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年間を通して予報精度は高水準 2023年ウェザーニュース天気予報精度

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2024/05/21 13:35 ウェザーニュース

ウェザーニュースでは天気予報の精度に徹底的にこだわり、毎日の予報に対して評価と改善を繰り返して、精度向上に取り組んでいます。

2023年1月から12月にかけての一年間の天気予報精度について検証を行いました。

【降水捕捉率】年間を通して高水準 気象庁より高精度

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予報の評価は毎朝5時に発表した今日の天気予報を対象に【降水捕捉率】と【適中率】の2つの方法で行なっています。

降水捕捉率とは、実際に雨が降った日に、雨が降るという予報を出していた割合のことです。
ウェザーニュースの2023年の一年間を通じた降水捕捉率は、88%となりました。

気象庁がホームページ上で発表している結果と比較すると、1月から12月のすべての月でウェザーニュースが上回る結果となりました。ゲリラ雷雨(ゲリラ豪雨)など突発的・局地的な雨が増えるため他の期間と比べると精度が落ちやすい夏の期間において、特にその差が顕著となっています。

ゲリラ雷雨を予測する上で、ユーザーの皆さんから送っていただく現地からの情報は非常に重要です。この取り組みにより、ウェザーニュースでは夏の予報精度の悪化を軽減することができています。
» <関連記事>7〜9月の精度向上を支えたゲリラ雷雨予測

【適中率】偏りは小さく、トータルで精度の高い予報

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適中率とは、予報全体のうち、雨の予報で雨が降った割合と、雨が降らない予報で雨の降らなかった割合とを足したものです。つまり、雨の降った所と雨の降らなかった所を合わせた精度となります。
ウェザーニュースの2023年の一年間を通じた適中率は、88%となりました。

結果を月別に見てみると、すべての月で80%から90%あまりと、気象庁とほぼ同等またはそれ以上となっていました。

以上の結果から、2023年は降水捕捉率、適中率の両方において高水準を保つことができ、トータルでみると気象庁よりも精度の高い予報であったと言えそうです。

(※)降水捕捉率・適中率ともに、気象庁の評価方法に準拠しています。対象地点は発表官署の所在している一次細分区域内のアメダスで、降水量が1.0mm以上(雪の場合は0.5mm以上)となった場合を「降水あり」として評価。なお、2023年10月13日に気象庁HPの内容変更に伴い、評価基準も更新しました。

高精度を支える3つのポイント

ウェザーニュースが高い精度で予報を発表できるのには、いくつかの理由があります。

まず1つ目は、日本最大の気象観測網を持っている点です。ウェザーニュースは、独自観測機や気象庁が設置している約1,300か所のアメダスなども合わせて、全国に約1.3万か所の気象観測網を備えています。また、ウェザーニュースのユーザーの皆さんからは現地の空や天気の報告(ウェザーリポート)がリアルタイムに届きます。
予報センターでは、気象観測データに加えてユーザーから届くウェザーリポートをリアルタイムで確認し天気の実況把握を行います。より正確で詳細な情報をベースに天気予報を作ることが、精度向上につながります。

2つ目は、世界各国の気象予測モデルを独自に最適化している点です。ウェザーニュースでは、日本の気象庁・ヨーロッパ・アメリカ・韓国・ドイツなど世界各国の気象予測モデルに加えて、独自に開発した気象予測モデルの計算結果を天気予報に用いています。各気象モデルのシミュレーション結果にはそれぞれ癖や特性がありますが、気象のエキスパートの知見を盛り込んだ独自のAI技術でそれらを評価・最適化して天気予報を作ることで、より高精度な天気予報を実現しています。

3つ目は、1km四方という超高解像度な天気予報の発表です。ウェザーニュースでは1km四方という非常に細かい解像度で天気予報を発表しています。この超高解像度な天気予報により、細かい地形などによる地域特性や小さいスケールの気象現象まで表現できるようになったことで、精度向上につながりました。

>>【予報精度向上の取り組み】予報精度No.1を支える3つのポイント

2023年の予報精度を振り返って

暖候期はゲリラ雷雨のように、いつ・どこで・どの程度雨が降るか、予測の難しい日が多くなります。

2023年は記録的に暑い夏の期間が長くなり、予報の難易度の高い日が続きました。各数値予報モデルが様々な予測表現をする中で、全国のウェザーニュースアプリのユーザーの皆さんから届く日々の天気報告を参考に傾向を捉え、最適モデルを決定し日々の天気アイコンに反映する。この細かな対応を短いステップで繰り返し行うことによって、適中率を下げすぎることなく、少しでも降水捕捉率を上げることができました。

これからも多くの天気リポートに支えられながら、精度の高い予報を提供し、皆さんにお返しができるように努力し続けます。
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【柳井 剛】
ウェザーニュース予報センター所属。千葉県袖ケ浦市出身。入社14年目。予報精度改善チームにて精度検証・改善を行っている。


参考
降水捕捉率 検証方法説明(気象庁ホームページ) https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/kensho/explanation.html
気象庁 天気予報検証結果 https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/data/kensho/score_f.html