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2024/06/12 16:26 ウェザーニュース

ウェザーニュースでは毎年、美しい姿で私たちを楽しませてくれる桜を見守り、桜を大切にする気持ちを広く育むことを目的として「桜の健康診断」を実施しています。

桜の健康診断では、ウェザーニュースアプリのユーザーに、6つの調査項目に回答してもらいました。その結果から健康度を指数化し「優良(+)」から「生育不良(-)」の12段階で判定しています。調査の結果、桜の健康度は年々悪化傾向ではありますが、2024年は2023年に比べて0.01ポイント上昇しました。
◆「桜の健康診断」の概要
・エリア:46都道府県(沖縄除く)
・調査期間:2/15~5/31
・参加人数:3,832人
・質問項目:6つ(「日当たり」、「樹形」、「花の咲き方」、「幹の状態」、「樹皮の状態」、「花数」)

都道府県ごとの桜の健康度の平均値

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桜の健康度
2013年からの全国平均の桜の健康度は、悪化傾向になっています。2013 年から2021 年にかけて「優良」ランクでしたが、2022 年から2024年にかけて3年連続で「正常」のランクとなりました。

年々悪化傾向ではありますが、2024年は2023年より0.01ポイント改善しました。

桜の健康度を昨年と比較してみると、「優良(+)」が昨年より1ポイント増加し、その分「正常(+)」が1ポイント減少しました。

都道府県ごとの桜の健康度の平均値

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※報告が一定数に満たないエリアは灰色で表示しています。

都道府県ごとに健康度を12段階評価の平均値でみると、2023年と2022年は「優良」ランクの都道府県がありませんでしたが、2024年は鳥取県で「優良」ランクになりました。「優良(–)」の都道府県は1地点減少し、香川県と長野県は「正常」ランクでした。

1.「日当たり」に注目

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日あたりについて、「一日中よくあたる」「半日以上あたる」「半日もあたらない」「ほとんどあたらない」の4項目から選択してもらいました。


集計の結果、最も割合の高かった「一日中よくあたる」の割合は、2024年より1ポイント増えて60%でした。一方で、「ほとんどあたらない」の割合が年々増加傾向になっています。

2.「樹形」に注目

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樹形(樹の立ち姿)について、「自然樹形を保っている」「自然樹形に近い」「樹形が崩れてきている」「自然樹形がほとんど崩れている」の4項目から選択してもらいました。

2013 年からの長い目で見ると「自然樹形を保っている」の割合は減少傾向、「樹形が崩れてきている」の割合が増加傾向となっています。

3.「花の咲き方」に注目

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花の咲き方について、「木全体にまんべんなく花が咲いている」「所々咲いていない枝がある」「特に上部に咲いていない」の3項目から選択してもらいました。

「木全体にまんべんなく花が咲いている」 という回答の割合が、昨年より少し増加している一方で「特に上部に咲いていない枝が目立つ」の回答が2013 年以来一番多くなりました。

4.「幹の状態」に注目

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幹の状態について、「穴や切られたアト、窪みは無い」「穴や切られたアト、窪みなどが少しある」「穴や切られたアト、窪みなどがかなり目立ち、もしくはキノコが生えている」「大きく切られたり、もしくはキノコが生えている」の4項目から選択してもらいました。

集計の結果、穴や切られたアト、窪み、キノコなどがある不健康な状態の回答が9年続けて5割を超えています。

健康そうに見える幹でも、キノコが生えているものは中が腐っている可能性があり、専門家による診断が必要になります。

5.「樹皮の状態」に注目

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樹皮の状態について、「生き生きしていて光沢がある/盛り上がるような部分があり、縦に割れている」「傷などほとんどない」「苔などが残っていたり、樹皮がはがれてカサカサしている」「苔に覆われた部分が多い。または、樹皮の損傷が激しい」の4項目から選択してもらいました。

集計の結果、樹皮の状態は2022年から大きな変化は見られていません。

苔はあまり害にならないといわれますが、樹皮がはがれてカサカサしていたり損傷が激しい場合、土の中の通気性が悪く、桜の生長が止まっている可能性があります。

6.「花数」に注目

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一つのつぼみについている花の数について、「5個以上」「3~4個」「2個」「1個」の4項目から選択してもらいました。

集計の結果、「1個」の割合が2013年から年々増加し、過去最多を記録しました。花数が段々と減っている可能性があり、健康状態の悪い桜が増えているのかもしれません。

樹木医 和田博幸さんは結果をどうみる

最近、2023年の北半球の夏は、過去2000年で最も暑い夏と報道があり、そのとおり昨年の夏は暑さが特徴的でした。天候も梅雨時に雨がほとんど降らなかったり、11月に真夏日を観測するところがあったりなど、異常気象が記憶に残っています。

人は「暑い、暑い」と言っている中でも桜はけなげに生育し、夏の時期に翌春咲かせる花芽を作ってくれていました。しかもその数がわずかに上向いているとは、驚きが隠せません。私たちよりも異常気象に順応したかのようです。

しかし、全般的には悪化傾向にあり、安閑としてはいられません。注目したいのは花の咲き方で、「特に上部に咲いていない枝が目立つ」の回答が2013 年以来一番多くなりました。桜のてっぺんの方まで根からの水が行き届いていないことが原因と思われます。個人的に見てもその傾向を感じていて、都市にある桜ほどその状況が見られました。乾燥化が桜に悪影響を及ぼしているように思います。

皆さんもこの点に注目して、これからも桜の観察を続けてください。
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