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2023年は記録的な気候の1年 世界に大きなインパクト WMO

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2023/12/03 14:00 ウェザーニュース

WMO世界気象機関は11月30日(木)に2023年の世界の気候に関する暫定版の報告書を発表しました。10月までの地球の平均気温は産業革命以前を1.40℃上回り、過去最も暖かい一年であることはほぼ確実としています。

地球の平均気温は過去最高

WMOは先日開幕したCOP28での交渉に情報を提供するため、暫定の報告書を発行しました。報告書によると、2023年10月までの地球表面の平均気温は産業革命以前の1850〜1900年の基準に比べ1.40℃(誤差±0.12℃)高くなっています。11月、12月の気温を考慮しても、これまでの歴代最高だった2016年の+1.29℃を上回って、過去最高になることはほぼ確実です。

現在、発生しているエルニーニョ現象は、ピークを過ぎた後に地球の気温上昇に影響を与えることが多いことから、2024年の暑さを加速させる可能性があるとも述べています。

二酸化炭素の濃度は産業革命以前に比べて50%上昇して、大気中に熱を閉じ込めており、二酸化炭素の寿命が長いことは、今後も気温が上昇し続けることを意味するとしています。

WMO事務局長のターラス教授は「異常気象は日常的に人命と生活を破壊しており、早期警報サービスによって誰もが確実に守られるようにすることが不可欠」と述べました。

海の温度も記録的に高く海面上昇が進む

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記録的な状況になっているのは気温だけではありません。海の温度も高くなっていて、2023年7〜9月に関しては、これまでの記録を大幅に更新する高さでした。

海の温度の上昇や氷河、氷床の融解を反映して海面上昇が顕著となり、1993年以降の衛星観測の記録としては過去最高となっています。最近10年間の上昇率は、観測が始まった1993年からの10年間に比べると2倍以上で、海面上昇が加速していることを示していると考えられます。

猛暑や山火事、洪水などの災害が顕著に

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リビア東部デルナで発生した洪水被害
2023年は世界各地で熱波が注目されました。その中でも南ヨーロッパから北アフリカの熱波が目立ち、イタリアで48.2℃、モロッコで50.4℃など記録的な高温が報告されています。

日本では40℃以上の観測こそ2回に留まったものの、真夏日や猛暑日の最多記録を更新する地点があるなど、夏の気温は歴代記録を大幅に更新する暑さでした。

また、大規模な山火事も目立ち、カナダでは過去10年間平均の6倍以上の面積が焼失し、深刻な煙汚染を引き起こしました。ハワイの山火事では多数の方が亡くなっています。

日本は台風の影響が少ない1年だった一方で、2月にオーストラリア近海で発生した熱帯低気圧Freddy(フレディ)は最も長寿の熱帯低気圧としてマダガスカルやモザンビークを襲っています。

9月には「メディケーン」と呼ばれる低気圧Daniel(ダニエル)がギリシャやリビアなどの地中海沿岸各国に被害をもたらしました。
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COP28の動向に注目

現在、UAEのドバイで開催されているCOP28では、温暖化が進行している状況を踏まえた交渉が行われるとみられます。

ウェザーニューズ気候テック担当者が注目している点は気候変動対策の2つのアプローチである「緩和」と「適応」です。
» 関連記事 「緩和」と「適応」とは

「緩和」に関しては、温室効果ガス削減の進捗状況がどう評価され、それを元にした今後の目標設定がどうなるかがポイントとなってきます。「適応」に関してはWMOが述べている「早期警報サービス」など、いざいう時の備えに関してどこまで議論されるかが注目です。

各国の気象当局に加え、私たち民間気象情報会社であるウェザーニューズも、「緩和」には再生可能エネルギーのサポート等で、「適応」にはグローバル領域での早期警報サービス等で、気候変動対策の力になりたいと考えています。地球温暖化を考えるきっかけの一つして、COP28の動向に注目してみてください。
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