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綿よりも10倍付着しやすい素材とは? 花粉シーズンでの服装の注意点

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2024/02/27 05:05 ウェザーニュース

花粉の飛散が本格化しつつあるこの時季、予防薬の摂取や空気清浄機の使用などをすでに始めている方も多いと思います。

花粉症の対策としては「花粉を屋内に持ち込まないこと」を意識して、衣類に付着した花粉を玄関先などではたき落としてから家に入ることは必須とされますが、さらに「外出時は花粉が付着しにくい服装を選ぶ」ことも重要な対策のひとつといえるでしょう。

花粉シーズンにおける服装の注意点や、効果的な花粉の落とし方などについてまとめてみました。

綿の10倍付着しやすい素材とは?

花粉シーズンに外出時の服装選びの際、特に意識しておきたいのは着用する衣類の素材です。素材によって花粉が付着する程度は大きく異なります。

たとえば綿に付着する花粉の量を100とした場合、絹の比率は150、化繊は180ですが、ウールは980と、実に綿の10倍近い量の花粉が付着してしまうという研究報告があります。
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また、「日中屋外に4時間放置した時の各種繊維に付着したスギ花粉数を見ると、繊維の種類や織り方によって、花粉の付着量が大きく異なる」という報告もあります。

それによると、同じウールでもコートに付着する花粉の数はスーツの約3倍、1平方センチメートルあたり1.7個に達しています。これに対して、花粉対策を施した素材のコートは婦人用で1.0個、紳士用だと0.1個程度と、非常に少なくなっています。
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花粉が飛び始めたとはいえ、この時季はまだまだ寒い日が多く、どうしても厚手のウール製品に手が伸びてしまいがちですが、特に重ね着のいちばん外側にウール素材のコート類を着用するのは控えたほうがいいでしょう。

静電気も衣類に花粉を多く付着させる原因のひとつです。外出前に衣類全体へ静電気防止スプレーを適量吹き付けておくことも、花粉の付着を抑えるために有効です。

また、人間の体で花粉が付着しやすい部位は、露出している頭や顔、手などです。頭と顔はつばの広い帽子をかぶることで、手は手袋を使うことで花粉の付着量を減らせます。外出時は帽子と手袋を着用するように心がけてください。

コートやブルゾン、帽子などは花粉付着抑制素材を使ったものが多数市販されていますので、それらを活用してみてもいいでしょう。

衣類だけでなく髪からも落とし、手洗いと同時に洗顔も

冒頭でも述べましたが、家に入る前に屋外で衣類や体に付着した花粉を落とすことも花粉症の予防には大切です。

コートやスラックスの裾、帽子やマフラーなどはもちろんですが、フードの中は案外見落としがちですので、奥まで花粉を落とすようにしましょう。100円ショップなどで販売されている「衣類用粘着ローラー」をかけるのも効果的です。

静電気が発生しやすく花粉の付着しやすい箇所として、男性はふくらはぎ、女性はおへそまわりや鞄と体がこすれる部分などといわれています。

髪の毛にも花粉が付着していますので、念入りに落としてください。そのほか身に付ける小物類も、静電気発生を抑えてくれる柔軟剤を使って、定期的に洗うようにしてください。

花粉を払い落として帰宅したら、必ずうがいをしましょう。うがいには、のどの花粉を除去する効果があります。

さらに、手洗いと洗顔を丁寧に行って、手や顔に付着した花粉を落としましょう。手洗いと洗顔は外出時以外でも、日常的に行う習慣をつけておくといいでしょう。頭髪にも花粉が付着するので、毎日シャンプーをするのも効果的です。

目に入った花粉は市販の防腐剤無添加の洗眼薬や、人工涙液点眼薬などで洗い流します。

ただし、目の周りの皮膚と目を同時に洗うタイプは避けてください。水道水で洗うと粘膜を傷めることがありますので、目薬がない場合は少し冷やした生理食塩水で洗ってください。

本格的な花粉シーズンの到来は間もなくです。適切な服装選びも含め、いまのうちから予防対策を進めておきましょう。

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参考資料
環境省「花粉症環境保険マニュアル 2022」