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週刊地震情報 2023.9.10
トカラ列島で群発地震発生 アフリカ・モロッコでは甚大な被害

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2023/09/10 10:25 ウェザーニュース

この1週間で国内で観測された有感地震の回数は、トカラ列島の群発地震の影響で前週に比べるとかなり多い水準です。トカラ列島以外では東日本の内陸部や、東北太平洋側での地震が目立ちました。

震度3以上の地震は25回発生しています。(9月4日~9月10日10時の集計)

国内:トカラ列島で群発地震

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トカラ列島の地震活動
8日(金)未明から奄美地方・トカラ列島の近海を震源とする群発地震が発生しています。9日(土)2時28分頃にはマグニチュード5.0、深さ約20kmと推定される地震が発生し、十島村・悪石島で最大震度4を観測しました。

震度1以上の有感地震は8日(金)~9日(土)の2日間だけで200回を超え、そのうち最大震度3以上の地震は23回に達しています。(地震の回数は速報値)

発生した地震の規模を時系列で見ていくと、8日(金)はマグニチュード2~3が比較的多く、9日(土)になるとマグニチュード3以上が目立つようになりました。未明には2回のマグニチュード5.0が発生しています。9日(土)午後以降は地震の頻度が減少し、10日(日)の有感地震は10時までに8回に留まっています。

トカラ列島の群発地震は活動が始まって間もなくピークを迎えるケースが良くみられます。今年5月の活動では5月11日から活発になり、2日後の13日にマグニチュード5.1、最大震度5弱の地震が発生。2021年12月の際は、12月4日から活発になって5日後の9日にマグニチュード6.1、最大震度5強の地震が発生しています。

少なくとも今後、数日程度は震度4~5弱程度の揺れには注意が必要です。

国内:宮城県沖の地震で震度4は3月以来

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宮城県沖の地震
8日(金)18時28分頃、宮城県沖を震源とするマグニチュード5.4、深さ46kmと推定される地震が発生しました。

この地震で宮城県気仙沼市、岩手県花巻市、石巻市で最大震度4、宮城県、岩手県の広い範囲で震度3の揺れを観測。地震のメカニズムは西北西ー東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型と解析されています。宮城県沖を震源とする地震で震度4以上を観測するのは今年3月27日以来です。

太平洋プレートが陸のプレートの沈み込む境界の深さに近い所で発生した地震とみられます。

今回の地震は「宮城県沖」と呼ばれる震央の中では北側で起きました。2021年には今回の震源の少し南西でマグニチュード6.9、最大震度5強の地震が発生しています。

世界:モロッコでM6.8 強い揺れで大きな被害に

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世界のM4.5以上の地震(USGSホームページ引用/ウェザーニュース加工)
アメリカ地質調査所の解析によるマグニチュード6以上の地震は4回発生しています。最も大きな地震はモロッコで起きたマグニチュード6.8です。

日本時間の9日(土)早朝、アフリカ・モロッコを震源とするマグニチュード6.8、深さ約19kmと推定される地震が発生しました。地震のメカニズムは南北方向に圧力軸を持つ逆断層型で、やや横ずれ成分を含むと解析されています。

内陸の浅い所で起きた大きな地震で、震央周辺では改正メルカリ震度階級でVIIIの揺れがあったとみられます。厳密な比較はできないものの、日本の気象庁震度階級に換算すると震度6弱程度に相当する揺れです。

今回のエリアでは1900年以降で最大規模の地震

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モロッコの様子(AFP=時事)
主要都市のひとつであるマラケシュでも強い揺れに見舞われ、多くの建物が倒壊。1000人を超える死者が出ていると伝えられています。

モロッコの強い地震はユーラシアプレートとアフリカプレートの境界に当たる北部が大部分を占め、今回の地震はアトラス山脈に分布する断層帯で発生したと考えられます。アメリカ地質調査所のデータでは、1900年以降、今回の震源周辺でマグニチュード6を超えるような地震は起きていません。

1960年に今回よりも海沿いで発生したマグニチュード5.9の地震は「アガディール地震」と呼ばれ、甚大な被害を出しています。

参考資料など

※日本国内の震源・震度の情報は特に記載が無ければ気象庁より。海外の震源情報は特に記載が無ければアメリカ地質調査所(USGS)より。発表機関により震源情報に差が生じることがあります。