昨年の「はずれ報告」の分析を今年の予報に活用
梅雨の天気や体感を左右する梅雨前線は太平洋高気圧の北側に解析され、高気圧の勢力の強弱によって南北に位置を変えます。
梅雨前線は春の空気と夏の空気の境目にできるため、北側には涼しい空気(東北太平洋側や関東付近では冷んやり感じることもあります)、南側には蒸し暑い空気が存在しています。このため、前線の北側に入るか南側に入るかで体感が大きく異なるのが特徴です。
「昨年2022年は梅雨の期間の太平洋高気圧の勢力が弱く、梅雨前線は本州の南岸に度々解析されていました。
前線が本州付近に停滞している際、前線の位置が予想よりも南に下がった場合、前線付近のエリアでは天気予報が晴れ→雨や曇りに外れてしまうだけでなく、前線の北側に入ったエリアでは体感も蒸し暑い→冷んやりとした体感に大きく変わってしまいます。昨年はこのようなはずれ報告が度々見られました。」
梅雨前線は春の空気と夏の空気の境目にできるため、北側には涼しい空気(東北太平洋側や関東付近では冷んやり感じることもあります)、南側には蒸し暑い空気が存在しています。このため、前線の北側に入るか南側に入るかで体感が大きく異なるのが特徴です。
「昨年2022年は梅雨の期間の太平洋高気圧の勢力が弱く、梅雨前線は本州の南岸に度々解析されていました。
前線が本州付近に停滞している際、前線の位置が予想よりも南に下がった場合、前線付近のエリアでは天気予報が晴れ→雨や曇りに外れてしまうだけでなく、前線の北側に入ったエリアでは体感も蒸し暑い→冷んやりとした体感に大きく変わってしまいます。昨年はこのようなはずれ報告が度々見られました。」
今年2023年は改善の結果、降水捕捉率・適中率ともに向上
昨年の「はずれ報告」の分析結果を受けて、予報センターでは予報技術者による天気アイコンの判断やシステム面での改善を行ったと言います。
「昨年2022年の分析結果を受けて、予報センターでは、まずは生活への影響が大きい雨の見逃しをできるだけ防ぐことに力を入れました。雨の可能性の高いタイミング・エリアでは雨アイコンを採用し、積極的に雨のリスクを伝えるようにしました。また当日の状況・動向をみつつ常に目先3時間先までの時系列アイコンの補正を行う対応をしました。」
上記の対応をすることで、今年2023年の6〜7月は昨年と比べて降水捕捉率は3%、適中率は2%向上しました。
「昨年2022年の分析結果を受けて、予報センターでは、まずは生活への影響が大きい雨の見逃しをできるだけ防ぐことに力を入れました。雨の可能性の高いタイミング・エリアでは雨アイコンを採用し、積極的に雨のリスクを伝えるようにしました。また当日の状況・動向をみつつ常に目先3時間先までの時系列アイコンの補正を行う対応をしました。」
上記の対応をすることで、今年2023年の6〜7月は昨年と比べて降水捕捉率は3%、適中率は2%向上しました。
今年の「はずれ報告」の分析結果…空振りが目立つ傾向
一方で、課題も見つかったと言います。
「今年2023年のはずれ報告を分析した結果、”曇りや雨の予報が出ているが、実際は晴れています。”という、空振りのはずれ報告を多くいただいた日がありました。
2023年は、太平洋高気圧の勢力が早めに強まり、昨年に比べて梅雨前線が北側に位置する傾向が見られました。梅雨前線の南側のエリアでは、晴れたりにわか雨があったりと、変わりやすい天気になります。しかし、この前線の南側のエリアに対し、気象予測モデルでは曇りや雨の予報が出やすくなる傾向があります。このため、空振りのはずれ報告が多くなったと考えています。」
「今年2023年のはずれ報告を分析した結果、”曇りや雨の予報が出ているが、実際は晴れています。”という、空振りのはずれ報告を多くいただいた日がありました。
2023年は、太平洋高気圧の勢力が早めに強まり、昨年に比べて梅雨前線が北側に位置する傾向が見られました。梅雨前線の南側のエリアでは、晴れたりにわか雨があったりと、変わりやすい天気になります。しかし、この前線の南側のエリアに対し、気象予測モデルでは曇りや雨の予報が出やすくなる傾向があります。このため、空振りのはずれ報告が多くなったと考えています。」
より良い予報へ、来年に向けた取り組みは
今年見つかった課題について、予報センターとしてどのように取り組んでいくのか聞きました。
「梅雨前線の位置を正確に予測することは難しいのですが、それに加えて、変わりやすい天気の時に、実際の天気の状況を見ながら3時間よりも先の雨のタイミングを細かく調整することがシステム面も含めて難しいことがわかりました。
来年に向けては、前線のズレる可能性も考慮した上で空振りを抑えるような予測の判断、および実況を見ながら細かく天気アイコンを補正できるようなシステムの改善に取り組んでいきたいと考えています。」
予報センターでは、ユーザーの皆さんからの「はずれ報告」を分析することで、予報技術者たちのスキルの向上やシステムの改善に繋げています。
今後も天気予報の精度に真摯に向き合い、改善を進めてまいります。
「梅雨前線の位置を正確に予測することは難しいのですが、それに加えて、変わりやすい天気の時に、実際の天気の状況を見ながら3時間よりも先の雨のタイミングを細かく調整することがシステム面も含めて難しいことがわかりました。
来年に向けては、前線のズレる可能性も考慮した上で空振りを抑えるような予測の判断、および実況を見ながら細かく天気アイコンを補正できるようなシステムの改善に取り組んでいきたいと考えています。」
予報センターでは、ユーザーの皆さんからの「はずれ報告」を分析することで、予報技術者たちのスキルの向上やシステムの改善に繋げています。
今後も天気予報の精度に真摯に向き合い、改善を進めてまいります。
【柳井 剛】
ウェザーニュース予報センター所属。千葉県袖ケ浦市出身。入社13年目。予報精度改善チームにて精度検証・改善を行っている。
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参考資料など
降水捕捉率 検証方法説明(気象庁ホームページ) https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/kensho/explanation.html
気象庁 天気予報検証結果 https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/data/kensho/score_f.html
気象庁 天気予報検証結果 https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/data/kensho/score_f.html