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約6割の人が勘違いしていた!? 今知っておきたい、エアコンの“節電術”とは

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2023/08/04 08:00 ウェザーニュース

連日暑い日が続き、エアコンの使用頻度が高まっていますが、電気料金の高騰もあってさまざまな「節電術」に取り組んでいる人も多いようです。

しかし、空調機器の大手メーカー・ダイキンがこのほど実施した調査によると、「約6割の人がエアコンの節電方法について何らかの誤解をしている」ことが判明したといいます。

日ごろ行ってしまいがちな誤ったエアコンの使い方と、節電に役立つ効果的な使用法などについて、同社コーポレートコミュニケーション室広報グループの重政周之(しげまさ・ちかし)さんに伺いました。

6割が勘違いしている“節電術”

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ダイキンでは6月中旬、全国の20~59歳男女527人を対象に、「エアコンの節電に関する実態調査」を行いました。

「今回の調査では、効果的なエアコンの節電方法4項目と、実際には逆効果になりかねない方法4項目を回答者に示したうえで、それらのうち『夏場にエアコンを使う際、節電になると思うものは何ですか』と複数回答形式で尋ねました。

その結果59.2%、約6割にあたる人が、実は節電とは逆効果になりかねない方法を効果的と考えていることが分かりました。それらは“勘違い節電術”といえるかもしれません」(重政さん)

どのような“勘違い”が多かったのでしょうか。

「最も誤解が多かったのは、『風量はできるだけ【弱】で使う』です。

風量を抑えるとファンの回転音が小さくなりますので、消費電力が抑えられていると思われがちです。ところが、風量が少ないと室内が涼しくなるまでに時間がかかってしまい、そのぶん消費電力量が増加する場合があるのです。

『室外機全体をカバー等で覆い、直射日光が当たらないようにする』、『少しの時間でも使わないときは、こまめにスイッチを切る』、『風向は下向きに設定し、人が生活する床上付近を集中的に冷やす』という回答が続きましたが、いずれも逆効果になりやすい方法です。

こうした誤解を避けるには、エアコンの仕組みを知っておくことも大切です。

エアコンは家庭で最も多く電気を使う家電製品ですが、熱中症リスクに備えたり、健康的で快適な生活をおくったりする上でも欠かせません。電気代が気になる昨今ですが、エアコンの仕組みを知って、上手な節電に取り組んでみてください」(重政さん)

知っておきたいエアコン冷房の仕組み

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私たちが知っておくべきエアコンの仕組みとは、どのようなことなのでしょうか。

「一般的な家庭用エアコンは、部屋の中の空気の熱を外に運び出すことで部屋を冷やしています。

室内機のファンが暖かい空気を吸い込み、熱交換器によって取り出された熱が、冷媒というガスによって室外機に運ばれ、熱が少なくなって冷たくなった空気が部屋に戻されます。

室外機へ運ばれた熱は熱交換器で取り出されて、ファンの風に乗って室外へ排出されます。熱を手放した冷媒は、再び部屋の熱を運び出すために部屋へ戻ります。

この繰り返しがエアコンの『冷房の仕組み』です」(重政さん)

節電のために重要といえるのは、特にどの部品なのでしょうか。

「エアコン全体の消費電力の80%以上を占めているのが室外機です。室外機には冷媒が熱の受け渡しをするために必要な温度や圧力をコントロールし、冷媒を循環させる役割を担う『圧縮機』という部品が内蔵されています。この圧縮機がエアコンの中で、最も電力を消費している部品なのです。

そのため、圧縮機への負荷を抑えることが節電の大きなポイントとなります。たとえば、冷房運転のスイッチを入れると室温を下げようとして圧縮機が勢いよく働きますし、設定温度を下げることも圧縮機の負荷になります」(重政さん)

賢い7つのエアコン節電術

正しく賢いエアコンの節電術にはどのようなものがあるのでしょうか。7つのポイントを教えてもらいました。

(1)フィルターにホコリをためないように
フィルターにホコリがたまっていると熱交換器を通る空気が減って効率的に熱を集めることができなくなり、室温が設定温度に下がるまでに時間がかかり、電気代もかかってしまいます。

(2)室外機まわりもすっきりと
室外機周辺に障害物があって、吸込口や吹出口が塞がれてしまうと熱を効率的に逃がせず、エアコンに負荷がかかって無駄な電力消費につながります。

(3)スイッチのON/OFFは控えめに
エアコンの圧縮機は運転スイッチを入れた直後に多くの熱を運ぼうと力を強めます。ON/OFFを繰り返すと圧縮機の負荷が高まり、多くの電力を消費します。日中の30分程度の外出なら『つけっぱなし』のほうが節電効果が期待できます。

(4)設定温度を下げる代わりに風量を上げる
室内を早く涼しくしたいとき、風量を上げて体感温度を下げるのも工夫のひとつです。風力を上げるためにファンを動かすモーターは、圧縮機に比べてとても少ない電気で動きます。

(5)風量は『自動』で
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風量を『弱』に設定すると熱交換器を通る空気の量が減って熱を集めるのに時間がかかり、圧縮機に負荷がかかります。『自動』だとエアコンは効率的に熱を運び出してすばやく部屋を涼しくしたのち、温度を維持できるよう効率的な安定運転を続けます。

(6)風向は『水平』に
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冷たい空気は重いので床方向にたまる性質があります。風向を水平にすると上から下に自然に冷気が降りて『温度ムラ』が比較的抑えられ、風が身体に直接当たる不快感も和らぎます。

(7)空気清浄機などを活用し空気を撹拌(かくはん)する
風向を水平にしても時間が経つにつれて温度ムラは生じてしまいます。これを抑えるには空気清浄機や扇風機、サーキュレーターとの併用も効果的です。機器はエアコンと向かい合わせに置いて、床付近の冷気を斜め上の天井方向に持ち上げるのがコツです。

「エアコンの冷房運転の節電で特に重要なのは、室内の熱を効率的に集めて、効率的に屋外に逃がすことです。フィルター掃除や室外機周辺の整理整頓にはぜひ取り組んでください。加えて、風量設定や温度ムラの抑制、スイッチのON/OFFなどの節電の工夫にも取り組んでみてください」(重政さん)

大手電力7社による電力料金の値上げが発表されてから約2ヵ月、本格的な猛暑も続いています。エアコンの仕組みを理解して適切な使用と節電で身体と家計の負担を抑えていきましょう。
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