白ネギ派は少数派のようですが、その割合を都道府県別でみてみましょう。東海地方以西ではほとんどのエリアで白ネギを選ぶ人はみられませんでした。しかし、関東・北陸・甲信地方以東では白ネギ派が明らかに増えていることが分かります。
なぜ、このように東西でハッキリと好みが分かれるのでしょうか。薬味の白ネギ・青ネギの東西での嗜好(しこう)の違いについて、歳時記×食文化研究所・代表の北野智子さんに聞きました。
ネギは各地方の風土と食文化が育てた野菜
「ネギは東西の食文化を分ける野菜で、各地方の風土と食文化が育てた野菜といえます。関東では土寄せ(作物の茎元に土をかけて栽培すること)して根元を白く長く育てた根深ネギ(白ネギ)、関西では土寄せしないで育てる葉ネギ(青ネギ)が好まれます。
白根の長い長ネギは中国北部、葉ネギは南部で生まれ、いずれも奈良時代に日本に渡来したといわれ、古い和名では『葱(き)』と呼ばれていたそうです。ネギには主に『加賀系』『千住系』『九条系』の3品種群があり、次のような特徴があります」(北野さん)
▼加賀系
・品種例:加賀太ネギ(金沢根深太ネギとも)、札幌一本、秋田太ネギ、源吾ネギ(福島)、岩槻ネギ(慈恩寺ネギとも/埼玉)、下仁田ネギ(群馬)
・特徴:夏は生長する夏ネギで、冬は生長が止まり、葉身は枯れ、休眠状態で越冬する。
・栽培地:北海道、東北、北陸、関東北部など寒冷地に多い。
▼千住系
・品種例:千住ネギ、千住合黒(せんじゅあいぐろ)ネギ、深谷ネギ、金長(きんちょう)
・特徴:九条ネギと加賀太ネギとの中間型の白ネギ。「根深ネギ」「長ネギ」「白ネギ」とも。白い根の部分が長く、太いネギ。食べるのは白い部分だけで、青い葉の部分は食べない。
・栽培地:関東など東日本に多い。
▼九条系
・品種例:九条細ネギ、九条太ネギ、浅葱系九条(博多万能ネギ)
・特徴:「青ネギ」「葉ネギ」といわれ、細くて白い部分は少なく、青い葉先までやわらかくて食用される。冬も生長する冬ネギ。冬を中心に一年中、薬味、鍋物、和え物などに用いられる。
・栽培地:関西を中心に西日本に多い。
白根の長い長ネギは中国北部、葉ネギは南部で生まれ、いずれも奈良時代に日本に渡来したといわれ、古い和名では『葱(き)』と呼ばれていたそうです。ネギには主に『加賀系』『千住系』『九条系』の3品種群があり、次のような特徴があります」(北野さん)
▼加賀系
・品種例:加賀太ネギ(金沢根深太ネギとも)、札幌一本、秋田太ネギ、源吾ネギ(福島)、岩槻ネギ(慈恩寺ネギとも/埼玉)、下仁田ネギ(群馬)
・特徴:夏は生長する夏ネギで、冬は生長が止まり、葉身は枯れ、休眠状態で越冬する。
・栽培地:北海道、東北、北陸、関東北部など寒冷地に多い。
▼千住系
・品種例:千住ネギ、千住合黒(せんじゅあいぐろ)ネギ、深谷ネギ、金長(きんちょう)
・特徴:九条ネギと加賀太ネギとの中間型の白ネギ。「根深ネギ」「長ネギ」「白ネギ」とも。白い根の部分が長く、太いネギ。食べるのは白い部分だけで、青い葉の部分は食べない。
・栽培地:関東など東日本に多い。
▼九条系
・品種例:九条細ネギ、九条太ネギ、浅葱系九条(博多万能ネギ)
・特徴:「青ネギ」「葉ネギ」といわれ、細くて白い部分は少なく、青い葉先までやわらかくて食用される。冬も生長する冬ネギ。冬を中心に一年中、薬味、鍋物、和え物などに用いられる。
・栽培地:関西を中心に西日本に多い。
マグロの臭い消しだった白ネギと「ねぎ焼」で多用の青ネギ
「そもそも、関東には青ネギが、関西には白ネギが存在していませんでした。それが現在に続く嗜好をつくり上げているのですが、それにプラスして関東、関西それぞれで好まれた料理も関係しているのです。
江戸っ子好みの鍋に『葱鮪鍋(ねぎまなべ)』があります。江戸時代は『下魚』として安価だった、大トロや中トロといったマグロの脂の多い部分を角切りにし、ぶつ切りの白ネギを加えてしょう油と酒で煮たもので、マグロの生臭さを除くために白ネギが用いられました。タイやハモなど白身の魚を好む大坂では、マグロは好まれませんでした。
大阪で青ネギをつかった“この一品”といえば、粉もんの『ねぎ焼』です。薄く広げた小麦粉の生地に、キャベツの代わりに小口切りにした青ネギをたっぷり入れて、お好み焼きの形に整えた大阪名物です。元祖は1965(昭和40)年創業、下町・十三(じゅうそう、淀川区)のお好み焼き屋『やまもと』です」(北野さん)
江戸っ子好みの鍋に『葱鮪鍋(ねぎまなべ)』があります。江戸時代は『下魚』として安価だった、大トロや中トロといったマグロの脂の多い部分を角切りにし、ぶつ切りの白ネギを加えてしょう油と酒で煮たもので、マグロの生臭さを除くために白ネギが用いられました。タイやハモなど白身の魚を好む大坂では、マグロは好まれませんでした。
大阪で青ネギをつかった“この一品”といえば、粉もんの『ねぎ焼』です。薄く広げた小麦粉の生地に、キャベツの代わりに小口切りにした青ネギをたっぷり入れて、お好み焼きの形に整えた大阪名物です。元祖は1965(昭和40)年創業、下町・十三(じゅうそう、淀川区)のお好み焼き屋『やまもと』です」(北野さん)
物流の発達などで選べるようになった
大阪出身の父・京都出身の母をもつ北野さんの大阪の実家で「ネギ」といえば、青ネギのことだったといいます。
「そうめんはもちろん、そばやうどんの薬味として食べるのは青ネギ以外考えられませんでした。大人になって信州や東京のそば屋で、白ネギが薬味として出てきたときは、驚きでした。口に残る硬さとツンとした刺激の強さに、そばの味が感じられなかったです。
もっとも、東京の人に言わせると、『関西のネギは葉っぱばかりで食べるところがない』『青い葉先まで食べる関西人は、さすが始末の精神がしみついている』ですから、お互いさまといったところでしょうか。
地元品種への愛着が深い白ネギと青ネギですが、現在では物流の発達や人の移動などから、全国どこでも料理や使い道によって、ネギの種類が選べるようになりました」(北野さん)
さて、いまでは日本全国でどちらも選べるようになった白ネギと青ネギ、みなさんのそうめんの薬味はどちらでしょうか。
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「そうめんはもちろん、そばやうどんの薬味として食べるのは青ネギ以外考えられませんでした。大人になって信州や東京のそば屋で、白ネギが薬味として出てきたときは、驚きでした。口に残る硬さとツンとした刺激の強さに、そばの味が感じられなかったです。
もっとも、東京の人に言わせると、『関西のネギは葉っぱばかりで食べるところがない』『青い葉先まで食べる関西人は、さすが始末の精神がしみついている』ですから、お互いさまといったところでしょうか。
地元品種への愛着が深い白ネギと青ネギですが、現在では物流の発達や人の移動などから、全国どこでも料理や使い道によって、ネギの種類が選べるようになりました」(北野さん)
さて、いまでは日本全国でどちらも選べるようになった白ネギと青ネギ、みなさんのそうめんの薬味はどちらでしょうか。
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